朝日がヒドいことになってます

おなじみの給食費未納の問題ですが。まずは今回のデータの確認。

「滞納者がいる学校は55.4%で、11.8ポイント悪化」。まあこれはいいでしょう。しかし、「児童生徒に占める滞納者の割合は1.2%で、やはり0.2ポイント増えた」。0.2ポイント差で「やはり〜増えた」て、おい。「調査方式が違うため厳密に比較できないが」ってエクスキューズ入れときゃいいってもんじゃねーぞ。


「滞納の理由は『保護者の経済的な問題』が約10ポイント上がって43.7%に及んだ。一方で『保護者としての責任感や規範意識の問題』は、前回の60%から53.4%に減った」。記事冒頭にも「経済的な理由での滞納が増え、不況の影響がうかがえる」とあります。


さて、ここまで確認した上で、4日の天声人語を見てみましょう。

公立小中学校の過半に給食費の滞納があり、昨年度の滞納額は推定26億円という。保護者の責任感が足りない、つまり払えるのに払わないが53%、払いたくても払えないが44%である

責任感や規範意識の欠如により「払わない」親、経済的な問題のため「払えない」親と、より対比が分かりやすい表現にしています。
そして、ドン。

月5千円ほどの給食費。困窮世帯には全額補助もあるから、「払えない」親の多くはわが子の昼飯より大切なものに費やしているらしい。滞納分は他の親がかぶる。ズルやサボリを封じるには、子ども手当からもらうのが早い。

なんということでしょう。
「払わない」「払えない」と表現した上で、まさかの「払えない」親叩きですよ、みなさん。
誇張抜きで2度見、いや3度見しちゃいましたよ。

ところでこの調査、上の記事によれば「ひと月でも」滞納があれば、カウントされます。ならば、数千円とはいえ「わが子の昼飯より」優先しなければならない(と判断してしまう)ケースもあるのではないでしょうか。しかし生活保護や就学援助を受けるほどではない、あるいは受けたくないということもあるかもしれませんし、手続きが間に合わなかったということもあるかもしれませんし、困窮しているがゆえにそういった情報に疎いということもあるかもしれません。
また、現在は大半は口座引き落としにより徴収しているようですから、たまたま引き落としの日に残額が足りなかったという場合も考えられます。特に普段使わない口座を引き落としに使っている場合はそういう「うっかり」が起きそうですが、調査の選択肢は「責任感や規範意識の欠如」「経済的問題」の2つしかありません(一応「その他」はありますが)。
実際、確信犯的に払わない親というのも一部いるのでしょうが、この調査のデータのみで全国紙の一面で「ズル」「サボリ」「ふざけた」などと口(筆?)汚く罵る神経というのは理解できません。



ところで給食費未納問題が大好きな産経はどうでしょうか。

 未納の原因は「保護者の経済的問題」が43.7%に上り、前回より10.6ポイント増加。「保護者の責任感や規範意識の問題」は、6.6ポイント下がったものの53.4%を占めた。
 文科省では、保護者の規範意識にも依然、問題があるとみている。

「経済的問題」が増えたことよりも「保護者の規範意識」についてコメント。通常運転のようです。
・・・と思っていたら、このエントリを書くために改めて記事を検索していたらこんなのが。

長引く不況から未納理由の4割以上が「経済的な問題」とされたが、自治体が製造コストを負担する給食の保護者負担は、材料費分の1食230円だけ。低所得者層には全額を補助する制度もある。専門家からは「本当に経済的理由なのか」と疑問の声が上がっている。

天声人語とまったく同じです。どこまで仲がいいんだか。

石井氏は「実際には多くが『責任感や規範意識』が薄いから、未納なのだと思う」と分析する。

「専門家」というのが石井昌浩てのもどうかと思うのですが、そもそもこれ「分析」か?