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ノーリツ、DataRobotの製品を活用した「AI故障診断支援アプリ」を開発

 湯まわり設備メーカーの株式会社ノーリツは23日、予測AIと生成AIによって機器の故障原因を診断する実証実験を実施したと発表した。米DataRobotのEnterprise AI Suiteを活用して「AI故障診断支援アプリ」を開発し、故障診断時間の短縮と、サービスエンジニアの経験値に依存しない高品質なサービス提供を実現した。今後、対象製品の拡大や海外展開を視野に、さらなるサービス品質の向上を推進するとしている。

 ノーリツでは、従来のアフターサポートは機器の修理訪問時において、故障診断と修理対応はサービスエンジニア個人の経験に依存していたと説明。しかし、メンテナンス製品の多さや機器の複雑さから、サービスエンジニアの知識レベルは経験によって大きな格差が生じ、顧客満足度への影響が懸念されていたという。

 この課題に対し、過去のサービスレポートを分析・共有し、技術ノウハウの継承を推進しており、膨大な修理データをより効率的に処理するため、DataRobotのAIプラットフォームを導入し、予測AIと生成AIを活用した故障診断の実証実験を実施した。

 実証実験では当初、AIの活用範囲は修理データの分析にとどまり、結果データの分類や共有は担当部門にて実施していたが、情報は表計算ソフトで共有されており、アクセス性とリアルタイム性に課題があった。そこで、DataRobotのEnterprise AI Suiteを活用し、現場のサービスエンジニアが入力した情報に基づき、故障内容を自動的に分類し、故障パターンに対応する処理方法を自動で予測・提示する「AI故障診断支援アプリ」を開発した。アプリは、対応機種を限定して10月から検証を実施。サービスエンジニアが、現場でより迅速かつ的確に意思決定が図れることで、問題解決までに要する時間を大幅に短縮できることを確認した。

 サービスエンジニアに対し、問題に関連する情報と予測される洞察情報を即座に提供することで、機器の問題を診断し、解決するために必要な時間を短縮。問題を解決する時間の短縮とサービス品質の向上によって、顧客満足度とロイヤリティの向上が見込めるという。あらゆる経験レベルのエンジニアが最高のパフォーマンスを発揮できるようになり、故障と必要な交換部品を事前に予測することで、現場サービスエンジニアは初回完了率を向上し、移動時間とコストを削減できるとしている。さらに、アプリの活用を通して、エンジニアの早期育成も目指す。

 ノーリツでは、AI故障診断支援アプリの対象範囲を、より幅広い製品カテゴリーに拡大し、2025年2月以降、認定のサービスショップでの利用を展開する。また、米国などサービスエリアの広い国での展開可能性を探る予定としている。