ミスコンの最終舞台に備えるファイナリストたち

ミスコンの最終舞台に備えるファイナリストたち

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ニューヨーク・タイムズ(米国)

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Text by Motoko Rich and Hikari Hida Photographs by Shiho Fukada

日本で大学のミスコンは、学園祭の人気イベントであり続けてきた。しかし、米紙はミスコンが「うわべだけの美をあけっぴろげに売り物」にしていると厳しく指摘する。

イオズミ・ユキ(20)は、ウェディングドレスを着たときの肩の見え方が気に入らなかった。

「筋肉が目立ちすぎる気がする」

小柄で細身のイオズミは、空手の稽古で体型が変わったと友人に指摘されたことがある。

「あまり女の子っぽくない」

イオズミが求めているのは、伝統的な女性らしさだ。青山学院大学2年生の彼女は、結婚するわけではない。彼女は2022年の同大学美人コンテストのファイナリストに名を連ねたのだ。日本の大学で「ミスコン」と呼ばれる、うわべだけの美をあけっぴろげに売り物にするこの手のコンテストは、この国で非常に人気が高い。

ミスコンは、日本国内の多数の大学で開催されている。東京大学や慶應義塾大学など、政財界のエリートリーダーの養成所とみなされている名門も例外ではない。

美人コンテストは欧米にもある。だが日本のそれが異なっているのは、学生団体が主催している点だ。そしてミスコンは、男女の役割が硬直化した文化を助長し、女性をそこに押し込めようとする。

日本で学生ミスコンのファイナリストに選ばれると、ソーシャルメディアのアカウントに何千ものフォロワーが集まり、企業からスポンサーのオファーがきて、単発のモデルの仕事を引き受ける者もいる。だがコンテスト期間中、出場者の学業面については言及されず、社会貢献活動もほとんどのコンテストで出場条件とされていない。

青山学院大学ミスコンのファイナリストがファンたちにサービス



ミスコンは、アナウンサーやタレントの登竜門と目されている。コンテストを勝ち抜いた女子学生はバラエティやお笑い番組、ニュース番組などに出演するが、そこで重視されるのは彼女たちの技能や知識ではなく、容姿だ。日本には女性だけでなく男性向けコンテスト(ミスターコンテスト)もあるが、注目を集めるのはもっぱら女性だ。

「古舘プロジェクト」で芸能事務所のマネージャーを務める伊藤輔(たすく)は、「ミスコンは私たちの最大の顧客源のひとつ」と言う。

「会場にはかわいい女性がわんさといます。探すまでもありません」
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