「種﨑敦美」声優インタビュー&撮り下ろしグラビア【声優図鑑】
更新日:2015/7/9
これからの活躍が期待される声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのミニグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。
第35回となる今回は、『残響のテロル』の三島リサ役や、10月スタートのTVアニメ『大図書館の羊飼い』の小太刀凪役を演じる種﨑敦美さんです。
――撮影、おつかれさまでした! 緊張されましたか?
種﨑:緊張とはちょっと違うんですが、「ポーズってどうしたらいいのかな?」とわからなくなってしまいました(笑)。うまくポーズをとれるモデルさんって、本当にすごいんですね。私、謎の踊りを踊る感じになってしまいました……。
――謎の踊り!(笑)
種﨑:カメラマンさんにいろいろポーズの指示を出してもらったんですけど、「プロの技だ!」と思いました。「今まででいちばんきれいに撮れてますよ!」と言ってくださったんですけど、実際見たら本当に「私、こんな写真撮れたことない!」と感動しました。
――気に入ったポーズはありますか?
種﨑:ポーズをどうしていいかわからなくて、ポーズにうつるまえの「どうしよう」ってポーズで、奇跡の一枚が撮れました(笑)。使われるかはわからないですけど、「(いい意味で)どうしてこうなった!?」という感じで、見ていて面白かったです。
――お仕事についてお聞きします。『残響のテロル』が終わって、いかがですか?
種﨑:収録は9月頭くらいに終わったんですけど、オンエアを見て、改めてラストをかみしめていました。いわゆるハッピーエンドではないんですけど、それぞれに「希望」がみえた終わりですよね。私が演じていた三島リサは、最初はなんにもできない子だったんですが、最終的にはツエルブの希望になることができた、そのことで自身の希望もみえたという終わりだったと思います。
――『テロル』は先が見えない展開が話題になりましたね。
種﨑:『テロル』は考えないとわからないような描写がたくさんあるので、視聴者として見ていると「これはどういうことなんだ…あっ、そういうことか!」と思うようなシーンがあったと思います。でも、演じる側も同じなんですよ。毎回毎回、どうなるのかわからないし、予想していたのとは違う方向に向かっていく。そんな中で、第1話のころにはわからなかったことがだんだんわかってくる、という感じでした。
――クライマックスに向かうにつれて、どういう気持ちになっていきましたか?
種﨑:苦しいような辛いような、なんともいえない気持ちでした。アフレコが始まってからずっと、『テロル』のことを考えて生活していました。何をしていても、「ああ、ナインとツエルブは、この感情や、この楽しさを知らないんだなあ」と思ってしまって…。ナインとツエルブの2人が、どうにか生きて幸せになる方法はないのかな、と考える日々でした…(目が潤む)。
――種﨑さんも、最初から展開を教わっているわけじゃないですよね。
種﨑:最終的にナインとツエルブが「どうするのか」はきいていましたが、毎回の展開まではそうですね。視聴者のみなさんと同じで、脚本を見て初めて知ります。
――最終回の脚本をもらったとき、どういう気持ちでしたか?
種﨑:「こうなってしまうのか…」と思いました。心のどこかでわかっていたんですが、でも実際こうなると思うと……う~ん(声が震えている種﨑さん)。
――リサというキャラクターの変化を感じましたか?
種﨑:変わり始めたのは、ツエルブとバイクに乗った4話。あそこで吹っ切れて、「仲間になりたい」「なにか人のために行動したい」と動き始めたのは5話くらいですね。でも、ナインとツエルブのやろうとしていることは大きすぎて何もできなかった。最後になにもできない自分に気づくんです。でも、最終話でツエルブは「君に会えてよかった」と言ってくれる。何もできなかったけど、それでもツエルブのために何かができたっていうことだと思います。だからそれだけで十分かなって。
――エンディングのあと、リサはどうなるんでしょう?
種﨑:ツエルブの言葉があるから、普通の生活に戻ったとしても、リサは絶対2人に出会う前のようにはならないと思います。2人に出会う前は何もない子だったけど、出会ったことで変われたキャラですね。
――演じるうえで、アフレコの現場で何か言われたことはありますか?
種﨑:リサのお芝居に関しては、何もありませんでした。アフレコが終わってから監督に言っていただいたのが、「リサはオーディションのときから、最初からリサだった」なんです。死ぬほど嬉しかったです!
――では、アフレコ中に嬉しかったことは?
種﨑:これはリサに限らないのですが、少なからず中の人の性格やクセがキャラに反映されていっているらしいんです。7話の「う~、緊張する~」って言いながらお腹痛くなっているリサは、完全に私。私がいつもそうなんです(笑)。
――アフレコ現場の種﨑さんのしぐさから来たんですか?
種﨑:たぶん。私、落ち着きもないですし、よくお腹が鳴っていたんです(笑)。アフレコが終わると鳴らなくなるので、緊張で鳴っていたみたいです。
――それは完全に緊張ですね(笑)。アフレコ中、気を付けていたことはありましたか?
種﨑:リサは最終話までなにもわかっていない、巻き込まれている子。だから、何も考えず、素直にその場にいようと思って演じていました。
――1クールを通して、種﨑さんご自身に変化はあったでしょうか。
種﨑:共演している役者さんたちが、みなさんおそろしいくらい作品と役のことを深く考えていらっしゃいました。そんな素晴らしい方々と共演して、作品やキャラクターへの取り組み方を学ばせていただいたと思います。ふだん吹き替えをやられている方もたくさんいらっしゃる現場だったので、アニメのお芝居とは違うものもたくさん見れましたし、息1つ、アドリブ1つにしても本当に勉強になりました。
――アフレコ現場で印象深かった共演者の方はいますか?
種﨑:咲野俊介さん! お芝居をやっていてうまくいかないとき、咲野さんが現場の雰囲気や私たちの気持ちをすごく気を遣ってくださいました。空気が和んで芝居をしやすくなる。すごく救われました。監督もいい雰囲気を作ってくださいました。
――お話は緊迫感あふれるものでしたが、アフレコ現場は雰囲気がよかったんですね。
種﨑:はいー、和やかでした! 食べ物の話ばっかりしてました(笑)。警視庁のマスコットキャラ的ポジション・六笠を演じている「かぬか光明」さんが、六笠そのものみたいな方なんです。ずっと食べ物の話をしていて、笑いが絶えませんでした。本当に素敵な現場で、終わるのがかなしくて寂しかったです。
――さて、10月のアニメについてもお聞きします! 『大図書館の羊飼い』の小太刀凪役を演じていらっしゃいますね。
種﨑:小太刀凪は図書委員で、主人公の筧京太郎くんの「図書部」に対して「静かにしておくれ」と注意をしにいくお目付け役です。性格はサバサバしていて、すごくナチュラルに楽しく演じられるんですけど、それだけじゃない。『大図書館の羊飼い』の「羊飼い」の部分に深くかかわってくるキャラクターです。
――実は複雑なキャラクターなんでしょうか。
種﨑:凪以外のヒロインも、いろいろと抱えているものはあるんですけど、みんな基本的に「ハッピープロジェクト」の名のもとに学園を楽しくするために動いている。凪は、それとは違う、自分の目的のために周囲をひっかきまわしているキャラクターです。……今の段階では、言えないことが多すぎます(笑)。
――話が進むと、凪のこともわかっていくのでしょうか?
種﨑:そうですね。始まりは賑やかに和やかに進んでいきますが、凪が話に深く関わってくると、だんだんお話が深くなっていきます。その辺りは、見てのお楽しみです!
――リサとはまた違ったキャラクターですね。
種﨑:芝居でいうと、リサちゃんとは真逆。リサは息芝居が多くて、セリフもそんなに多くなくて、言葉以外で伝えることが多かったです。凪さんはお目付け役ということもあり、声もどんどん出しますし、大事なことをたっくさん喋ります。なので、全然違うキャラですが、リサと同じく演じるのはとっても楽しいです。
――『羊飼い』の現場はどんな感じですか?
種﨑:なんだか、学校みたいです(笑)。キャストはもちろん、スタッフさんもみんな仲が良くて、終わったら必ずごはんを食べに行きますね。そこでまたさらに仲良くなっていってます!
――『羊飼い』では、ラジオ「大図書館の羊飼い THE RADIO」のパーソナリティも務めてらっしゃいます。
種﨑:「どうみなさんに伝えたら、楽しく聞いていただけるかなあ」と考えながらやっています。あまりおしゃべりが得意ではないので、たまにテンパって、考えられていないときもあるんですけど…(笑)。進行も難しくて、でも楽しいです。毎回アワアワしながら頑張っているので、よかったら聞いていただけたらと思います。
――学生の役をよく演じてらっしゃる種﨑さんですが、学生時代はどういう学生さんでしたか?
種﨑:バイトに明け暮れる日々でした。数えきれないくらいバイトしてましたね。
――どのようなバイトを?
種﨑:コンビニ、スーパー、ラーメン屋、焼肉屋……大分県出身なんですが、ごぼうの剪定っていう畑仕事とか!
――ごぼうの剪定!
種﨑:とにかく大分から東京に出て、声優の養成所に通おうと思っていました。そのためにお金も貯めていたし、就職できる高校を選びました。家から学校までが往復14キロ……って、長いですか?
――長いです! どうやって通っていたんですか?
種﨑:自転車ですね。バイトだけじゃなく、部活もやりたくて、美術部に入ってました。学校生活はバイト→自転車→部活、の繰り返しでしたね(笑)。美術部なのに、ものすごく体育会系な学校生活でした…。
――プライベートについて、もっとお聞きします。お好きなものはなんですか?
種﨑:超テレビっ子なんです! ドラマや映画を見るのが好きです。
――最近は何を見ましたか?
種﨑:ちゃんと全部見たドラマは『アオイホノオ』と『若者たち』ですね。『昼顔』も見たかったんですけど、一話を見逃しちゃいました…。秋ドラマでは、宮藤官九郎さんの「ごめんね青春」がすごく楽しみです。大好きな満島ひかりさんが出演します!
――映画ではどんな作品がお好きですか?
種﨑:最近見たのは『TOKYO TRIBE』です。園子温監督が好きなんです。一番好きなのは『地獄でなぜ悪い』。『愛のむきだし』もすばらしかったですけど。
――では、オフの日とかは、溜まった録画を消化していらっしゃるんでしょうか。
種﨑:そうです、そうです! テレビを見るか、映画を見るか、漫画を読むか、です。
――漫画もお好きなんですね。
種﨑:はい。この世で一番好きな漫画は山下和美さんの『不思議な少年』。8巻まで出ています。すごく面白いので早く続きが読みたいです~。
――では最後に、これからの目標を教えてください!
種﨑:キャラクターに命を吹き込んで、血が通っていて、体温を感じるキャラクターになるように演じていきたいと思っています。そのために、もっとたくさん経験を積んで技術を身につけて、自分がやりたいお芝居をちゃんと出せるように努力していきたいです。過去を振り返ると、人生の節目で「この作品に出会ったから今の自分がいる」「この作品に支えられた」と思うような作品がたくさんあります。そんなふうに人の心に残る作品に、少しでも多く関われるような役者になっていきたいです!
――ありがとうございました!
次回の「声優図鑑」をお楽しみに!
種﨑敦美
・種﨑敦美(TORITORI Office)http://toritorioffice.com/tanezaki.html
・種﨑敦美 on Twitter
https://twitter.com/tanezakiatsumi
(取材・文=青柳美帆子、撮影=山本哲也、キャスティング協力=吉村尚紀)