『わたしは真悟』とは、ある工業用ロボットが「意識」を持つ前後過程の物語である。 ある町工場に、アーム型の工業用ロボットが導入される。それは工場の生産性を飛躍的に改善するその魅惑的な力から、「モンロー」と名付けられ、やがて無能な作業者たちを不況を理由にレイオフする無慈悲な道具になっていく。主人公のさとるは、モンローの操縦役を任された作業者の息子である。そのことから、彼は工場に忍び込み、モンローに言葉や画像を憶えさせる遊びを行うようになる。ある日、学校ぐるみで父の工場を見学した帰り、別の学校から同じ目的で訪れた少女まりんと出会う。出会うと言っても、二人はすれ違いざまに互いの顔を視認しただけだが、そ…