トランプ政権、ウクライナ侵攻…って結局どういうこと?中高生におすすめの『学研まんが 日本と世界の近現代の歴史』は大人も読むべき学習漫画
PR更新日:2024/12/17
近現代史は、現代の世界の成り立ちを理解する上で欠かせない重要な分野である。この学びを深めるため、高等学校では2022年より新学習指導要領に基づき、「歴史総合」が必修科目として導入された。
『学研まんが 日本と世界の近現代の歴史』シリーズは、この新たな学びの形を取り入れた画期的なまんがシリーズである。単に歴史を追うだけではなく、読者が「問い」を立てながら考え、自分なりの答えを導き出す構成が大きな特長となっている。
作中には教科書や資料集にも載っている風刺画や図表が随所に登場し、「この絵が示すものは何だろう?」といった問いかけを通じて、資料を深く読み解く力を養う。この手法は新しい「歴史総合」の授業とも密接に関連しており、歴史を「自分事」として捉える体験を提供している。
中でも注目すべきはシリーズの最終巻、第6巻である。この巻では現代の世界情勢を題材に取り上げ、歴史が現在とどのように繋がっているかを実感できる内容となっている。
最終章である第6章「永遠の戦争」では、「トランプ大統領と民主主義」「ロシアのウクライナ侵攻」「イスラエルとパレスチナの紛争」など、現在進行形のニュースで耳にするトピックが扱われている。
この章の冒頭では、主人公である学生4人がナビゲーターに「独裁者は過去の話だと思っていないか?」と問われる。この問いを起点として、歴史上の独裁者と現在の指導者を比較しながら、独裁政治が現代にどのような影響を及ぼしているのかを深く考えさせる構成となっている。
例えば、「トランプ大統領と民主主義」の節では、第1期トランプ政権時代の政策や社会分断の背景が描かれ、民主主義が直面する危機の本質を掘り下げている。「ロシアのウクライナ侵攻」では、過去の独裁者の歴史を踏まえながらプーチン政権の行動を考察し、地政学的視点を提示する。「イスラエルとパレスチナの紛争」では、宗教的・歴史的背景を整理しつつ、中東情勢の複雑さを理解させる内容になっている。
これらのトピックを通じて、単なる知識の習得ではなく、「なぜ、今こうなっているのか」を主体的に考える力を養う構成が光っている。
さらに、風刺画や地図、統計データといった視覚的な資料がふんだんに使用されており、それらを読み解くプロセスを通じて、読者の歴史的思考力を鍛え、現代社会を多面的に見る視点を自然と身につけさせる。
第6巻で扱われるテーマの中でも、スマートフォンを通じて身近な問題として紹介される「ディープフェイク」は、これからの時代を生きる上で避けて通れない課題である。テクノロジーの進化がどのように情報操作を助長し、社会に影響を与えるのかについて考察する内容は、若い読者だけでなく、親世代にとっても示唆に富むものとなっている。
『学研まんが 日本と世界の近現代の歴史』シリーズは、まんがのわかりやすさと高度な思考力を育む構成を兼ね備えた一冊である。中学受験生や高校生にとってはもちろん、親世代にとっても学びの多い内容と言える。特に、最終巻で取り上げられている現代の問題は、家庭内での話題にもなりやすく、親子で一緒に考えるきっかけを提供している。読みやすいまんが形式でありながら、問いを通じた深い学びを得られるため、家族で共有する一冊としてもおすすめだ。
本シリーズは次のタイトルから成る。
- 1巻「産業革命と世界と日本の近代化」
- 2巻「大正デモクラシーと第一次世界大戦」
- 3巻「ファシズムの拡大と世界危機」
- 4巻「第二次世界大戦」
- 5巻「戦後の日本と世界」
- 6巻「新たな時代の到来そして未来へ」
歴史は繋がっている。一番読みたいと思った巻から手に取ってみることを勧めたい。
文=ルートつつみ