ああ、小菅村でのんびり暮らそう

集落に移住して、古民家ホテルを運営する夫婦の話

自分にとっての豊かさを、思い出させてくれる場所

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古民家を改装したホテルを開業することになり、経過をみせたいといって、ブログの更新をしないまま早くも半年が経ってしまった。

 

それくらい目まぐるしい毎日を過ごしていて、今まで現場でしか働いたことない自分にとって「ホテルをつくる」というのは全てが新しい挑戦。

 

まるで新卒時代に戻ったように手探りで前に進み、たまに分からなくなって逆戻りして、それでもちょっとずつ前へ前へ。

 

そんな感じで行ったり来たりを繰り返しながら少しずつ自分たちの理想とするホテルに向かって歩いている。

 

 

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では、自分たちの理想とするホテルはどんなものなのか?

 

今はまだ全てを話すことはできないけど、ひとつ個人的に提供したい価値として「豊かさの再認識」というものがある。

 

人それぞれ理想とするライフスタイルや大切に想う人がいて、そういった「大切なことを大切にする時間」のことを私は "豊かな時間" と呼んでいるのだけど、ストレスのかかる環境でゆっくりする時間もないくらい忙しい毎日を過ごしていると、意外と簡単に忘れてしまったりする。

 

これは東京のホテルで5年間働き、その後2年間のオーストラリア生活を経て、再び日本に帰国した際に感じた実体験。

 

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向こうでの生活は比較的ストレスなく時間もたっぷり使えたからだろうか、側にいる人のことを想ったり、空の青さや道端の花を見るだけで感動したり、裸足で土の上を歩いて足裏の冷んやりとした感覚を思い出したり、そんななんでもないようなことに「幸せだなぁ」と呟いていた。

 

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帰国して東京で過ごすことが多くなると、その感覚はあっという間に消え去った。

 

空は狭くなって、地面はコンクリートになり、立ち止まって花を見るくらいなら早く歩いて目的地へ行きたくなって、今まで送っていた友人への誕生日メッセージも送らなくなり、何だか常に急いでいる自分に気が付いた。

 

これはやばいなと思った。


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オーストラリアでのライフスタイルと日本のライフスタイル、どっちが正しいとかそうゆう話ではなく、ましてや東京ヤバいから離れた方がいいよとかそんなことが言いたいわけでもない。

 

ただ私はどちらの生活も経験した上で、オーストラリアで覚えたあの「豊かな感覚」は決して忘れたくない。

 

そして、何も考えずに過ごせばすぐに忘れてしまうことも分かった。

 

きっと一年もしないうちに、忘れたことすら忘れてしまう日がくる。

 

そうならないためには「豊かさの再認識」ができる場所があればいい。

 

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休みを頂いて、この一週間オーストラリアに行ってきた。


旅行ではなく、暮らしの旅。


家族のような大切な人たちに会い、門出を祝い、自然に癒される。


美味しいものを食べ、絶景を見て、感動する。

 

どれも忘れられない時間だったけど、実は一番印象に残っているのは日常の延長の何でもないことだったりする。


早起きして、いつものランニングの練習に参加して、いつものようにプールで泳いで、いつものようにコーヒーを飲むあの時間。


あの時間こそが一番の贅沢で、また来たいと思う理由なんだと気が付いた。


インパクトのある"瞬間"ではなく、一連の"ストーリー"にこそ価値がある。


山登りは景色が素晴らしいから感動するのではなく、自分の力で登った先にその景色があるから感動するのだと思うけど、たぶんそれと一緒。

 


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今回つくるホテルも、誰かにとってそんな場所になってもらえたらすごく嬉しい。


忙しく暮らしながらも、仕事だけの人生に疑念を抱いて、生活のバランスをとるためにライフスタイルを見直している人はきっといると思う。


チェックインして、美味しいご飯を食べて、ぐっすり眠る、だけではなく、滞在を通して何かひとつでも「いいなぁ」と心を揺さぶるものを用意できたら嬉しい。


「小菅村での滞在は、何だか大切なことを思い出させてくれる」と、第二の故郷のように毎年どこかの連休を利用して来村するのが当たり前になってもらえたら、これほど幸せなことはない。


ではまた、ぼちぼち更新します。

 

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