民進党代表選候補・蓮舫氏”二重国籍問題”の後始末|やまもといちろうコラム

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 山本一郎(やまもといちろう)です。私も油断すると顎やお腹の下のほうが二重になります。気を付けたいものです。

 ところで、昨今盛んに騒いでいた蓮舫女史(本名:村田蓮舫・48)の二重国籍問題ですが、厳密に言えば国籍法違反と言えないこともないけど、まあそこまで騒ぐことでもないんじゃねという結論で落ち着きそうな流れです。騒ぎに騒いだ右も左もお疲れ様でした。

蓮舫氏の台湾籍放棄 何が問題なの? 論点を整理

 朝日新聞に整理が掲載されていますが、外務省も問い合わせに対して「あくまで国籍法で求める内容は努力義務にすぎず、一般論として、違法性が高いというものではない」と回答しております。

 一方、ガースー黒光り官邸の主、菅義偉官房長官は記者会見で一定の見解を述べています。これであれば、1985年の国籍法改正時に蓮舫女史自身が日本人である母親のこともあり、日本国籍を選択した、と言われれば問題なく日本国籍を持つ日本人だという見解になるわけであります。

菅義偉官房長官「ご自身で説明すべき問題」

 個人的には、一連の騒動を見るに「そうならそうで、蓮舫さんもそう言えば良かったのに」と思うんです。なんか、話が二転三転するごとに、家庭の事情で父親がどうの、どこそこの雑誌のインタビューで台湾籍であることを本人が語っていたのとなるんですが、タレント時代はそういう売りとしてやってきたものの、いまは日本人として議員となり民進党の代表選最右翼になるまで頑張ってきたということですよね。

 結果として、なんか突っ込まれて、ちゃんと情報を整理しないうちに適当な返答をしてしまったのか、後から後から違う話が出てきてどんどん釈明が苦しくなり、日本人なのか台湾人なのか良く分からない状況に追いやってしまったのは、勿体ないなあと感じるわけです。また、もともと母親が日本人である以上、1985年の国籍法改正とその後の本人の日本人としての選択を明言した時点で蓮舫女史は日本人であり、帰化ではないぞということになります。

 翻って、蓮舫女史はたいした話ではありませんでしたが、その状態を明確に解消することなく国会議員となり、副大臣などの要職を経るのは望ましいのかという話はあろうかと思います。個人的には、日本人としての国籍を有し、日本で暮らしている人であるならば、過去の過程的な経緯で二重国籍状態であったとしても問題にはならない、日本のために政治家として働いてくれればそれで良いよと考えます。

■問われる蓮舫の手腕

 ただし、それを気にする人たちはたくさんいて、いまからでも議員辞職するべきとまで主張する人もいます。まあ、いろんな意見があって民主主義ですし、今後、例えば日本初の女性首相を目指して最大野党の党首として頑張っていくぞということであれば、うまくその辺の主義主張も整理し、開かれた日本のダイバーシティの象徴としてブランディングしていってほしいと思うわけです。

 何よりいまの日本政治の不幸は、野党が弱すぎて失政がないわけでもない安倍政権の支持率が6割前後までになって、超本格的な長期政権になってしまったことです。蓮舫女史には、どこまでいけるかは分からないけど、少なくとも民進党の代表になった際にはその「安倍政権の代わりになりうるだけの政党に仕上げていく」という手腕が求められたとき、今回のような二重国籍問題での右往左往をしているようだと先が思いやられるんです。

 民進党の政調会長山尾志桜里女史が例のガソリン問題で揉めたとき、党内からの山尾批判の急先鋒にいたように見えるのが、蓮舫女史でありました。パラメータを攻撃に極振りした結果、問題が露顕したあたりで蓮舫女史が「今週中に会見する」と言ってしまい、準備不足で記者会見に追い込まれた山尾女史が派手やかな炎上を演出したのも良い思い出です。

 このあたりを見ると、守りに弱く、身内の庇い方についてはあまり配慮がない人なんだろうなあという蓮舫女史が、世界に向けて開かれた日本政治をマイノリティー代表としてしっかり務めあげられるのか、興味津々です。こういう形で、民進党の代表選に花を添えるのも悪くないのかも知れませんが、改めるべきところはぜひ改め、うまい具合に前に進んでいって欲しいと願っております。

 最後に、国籍と政治についてなんですが、私結構昔から思ってることで「なんで日本って、本当に能力のある人を海外から招聘してきて大臣にしたりしないの?」って話があります。別に閣僚に限らずですけど、例えば日本銀行の仕組みを考える時に、米FRB議長やってたバーナキンさん連れてきたり、重要な経済顧問にノーベル賞獲ったような人を高額でハントしてきたり、あるいは日露の領土交渉するにあたってロシア人の専門家を顧問で招聘したり、そのぐらい自由にやっていいんじゃないかと思うんですよ。
 もちろん、身許もよく理解したうえで、日本人にとって最善の選択肢が取れるならば、という前提付きですが、どうも「彼は/彼女は日本人か?」という純血を考えすぎた結果、そもそも「日本人って何だっけ」っていうようなバラバラに分裂していく遠心力のようなものが社会に広がっていった結果が、反原発や反医療や沖縄基地問題といった諸症状を作っちゃってるように思うのです。
 別に反原発を叫ぼうが、在日などマイノリティを支える主張をしようが、それは民主主義である限り、絶対に発言の権利は守られているべきです。そのうえで、この国を指導していく、将来を考えていくのに、日本人に生まれ、日本人として育ったことが神聖な条件だとは言えないんじゃないの、と感じます。

 外国人参政権や移民は慎重に考えるにせよ、本当に優れた人を日本人が認めて要望し招聘して、日本人にはない発想でこの国や社会を良くしていくにはどうすればいいのか、もう少し考えてみると新しい政治観も出てくるのではないでしょうか。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

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