火事場泥棒という言葉が頭をよぎった

この記事。

この福祉事務所が全国の福祉事務所の仲間内で調べたところ、生活保護を受給する外国人の帰国は少なくとも東日本の84事務所で64件に上った。中国、韓国、フィリピン、タイ人などで、中国人が最も多かった。永住者資格などを取得後に日本人男性と離婚した母子家庭や単身女性がほとんどを占め、子供と帰国した人が多い一方、友人の中国人や日本人へ預けて単身で帰国したり、子供を置き去りにしたケースも少なくないという。

まず、「中国人が最も多かった」とのことだが、国際結婚では妻が外国人の場合が圧倒的に多く、さらに妻の国籍では中国人が多数を占めるのだから、別に何の不思議も無いことではないでしょうか。絶対数が多いのですから。
さらに、生活保護を受給する外国人の帰国についてみると、東日本の事務所84事務所でで64件だから、平均して1事務所につき1件以下、さらに「母子家庭や単身女性がほとんど」というから子どもがいる人ばかりではないし、「子どもと帰国した方が多い」ということなので、子どもがいるケースのうち少なくとも過半数は子どもを連れての帰国と思われます。なおかつ「友人の中国人や日本人へ預けて単身で帰国」したケースもあるのならば、64件中のいったい何件が「子ども置き去りで帰国」に該当するのでしょうか。調査した事務所数、帰国した外国人の数、その内訳まで明らかになっているのだから、「子ども置き去りで帰国した件数○件」と明言できるはずではないのでしょうか。本当に「相次ぐ」という表現にふさわしい数なのでしょうか。


もちろん少数ではあっても置き去りにされた子どもにとっては一大事でしょう。しかし、どのくらいの期間帰国するのかは現時点では明らかではなく、もしかすると、短期間の帰国であるからこそ知人に預けたり子どもだけ残したりというケースだってあるかもしれないわけです。


さらに、記事は「生活保護」について次のように述べています。

生活保護法上の受給対象は日本国籍者だが、厚生労働省の見解では「人道的見地から永住者や定住者、日本人の配偶者等の在留資格を持つなど一定要件を満たす者は受給できる」(保護課)といい、平成21年度に世帯主が外国籍で生活保護を受けた人は6万952人に上った。保護費は全額が税金でまかなわれている。

 担当者は「永住権というのは永住を前提にしているはずなのに、帰国するのでは永住とは言えない。国は出入国管理などを適正化してほしい」と訴えた。

「生活保護の受給対象は本来日本国籍者」「保護費は税金」ということを強調し、「永住権を取得したなら帰国してはならない」とでも言いたげな記事の書き方です。一方で、両親が日本人で、現時点で日本国籍ももっているものの、米国国籍ももっていてなおかつ活動拠点も米国であるスケートの長洲未来選手を、フジ産経グループは熱心に取り上げていたりします(まあこれはフジ産経に限りませんが)。そもそも永住権をとったら帰国してはいけないなんて話は聞いたことありません。



そもそもこの件に関しては、なぜ、日本における国際結婚において、妻が外国人で、かつその大半がアジア圏出身者で、さらに離婚率が高い(つっても日本人同士のカップルとそんなに変わらないっぽいが)のかについて、考えるべき話ではないかと思います。