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スバル/STI、2022年のSUPER GT参戦マシン「SUBARU BRZ GT300 2022」シェイクダウン 空力性能の向上とセットアップを極めて“曲線番長”仕様に
2022年2月25日 20:50
- 2022年2月25日 発表
スバル/STI(スバルテクニカインターナショナル)は2月25日、富士スピードウェイにて2022年のSUPER GT GT300クラスに参戦する「SUBARU BRZ GT300 2022」をシェイクダウンするとともに、取材会を開催した。
シェイクダウン走行の前に行なわれた取材会では、STIから代表取締役社長の平岡泰雄氏、同じくSTIから総監督の小澤正弘氏。そしてR&Dスポーツから監督の澤田稔氏、ドライバーの井口卓人選手と山内英輝選手が出席してあいさつを行なった。
最初にあいさつしたのはSTIの平岡氏。平岡氏はまず「2021年は皆さまからの熱い応援を勇気に変えて、各レースを全力で戦いました。その結果、念願でありましたシリーズチャンピオンを取ることができました。応援していただいた皆さまには本当に感謝しています。ありがとうございました」と、2021年GT300クラスのシリーズチャンピオン獲得について触れた。
続いて今シーズンの抱負だ。平岡氏はまず「もちろん2連覇を目指しています」と切り出すとともに、「GT300において2連覇を達成したチームはないと聞いています。それだけハードルの高いものだと思いますが全力で戦います。皆さまもよくご存じのようにわれわれのチームは“非常にいいチーム”になっています。また、マシンの準備も万端です。そういった体制をもって史上初の2連覇を達成するべく戦っていきますので、皆さまには変わらぬ応援をお願いしたいと思います」とコメントした。
続いてマイクを取ったのはチーム総監督の小澤氏。小澤氏は「2021年は皆さまから熱い声援をいただき、さらにはスポンサーの方々から技術的な協力も賜りました。レースの展開としては前半戦こそ苦労が多かったのですが、後半戦に入るとすごくいいレースをすることができました。そして悲願だったシリーズチャンピオンを取ることができました。今年は前シーズン後半戦の好調さを維持したままクルマをさらに進化させ、皆さまから見て“いいレースだった”と思っていただけるような展開にしていきたいと思っています」と語った。
また、マシンのメンテナンスなどを担当するR&D SPORTの澤田氏は、2021年の応援のお礼を述べたあと「今年もチーム体制、人員に変わりはありません。強いて言えば私が監督という立場になったことです。前任者のときから引き続き、皆さまに応援していただけるように強く、そして魅力のあるチームにしていきます。今年も最後までいいレースをお見せしていきたいと思っています」と述べた。
そしてドライバーを務める井口選手は、「2021年は皆さまの応援のおかげでシリーズチャンピオンを取ることができました。本当にどうもありがとうございました。シリーズチャンピオンを取ることはできましたが、ドライバーとしてはミスもありました。また、もっともっと強くなっていい走りをしていきたいという思いがありますので、今年はドライバーとしての精度をより高めていきます。そしてチーム一丸となって2連覇達成を目指します」とあいさつした。
最後は山内選手。「2021年はいい結果で終わることができました。連覇を目指して今年も頑張っていきたいと思っています。引き続き応援をよろしくお願いします。個人的な目標としては最多ポールポジションというものを取っていけるように精一杯努力をしていきたいと思っています。最多ポールポジションは13回も取っている方がいるので、今年のレースで連続するだけでなくもっと先まで続けて、その記録を超えていきたいです。もちろんレースもいい内容をお目にかけられるよう頑張っていきます」と語った。
空力性能の向上とセットアップを極める
チームを代表するメンバーからのあいさつが終わると、SUBARU BRZ GT300 2022の車両説明が小澤氏から行なわれた。
小澤氏によると、2022年の取り組みはまず目標を“シリーズ2連覇”に置くことだった。そして具体的には「全戦ポイント獲得」を挙げた。2021年もチームポイントは全戦で取れていたが、ドライバーポイントに取りこぼしがあったので2022年はそこも含めての全戦ポイント獲得ということだ。
車両については空力性能の向上とセットアップを極めているという。BRZはとにかくコーナリング性能がいいクルマなので(小澤氏はコメント内で曲線番長という表現を使った)、その性質をさらに伸ばしてコーナリングだったらどのクルマにも負けないよう仕上げていくという。
なお、2021年にシリーズチャンピオンを取っているので、2022年はパワーウェイトレシオの面で何らかの規制が入ると考えているという。そんなことが想定される中で、BRZはトップスピードでライバルに差をつけられているとしており、そこに規制が入るのでさらに厳しい状態となるが、2022年のBRZは空力性能を向上させているという。また、シャシー性能を向上させるためのポイントもオフシーズンに行なった調査・テストで見つけているという。
エンジン関係については、以前から使い続けてきたECUを刷新。最新ECUへ変更した。ちなみに2021年まで使っていたECUは2003年くらいに活動していたWRC時代のマクラーレン製ECUを使い続けていたという。
最新テクノジーの塊というイメージのGTマシンに、2003年のECUが使われていたことは驚きだが、2021年の戦績から分かるよう戦闘力として不足はなかったし、使い慣れているECUならではの安心感や信頼性があったのであえて変えてこなかったということだ。しかし、シリーズチャンピオンを獲り、連覇を狙う上では進化させることも必要だと考えたということ。2022年から採用したのはモーテック製ECUだ。
取材会のあとは、富士スピードウェイレーシングコースを占有してのシェイクダウン走行が行なわれた。最初ということで数周走ってはピットに戻っての車両チェックを繰り返していたが、BRZが走る姿を見ると2022年のSUPER GTがもうすぐはじまるということが実感できた。BRZはもとより、各車の戦いをぜひ楽しみにしてほしい。