2022年11月、新宿駅周辺では、中国のゼロコロナ政策による犠牲者を追悼するデモがおこなわれた Photo: Tomohiro Ohsumi / Getty Images

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ル・モンド(フランス)

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Text by Simon Leplâtre

中国人が見出す日本の暮らしやすさ


日本の出入国在留管理庁によると、2023年時点の在日中国人総数は82万1838人。前年比で13%増えている。在留外国人を国別で見ると、中国人が最も多く、日本に暮らす外国人の4人に1人が中国人だ。

2019年にビザ取得の要件が緩和され、外国人が日本に在留しやすくなった背景には、日本の労働力不足がある。

カイシュエンはオーストラリアの大学の学位を持ち、キャリアもあったので、「高度人材」ビザを取得するのは簡単だった。そのようにビザを取得できない人は、語学学校に登録して学生ビザを取得し、日本語を勉強しながら仕事を探す。富裕層が取得する「経営・管理」ビザは、事業を起こすことが条件だ。

中国人が移住先に日本を選ぶもう一つの理由は、漢字だ。これは日本文化が中国の影響を受けてきたことの表れでもある。

「日本語をしゃべれなくても、交通機関で行き先がわからなくなることはありませんし、文章もそれなりに読み解けます。年長者を敬い、子供の教育を重視するところ、それから食文化も似ています」

そう語るのは元ジャーナリストの賈葭だ。現在、東京大学の客員研究員を務める。外見で差別されないのも重要だと言う。

「しゃべらなければ、中国人と日本人は区別できませんからね」


黄金時代から一変


日本の治安のよさも、中国人移民には高く評価されている。ジーンズにTシャツ、白髪交じりの頭にニューヨーク・ヤンキースの帽子をかぶった賈葭は最初、米国への移住を考えていたという。

「でも、待てよ、米国は不潔だし、以前、ニューヨークで二人の黒人に恐喝された経験があったことを思い出したんです」

賈葭のように、肌の色と犯罪を結びつけて語る中国人は多い。

「私の世代は、日本の漫画や日本食レストランで育ったので、日本にはいいイメージがあるんです」
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