1945年9月、第1回昭和天皇・マッカーサー会見で
 Photo: Gaetano Faillace, Public domain / Wikimedia Commons

1945年9月、第1回昭和天皇・マッカーサー会見で Photo: Gaetano Faillace, Public domain / Wikimedia Commons

ハアレツ(イスラエル)

ハアレツ(イスラエル)

Text by Yuval Noah Harari

エコーチェンバー


10月7日以降、イスラエルがハマスと戦い、打ち負かすことが不可欠となった。しかし、それは罪のない多くの市民を殺し、市民を飢えさせずとも達成することは可能だった。イスラエル国防軍は戦場で多くの勝利を収め、ガザのほとんどの地域とそこに通じるルートを掌握した。

戦闘のさなかに、民間人と戦闘員を切り離すことが困難な場合はあるだろう。しかし、なぜイスラエルはガザに大量の援助物資を入れることを妨げたのだろうか。子供たちが飢餓に苦しみ、絶望した何千人もが援助トラックの襲撃を招いたのは、ガザ内での非効率的な分配、ハマスの工作員による窃盗のせいだという意見もある。

仮にそのような問題が現実だったとしても、イスラエルは大量の食糧や医薬品、その他の物資をガザに送り込めたはずだ。不手際や窃盗があったとしても、飢餓を招くような規模にはならなかったはずだ。結局のところ、食料を窃盗しても、それを他の住民に売る以外に何ができるというのだろう。

逆に、イスラエルがガザに充分な援助物資を届けるのが難しく、エジプトや他の国がパレスチナ難民の受け入れを拒否したならば、イスラエルは、ガザの南、エジプト国境付近のイスラエル領内にパレスチナ市民の安全地帯を作ることもできただろう。ガザから何十万人もの女性、子供、高齢者、病気の難民が、こうした安全地帯に避難できたはずだ。ガザでの戦闘が続く限り、難民がそこですべての基本的な必需品を受け取り、攻撃から守られるようにイスラエルはできただろう。
残り: 2723文字 / 全文 : 3365文字

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PROFILE

ユヴァル・ノア・ハラリ 1976年生まれ。歴史学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、現在はエルサレムのヘブライ大学で歴史学の教授を務める。世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』のほか、『ホモ・デウス』、『21Lessons』などの著書がある。

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