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ぐぐってあまり引っかからないような何かがあったら書いたりする

北米版ゆゆ式(Yuyushiki Complete Collection)の高度な英訳について


ゆゆ式 Advent Calendar 2015 五日目です。

Yuyushiki Complete Collection について

Yuyushiki: Complete Collection / [Blu-ray] [Import]

  • 北米向けに売られているBD
  • リージョン合わせれば日本国内でも普通に見れる
  • 一枚に全話収録
  • 安い($30くらい)
  • 字幕は消せる
  • にゃにゃ式/コメンタリーなし
  • ノンテロップOP/EDはあり

なお、Sentai Filmworks なる海外のディストリビュータがちゃんとライセンスを買って正規に売っている品のようで、海賊版などではない。

米Amazonで買ったが今は国内Amazonでも買える。どっちが安いかは為替レート次第だと思う。
実店舗で買うならアキバの中古PC屋に行くと何故か海外版の全話収録BDの品揃えがやたら良いのでその辺かと。


今日のテーマ:翻訳

ゆゆ式の会話、全体的にハイコンテクストな上に語感を重視するような箇所も多いので、どう考えても日本語以外への翻訳がかなり困難に思える。
しかし、この北米版BDの翻訳者は相当のかしこマンが担当したようで、ほとんど全ての場面で原文を生かしたまま英語で綺麗に成立させていた。

見事な仕事っぷりなので以下いくつか適当に抜粋して紹介する。 *1


1話



「おモチって腹もちいーよねー」
→ Mochi really gets you motivated!(~やる気出るよねー)

しりとり

上記の場面の前や5話10話などやたら出てくる"しりとり"もちゃんと連続するようになっている。


1話しりとり

原作 :カール・ゴッチ → チェルノブイリ → リューマチ → ちくわ → YMO → おモチ
アニメ:カール・ゴッチ → チュパカブラ → ラジオペンチ → ちくわ → YMO → おモチ
英語 :Karl Gotch → Chupacabra → Rain trench → chica-wow → Whammo → Mochi

ちなみにラジオペンチは和製英語らしいよ。(long-nose pliers)

5話しりとり
りんご → 拷問 ("ん"で終了)
Apple → Ending this torture
しりとりしようぜ?の「ぜ」 → ゼブラ → ランチョンマット
Let's play a word-chain game pleeze! start with pleeze's "z"! → Zebra → raffle ticket

ランチョンマットも和製英語。(place mat)

10話しりとり
鮫 → メスライオンじゃなくて~メスゴリラ → ラメ → メス~... (→メス○○無しな?)
Sea bream → Montain lion. No... Mountain gorilla! → Atom → Mountain... (→Stop sticking "mountain" in front of things.)

メス○○→マウンテン○○ に。


2話



「絶妙だよね火山 火山だけに ようがんばった ってね」
→ Volcanoes are great.. Because, you know... They're so... magmanimous.(~太っ腹 ってね)

溶岩→マグマでカバー




なお、「なんつってつっちゃった」は "Just kidding just slipped out".


3話




「アフォガード(affogato)だって」

「アホガード」
→ a-fool-guard-o



翻訳の話から逸れるけどこう並べるとセリフだけじゃなく構図までかなり原作に沿っているのが分かる。(この話に限らず)


3話




「夏夏夏夏夏夏夏夏夏夏?」
→ nuts, nuts, nuts, nuts, nuts, nuts, nuts, nuts, nuts, nuts!




「マグロの英語は?」

「...ツナ?」
→ Tuna.

4話



「どんくらい?」
→ For crying out loud.(驚いた)



「いや泣いてねーよ...」
→ I haven't been crying for anyone.(いや泣いてねーよ)





「昼まであとどんくらい?」
→ When will morning end? (朝が終わるまでどんくらい?)



「おやっ英語?」
→ What? Mourning again? (おやっまた悲しんでる?)



「今のは泣いてないよって言うとこ...」
→ You should've said, "I'm not crying."



7話



「氷だけに あいすいません」
→ Ice-orry for hitting you with ice"



I'm sorryに掛かっている


8話



「やっぱり自分の名前...」
→ I usually use my own na- (name)



「おっぱい?」
→ -kedboobs? (nakedboobs)



原文を一切殺さずに生おっぱいをキープ。


8話




「ちょっとちねらせて!」
→ Can I pinch you?(ちょっとちねっていい?)



「は!?ちねらすかっ!」
→ Never ask me that!(聞くな)



「アメリカ チネラスカ州」
→ The US state of Neveraska. (アメリカ ネバラスカ州)




これも英語だと全然成立しなくなる会話。ネブラスカ州(Nebraska)と掛かっている。


ちなみに、激辛ハウスの「フランクフル激」は frankfiresになってたりする。


11話



「大ひるね大会だっけ?」
→ Hm? A competitive napping competition, I think. (競技居眠り競争だっけ?)

11話




「縁ちゃん今何歳?」
→ Yukari, what's your age?
「えっとねー...あのねー...お野菜」
→ Umm..its's...foliage. (葉っぱ)



「唯ちゃんなん歳?」
→ What's your age, Yui?
「く...空芯菜」
→ C-Cabbage. (キャベツ)

11話



「もっといっぱいしなさい 2発3発...」
→ One shot's not enough. Take two or three hacks at it.



「え?美容師さんの授業?」
→ Hacks? Like beautician classes?



hacksが「(2発3発)やる」「(髪を)切る」に掛かってる


11話



「カレーの深い話をしようか」
→ Let's have a deep discussion about curry
「味だけでいいよ深いのは」
→ All I want with curry is a deep flavor.

deepがそのまま掛かっている



「コメントのピリッと感をカレーとかけて言ってみた」
→ Your sarcasm fits the bite of curry on the tongue.

biteが「(カレーの)一口」と「刺激(ピリッと感)」に掛かっている



「言葉が掛かってるのとご飯にカレーをかけるのもかかってる?」
→ And the way her words poured out is like curry poured over rice.

pourが「(言葉が)溢れる」「(カレーを)かける」に掛かっている



「そーっす」
→ Resauceful

SauceがResourceful(機転が利く)で掛かってる



「しょーゆー事」
→ Soytenly.

SoyがCertainly(その通り)に掛かってる


今日のまとめ

私の英語力は結構低めな方なんだけどこの記事書いただけで点数が2京点くらいは上がったという実感があるし、ディスク入れ替え無しで無限に全話が見られるという高いゆゆ式エクスペリエンスが手軽で安価に得られるので一家に一枚備えておくと良いと思う。

*1:ちなみにゆゆ式の11話の一部の翻訳(確かfunsubベース)については、以前に別サイトでこんな記事があったんだけど残念ながらもう消えてるっぽい。 [B! ゆゆ式] 『ゆゆ式』11話の「しょーゆーこと」って海外では何て翻訳されてるの?|ずずずちゃんねる