お前がそれを言うな

昨日に引き続き、民主党小沢代表の企業献金疑惑について。

asahi.comによれば、本件に絡んで民主党鳩山幹事長は11日付のメールマガジンで、以下のように発言したとのこと。

「検察のリーク情報がいかがわしそうなにおいを国民に与え続けながら、実際には修正申告さえすれば済むような問題での逮捕で終わる容疑だとしたら、代表はこのような抵抗勢力に屈するわけにはいかない」と述べ、検察当局を政権交代を目指す民主党にとっての「抵抗勢力」に見立てて牽制(けんせい)した。

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ここで「抵抗勢力」というわけのわからないレトリックを持ってくるところに政治屋の職業病を感じるが、それにも増して率直に「お前が言うな」と感じる。

確かに私も昨日の記事では検察が暴走している可能性に言及し、市民として検察の対応や事件の帰趨をしっかりと見極めなければならないなどと書いたが、それを当事者である民主党の人が言うとかなり違和感がある。

思うに、この件に関しての現時点における民主党のとるべきスタンスとしては、「会計上の処理はあくまで法律に則って処理を行っており、法的な問題は微小だと考えるものの、不透明で誤解を生む資金の流れがあったのは事実であり、今後は法的に最低限の対応にとどまらず、しっかりと世論に応え、引いては今後の政治資金処理に関する手本となるべく透明性を確保することを心がける。」くらいのものではないか。つまり、法的な不備のなさ・少なさを可能な限りアピールしつつ、今回の件を真摯に捉え今後の開示体制に活かしていきますという謙虚な姿勢。これである。


確かに法的な観点から言えば、続報として『小沢氏側献金 4社に迂回疑惑』というニュースも出ており、例えば昨日も追記で紹介した切込隊長氏あたりはなにか鬼の首でもとったかのように怪気炎をあげているものの、記事内には『小沢氏の政党支部に献金』ともある。であれば、迂回かどうかは知らないが、少なくともいまのところ法的な問題は明らかにはなっていないのではないか*1。


然るに、検察の捜査が無理筋であるという鳩山氏の論旨には私も同意するところではある。ただ、そうは言っても政治家という職業は、じゃあ法律だけ守っていればいいのかというと決してそんなことはない職業であると認識している。上の鳩山氏の発言は、極めて単純化して言えば「ちゃんと抜け穴ついてますから!検察ざまぁw」という開き直りともとれ、とてもとても褒められたものとは思えない。事件を矮小化するようで恐縮だが、ブログの炎上も大半は「自己の正当性を頑なに主張する姿勢」というブログ主の燃料投下によって完成される。それと同じ対応をしてしまってはいまいか。

大体からして、政治家という公共事業における業者選定に関する意思決定に少なからず関与する身分として、その業者から寄附を頂戴するという行為が政治倫理上潔白であるという主張は微塵も理解できない。


最後に念のため誤解のないように申し添えるが、私の民主党に対する視点と検察に対する視点はまったく別の次元である。いまのところどちらの対応もかなり微妙だよな、というのが私の認識。