chomoshのブログ

だいたいゲームのこと。

弱者狩りの価値

ちょもすです。20代の僕もぼちぼち死を迎えそうなため、そろそろ何か動き出す必要性を感じてはおりますが、そんなわけのわからんことを考える暇があったらスタックしている原稿を消化するべきだということに気付き、それらをなかったことにする毎日です。そもそもじゃあブログなんかを書いてないで原稿をやれという話なのですが、人生に寄り道は必要です。いつもご迷惑おかけしております。

 

将棋熱

最近の将棋界では僕の敬愛するAbemaTVの企画で非公式ながらも藤井聡太四段が羽生三冠を破り、それはもう天才が現れただのなんだのとすごい盛り上がりなわけですが、実は最近僕も将棋をぼちぼち遊んでいます。というのも、4月の頭くらいに知り合いとノリで将棋を指してみたところ、やっぱり将棋って面白いよなあ、としみじみ感じたからです。

 

もともと僕は将棋小僧で、小学生のときには千駄ヶ谷の将棋会館の2階の道場に遊びに行ったりもしまして、初段を取る程度には頑張っていました。アマ初段というのは別段強いわけでもありませんが、興味本位で対戦を挑んでくる親戚のおじさん等にはまず負けないくらいの強さです。Hearthstoneで例えるとチルウィンドのイェティくらいの強さですね。

 

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昔は将棋を指すために将棋会館まで行く必要がありましたが、現代はスマホでどこでも将棋が指せるようになっています。そんな中僕が最近対戦に使っているアプリが、日本将棋連盟公認の将棋ウォーズというアプリです。

 

shogiwars.heroz.jp

 

対戦の時間設定がかなりカジュアルなので、他のゲームアプリと相違なく電車の中でプレイできたりして重宝しています。なんかこうして書いているとまた「日本将棋連盟の回し者乙」等といったコメントがつきそうですが、今回言いたいのはこのアプリの素晴らしさではなくて、このアプリ内課金のコンテンツがすげえ、ということなんですよ。

 

 

将棋ウォーズの課金システム

このゲームの課金システムは至ってシンプルです。ひとつめは、一日あたりの対局数制限を月額600円で解除するもの。画像でいうところのプレミアム(30日)です。まあよくあるやつですね。

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ふたつめは“棋神”というシステム。最近将棋のAIがめちゃくちゃに強いことは皆さんもご存知かと思いますが、このゲームは課金して棋神=AIを召喚することで、対局中に5手のあいだ代打ちしてもらうことができます。試しに使ったことがありますが、強いです。めっちゃ強い。僕くらいの棋力同士の対戦で使うと子供同士の喧嘩に1分間ザンギエフが乱入するようなもので、勝負所で使うだけでめちゃくちゃ有利になります。

 

対局後、AIに特定場面の最善手を教えてもらえる“棋神解析券”なんかもあります。将棋の対局を課金で勝利するのはなんだかなあという人も、自身の棋力向上に役立てることができるわけです。正直うまくやるなあと思える課金体制なんですが、僕が仰天したのは最後の一つです。

 

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 “対戦相手の強さ「かなり弱め」選択権利(30日)”

 

もともと将棋ウォーズはアカウント設定から対戦相手の強さを「かなり強め」「少し強め」「おまかせ」「少し弱め」の中から選ぶことができるんですが、月額600円課金することで「かなり弱め」が選べるようになるというわけです。

 

いやすごいことですよ。これを始めて見たとき、対戦ゲーマーが嫌というほどTwitterで日ごろ目にする「初心者狩りはゲームを衰退させるからクソ」とか「上級者とばっかり当たるマッチングシステムだからこのゲームはクソ」みたいな言説に日本将棋連盟がいきなり顔面パンチを飛ばしたかのように感じました。

 

今皆さんがプレイしてる対戦ゲームに“対戦相手の強さ「かなり弱め」選択権”が課金アイテムで売ってたらどうなるか想像してみてほしいんですよ。初心者狩り目的のサブアカウントの存在が批判の矛先になっているゲームはそう少なくはないと思いますが、そこに“対戦相手の強さ「かなり弱め」選択権”があったら暴動が起きそうじゃないですか?

 

弱者狩りの価値

でも冷静に考えてみると、これって結構すごいことだと思うんですよね。対戦ゲームにおいて放置されがちな初心者狩りに対してちゃんと向き合っているというか。

 

強者との対戦よりも勝つことそのものが楽しいユーザーの存在を認め、そのうえで「弱い人間と戦うことに月額600円の分が価値があると考える人間も存在しうるだろう」と、そう宣言しているわけです。「強者との戦いから逃げる奴は対戦ゲームに向いていない」なんて吹聴して回る人よりも、よほど説得力があると思いませんか。

 

この弱者狩りシステムが協議のうえ成立したものなのか、実験的に導入されているものかはわかりません。ですが、多くの対戦ゲームよりも圧倒的に歴史の長い将棋という対戦ゲームで、このシステムが受けいれられた、あるいは実験された事実は知っておいてほしいし、何かを考えるきっかけにはなるんじゃないでしょうか。

 

……これ以上踏み込むと僕がインターネット串刺しにあいそうので特に結論は出しませんけどね。こういうところが「ちょもす変わっちまったな」って言われる所以なんでしょうね。いやいやただの成長ですよ。僕も幾分眉間のしわが増えました。

 

 

それじゃあまた。