だけって

雲を突くような銀色の摩天楼、101階建ての「上海環球金融中心」がかすんで見える。目的のホテルは、高層ビル群から離れた裏通りにあった。生鮮市場や小売店が雑然と並び、不用品を集めるリヤカーが、ベルを鳴らして通り過ぎていく。

 今年還暦を迎えた岡山市の男性は2年前の11月、上海に来た。かび臭い廊下の奥まった一室に、現地で集められた女性を次々に招じ入れた。

 今度こそ。男性は強く念じていた。今度こそ妻を――。

Web版には途中までしか載っていないのですが、国内外で婚活する年配男性(収入がなく婚活できないアラフォー男性も)が登場する。
業者にだまされてしまった男性にはお気の毒だと思うし、それぞれいろんな事情もあるのだとは思う。けど気になるのはこんな下り。

どんなに手を尽くしても、日本人でなくても、伴侶が見つからない。家業の手伝いや跡継ぎを望むわけでない。老いゆく自分の世話をし、みとってくれる相手が欲しいだけなのに。

今日も、これは、という人は現れなかった。死ぬ間際に「お前がそばにいてくれて幸せだった」といえるような人が欲しいだけなんだが。

これが男性たち本人の発言なのか、記者による表現なのかは定かではないが、老いゆく人を世話し、みとるのは決して「だけ」というようなたやすいものではない。多くの場合そこには多かれ少なかれ介護・看護がつきものなのだし。
また、平均寿命の差があるとはいえ、婚活をしている男性2人が自分が先に死ぬことを当然視しているのも気になる。だとしたら妻の「みとり」はどうなるのか。特に中国人女性と結婚しようとした(実際に2人としたのだが)男性は、異国の地で一人残されるかもしれない妻のことを考えたことはあるんだろうか。
さらに、妻の方が先に亡くなったり、介護が必要になったりしないという保証はなく、その場合どうするつもりなんだろうか、とか。

第1部のテーマが「男たち」なので男目線なのはある程度しょうがないのかもしれないし、「未婚でも不安感じない社会に」という記者のまとめもあるのだが、なんかスッキリしないにょろ(もともとスッキリするテーマではないが)。
とりあえず今後の展開を見守るべ。