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ガーディアン(英国)

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Text by Daniel Robson

いまや日本を代表する歌手となったAdo。2024年には自身初となる世界ツアーで11ヵ国をまわり、その人気ぶりはとどまるところを知らない。3月中旬におこなわれたロンドン公演を前に、英紙「ガーディアン」が彼女にインタビューした。

本人が考える『うっせぇわ』大ヒットの理由


最近、台北のCDショップ内を歩いていたとき、Adoは自分の最新アルバムが大々的にディスプレイされているのを見つけた。

「このディスプレイを担当した店員は、まさか自分がいまここにいるとは思わないだろうな、と思いました。でも、そういう感じにも慣れました。嬉しくなりますね」

この日本人ポップシンガーは、東アジアとインターネット上でスーパースターとなっている。多くのシングルでプラチナセールスを記録し、Spotifyでは600万人を超える月間リスナーを抱えている。

だが、Adoの素顔は厳重に隠されている。彼女は写真や動画で姿を見せることはなく、コンサートではそのシルエットだけが見られる。Zoomインタビューのあいだも、カメラはオフのままだった。彼女は積極的に会話に参加するし、ライブパフォーマンスもパワフルだが、明らかに内向的なタイプだ。

「私のプライベートについてはだれも知らないので、最初は公共の場で自分の声が流れているのが衝撃でした」。そう話す彼女は現在、自身初となる海外ツアーに向けて準備中で、3月には英国公演も控えている。

宅録アーティストとして活動を始めたAdoは2020年、18歳の誕生日の前日にデビューシングル『うっせぇわ』をリリースし、たちまち大ヒットとなった。この曲はSpotifyで1億7000万回近く再生されている。特徴としては、速いパンクビートと権威に疑問を投げかける歌詞、そしてその鋭い歌声が挙げられる。この曲は同調圧力の極めて強い日本に対する痛烈な批判となっており、Adoは反体制的なZ世代の代弁者と見なされた。

「『うっせぇわ』は怒りについての歌で、私みたいな声の女性歌手がこういう曲を歌うのは、当時は珍しかったんだと思います」


音楽の目覚めと、カバーしてみたいアーティスト


Adoは自分では曲を書かないが、楽しそうに歌う。4オクターブ以上の声域を操り、アニメの声優のように気持ちを込め、声をドラマティックに変化させて歌詞に命を吹き込む。

彼女はアーティスト写真の代わりにアニメ風のアイコンを使っており、2022年のアニメ映画『ONE PIECE FILM RED』では、ウタというキャラクターとして劇中歌を担当した。

音楽に目覚めたのは4歳か5歳の頃だという。当時、彼女はボーカロイド音楽に夢中になっていた。ボーカロイドとは、コンピュータで自由に歌声を作ることができる音声合成ソフトで、初音ミクもこの技術によって生み出されたバーチャルシンガーだ。

「最初に初音ミクの声を聞いたときはなんていうか、不快ではありませんでしたが、変な感じがしました」とAdoは言う。
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