2025年度から始まる多子世帯の大学無償化って?制度の詳細を解説!

こんにちは、ぱおたです。

ネットニュース等で見ている方もいるかもしれませんが、2025年度から、多子世帯(扶養している子供が3人以上いる世帯)の大学等授業料無償化が始まります。
この制度が一体どういった制度なのか、対象者や申請方法について、現役奨学金担当大学職員として解説していきます。

現時点で分かっている情報に限りがあるため、今後変更があるかもしれません。ご了承ください。

制度の概要

概要については文部科学省のHPの「高等教育の修学支援新制度」から確認できます。

www.mext.go.jp

簡単にまとめると
・2025年度から
・扶養している子供が3人以上いる世帯(多子世帯)は
・所得制限なく
・授業料と入学金が減免される
制度です。

 

2020年度から始まった「高等教育の修学支援新制度」を拡充する形で実施されます。

「高等教育の修学支援新制度」は、家計基準と学業基準を満たしたら、給付奨学金と授業料減免をセットで受けられる制度です。
給付奨学金と授業料減免の金額は、家計基準によって、支援額が大きい順に第Ⅰ区分から第Ⅳ区分の4つに分けられています。(なお、第Ⅳ区分は私立理工農大学生、多子世帯のみ対象です。)

今回の拡充で、「高等教育の修学支援新制度」にこれまで家計基準を満たさず制度の対象にならなかった学生が、子供3人以上扶養している世帯であれば、授業料減免のみ第Ⅰ区分として支援を受けられるようになります(給付奨学金は対象外になります。)。
また、「高等教育の修学支援新制度」の第Ⅱ区分から第Ⅳ区分に採用されている学生が、子供3人以上扶養している世帯であれば、授業料減免のみ第Ⅰ区分として支援を受けられるようになります(給付奨学金は家計に応じた区分になります。)。

 
多子世帯とは

多子世帯とは、「子供を3人以上扶養している世帯」です。
就職等によって扶養から外れたことで扶養している子供が2人以下になった場合は、授業料減免は打ち切りになります。
ただし、児童手当とは違い扶養している子供の年齢制限はありません。そのため、子供が3人の世帯で第1子が大学院進学によって本制度の対象外になったとしても、扶養人数にはカウントされるため、第2子以降も本制度の授業料減免を受けられる可能性があります。
詳細については文部科学省HPか以下の画像から確認できます。

多子世帯イメージ図①(文部科学省HPより引用)

多子世帯イメージ図②(文部科学省HPより引用)

多子世帯イメージ図③(文部科学省HPより引用)

 

申請基準(家計・学力等)

家計基準

家計については一切の制限がありません。
子供を3人以上扶養している世帯であれば、年収がいくらあっても所得制限はありません。
なお、従来の「高等教育の修学支援新制度」で第Ⅰ区分から第Ⅳ区分に該当する家計の場合は該当区分の給付奨学金と第Ⅰ区分の授業料減免を受けられることになります。

学力基準

学力については、従来の「高等教育の修学支援新制度」と同様に、以下の基準が設けられています。(2024年度時点)
それぞれいずれかに該当すれば基準を満たしたことになります。

入学後1年を経過していない人(新1年生等)

  1. 高等学校等における評定平均値が3.5以上であること、又は、入学者選抜試験の成績が入学者の上位1/2の範囲に属すること
  2. 高等学校卒業程度認定試験の合格者であること
  3. 将来、社会で自立し、活躍する目標を持って学修する意欲を有していることが、学修計画書等により確認できること

入学後1年以上を経過した人(2年生以上)

  1. GPA(平均成績)等が在学する学部等における上位1/2の範囲に属すること
  2. 修得した単位数が標準修得単位数以上であり、かつ、将来、社会で自立し、活躍する目標を持って学修する意欲を有していることが、学修計画書等により確認できること

他にも細かい基準がありますが、従来の「高等教育の修学支援新制度」と大きな変更はないと見込まれます。

詳細については2025年4月以降、進学予定の学校や在籍している学校で申請をする前に確認してください。

 

支援金額

支援金額は、学校種別(大学、短期大学、高等専門学校、専門学校)と設置母体(私立、国公立)によって異なります。
詳細は文部科学省のHPか以下の画像から確認できます。

授業料減免額一覧(文部科学省HPより引用)

 

申請方法

2025年4月に、在籍している学校の案内に従って申請手続きをしてください。

2025年度が制度開始年度のため、進学前に高等学校等を通じた予約採用は行わず、在学採用のみ行います。

そのため、子供を3人以上扶養している世帯で
・2025年度入学予定で
・高等学校等を通じた予約採用で給付奨学金に申請し
・採用候補者決定通知で給付奨学金が「不採用」になっている
場合、入学後の在学採用で再度申請が必要です。

ややこしいですが、予約採用で不採用になっていても、子供を3人以上扶養している世帯であれば在学採用に申請することで授業料減免が受けられる可能性があります。

 

注意点

その他、注意点をいくつか記載していきます。

高校卒業からの期間

従来の「高等教育の修学支援新制度」と同様の申請基準になる場合、初めて高校等を卒業してから2年を経過していないことが申請条件の1つになります。

例えば2022年3月に高校を卒業した場合、2024年度に入学していれば申請できますが、2025年度以降に入学すると申請できません。

編入学や高等学校卒業程度認定試験利用の場合など、それぞれで申請条件が定められているため、申請条件を必ず確認してください。

成績による廃止・返還

支援を受けている学生は毎年3月に適格認定(学業)が実施され、翌年度も継続できるかが決まります。
詳細については在籍する学校に確認する必要がありますが、2025年度から従来より厳格化される予定なのでご注意ください。

2025年度以降の学業基準(文部科学省HPより引用)

 

まとめ

今回は2025年度から始まる多子世帯の大学無償化について解説しました。

多くの子供を育てる世帯にとっては大きな支援になりますが、申請しなければ支援を受けられません。
希望する場合は必ず在籍する学校に申請をしてください。

申請時期は2025年4月ごろになるので2025年3月中旬ごろに問い合わせるといいかもしれません。
(現時点では学校にも詳細な情報が回ってきていないため、学校に問い合わせても答えるのが難しい状況です。)

お読みいただきありがとうございました。

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