同じ調査のはずだけど…

Yahoo!ニュースで知ったこの記事。



規則を守らない子どもほど、一人きりでインターネットやメールに興じることが多い――。そんな実態が、警視庁が中学生を対象に実施したアンケート調査でわかった。
(中略)
放課後や休日の過ごし方を複数回答で聞いたところ、規範意識が高いグループは「家族と外出する」(21・5%)など家族と一緒に行動することが多かったが、低いグループは「インターネットのサイトを見る」(27・1%)「友だちとメールする」(23・9%)など一人で過ごす傾向があった。

なんだろう。なにかしら。この違和感。
因果関係について明言しているわけではないけれど、なんだかこの書き方では「規則守らない」→「ネットに興じる」と読めてしまう。けど、感覚的にはなんか別の要因があって、「規則を守らない」とか「1人でネットする」とかはその結果のような気がするんだけども…。警視庁はいったいどんな調査をやったんだ?

と気になったので、別の記事を検索。読売以外では取り上げているのは(全国紙では)毎日だけっぽい。



「家族よりもインターネットが好きな中学生は要注意」−−。警視庁が都内の中学生を対象にしたアンケートで非行につながる行動の多い生徒について調べたところ、家族とのコミュニケーションを好まず、ネットサイトをよく見るという傾向が浮かび上がった。
(中略)
 「夜遅くまで友人と遊ぶ」や「携帯電話でチェーンメールを回す」という設問への回答で、問題行動が多いグループと少ないグループに分けたうえで、両グループの生活や意識の違いを調べた。

 警視庁が問題行動が多いグループの回答を分析すると、放課後や休日の過ごし方で「ネットサイトを見る」と回答したのは約27%に上り、問題行動の少ないグループ(約13%)の2倍以上だった。好きな行動を「家族と過ごす」と答えたのは約9%だけで、もう一つのグループ(約31%)の3分の1以下。家族への印象は約53%が「何となく不満がある」と答え、比率はほぼ倍だった。

 警視庁少年育成課は「子供が事件に巻き込まれるケースの多くがネットの出会い系サイトや会員制交流サイトがきっかけになっている」と規範意識の大切さを指摘したうえで、アンケート結果を「家族とのつながりが弱い生徒はネットなど他に居場所を求めて犯罪に巻き込まれやすくなる」と分析している。

結局、調査の報告書は見つけきれなかったんだけれども、読売よりは詳しい記事だし、警視庁の分析も載っている。
「夜遅くまで友人と遊ぶ」「携帯電話でチェーンメールを回す」といった「問題行動」が多いだけで、実際に犯罪に巻き込まれたわけではない(と思われる)生徒の回答をもとに、「犯罪に巻き込まれやすくなる」という分析はいかがなものかという気はしつつ(とはいえ、実際の分析の文脈は定かでないので留保)も、「家族とのつながり弱い」→「ネットなど他に居場所求める」というのはそれなりに納得できるし、そのことが問題行動と関連していると読めるように書かれてあると思う。

もちろん調査結果が予測に反することもあるわけで、納得できるから正しい、というわけではないのだが、とにかく読売の記事は何を言いたいのか分からない。読解力の問題なのか、文章力の問題なのか、あるいはその両方なのかは分からないが、もうちょっとちゃんとやろうよという気がしなくもない。