F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第116回:アジャー選手初表彰台3位獲得おめでとう! ピアストリ選手優勝おめでとう! 角田選手、フェルスタッペン選手、ルクレール選手、ノリス選手……大波乱だったオランダGP

 オランダGP。なんと申しましても、今回はアジャー選手の初表彰台3位獲得が素晴らしかった! 予選も4位!

 しかも、PU(パワーユニット)トラブルで金曜日まともに走れない状況からですよ!

 しかも、今年デビューのルーキーですよ!

 まさに快挙! 才能と努力と運。

 荒れたレースをしっかりと走り切って得た初表彰台。満点の結果を持ち帰ったのではないでしょうか!

 おめでとう!

 RBのホンダPU担当の日本人3人。

 真ん中の法原さん、「2021年のアゼルバイジャンGPでガスリー選手が3位になって以来の表彰台だから嬉しい!」って語ってました!

 今回は2回もPU交換してお疲れだったんじゃないでしょうか? 結果よければ問題なしですよね!

 下の写真の右側、角田選手のPUエンジニア、ロブ・ミラーさん。このGPでホンダスタッフとして最後の仕事となりました。日曜日のドラパレ前に角田選手とホンダスタッフ全員と記念撮影。

 ロブさん、次の仕事先でも頑張ってという雰囲気でした!

 地元GPのフェルスタッペン選手は予選3位! マクラーレンのスピードにはかないません。

 大グランドスタンドは今年も満員です。

 当たり前ですが、フェルスタッペン選手の応援が半端ないです。

 あとで、スタートのシーンをメディアセンターのモニターで見ましたけど、ノリス選手の前に出なければという気持ちと、ほんの少し車体の姿勢が乱れたときのリカバリーがカッコよすぎでしたね。

 2位を持ち帰った姿も印象的でした。

 レッドブルの新しいフロントウイング。今回から、フェルスタッペン選手と角田選手のマシンのスペックが同じになったそうです。

 角田選手。結果を出さねばなりません。

 予選、12位となりました。同仕様のマシンでフェルスタッペン選手が3位ですからね。もう少し近付きたかったですね。

 レースは9位入賞。ひとまず2ポイント加算です。

 レースを戦っている3日間では、それぞれいろんな事象が起こります。マシンのトラブルや、作戦の成功、失敗。ドライビングがうまくいくこともいかないこともあります。

 その全部がうまくいくことなど、ほとんどないのではないでしょうか?

 少しでもミスなく、刻々と変化する天候や路面、ライバルチームの動きなどを総合的に判断して、うまく噛み合わせると結果が出る。

 角田選手中心に見ていると、どうしていつも角田選手ばかりがトラブルが出るのだよ! って思ってしまいますけど、実はそんなことはなく20人のドライバー全員が同じようにその場で対処しながらチームともに戦っているんですね。

 例えば、上の写真、終盤の争いですけど、ベアマン選手はなんとしてもポイント獲得に向けて走っています、後ろのアロンソ選手はマシンのポテンシャルがあるのにピットインするタイミングが最悪すぎてプンプンしながら走っています。

 フェラーリは2台ともリタイアです。ルクレール選手はいいレースをしていたのに、アントネッリ選手に当てられてしまったわけですし、ハミルトン選手は自滅。

 ハース、今回は久しぶりにポイント獲得、しかもダブル入賞!

 ベアマン選手がピットレーンスタートから6位入賞という素晴らしさ! オコン選手がDRSで引っ張る作戦で10位ということでした。

 予選の順位が最悪になって、それからのリカバリーをどうするか、レース後に小松さんに話を聞けなかったので想像するしかないですけど、スタートでハードタイヤを選択したのもその作戦の一部だろうし、それをうまくレース中の作戦にアジャストできたのがよかったんじゃないでしょうか。

 チームのランキングは9位ですけど、6位のアストンマーティンまで18ポイント差です。

 大切なレースが続きます!

 勝ったのは、ポールtoウィンのピアストリ選手。

 マクラーレンの1-2って思っていたのにノリス選手がPUトラブルでリタイア。ノリス選手にしてみれば、チャンピオンシップに向けて悔しいリタイアとなりました。

 サインツ選手にしてみれば、ローソン選手と接触してしまってパンク、ペナルティもありその時点で入賞なしになってしまいました。

 ローソン選手にしてみても、同様の気持ちです。

 うまくレース全体を噛み合わせる難しさを感じたオランダGPでした!

 ボッタス選手、来季はペレス選手とともにキャデラックで復帰。

 立ち上げで大変でしょうけど、やっぱりレースドライバーであることが大事ですからね。

 ストロール選手は2度のクラッシュでした。

 天候が不安定なザンドフォルトサーキット。

 雨予報が毎日だったけれど、レインタイヤが出る幕はなかったですね。

 オランダGPは来年が最後になるそうです。

 お客さんが、たくさん来ているのに、継続ができないという現実。2021年に復活して今年で5年目。少しお客さんの入りが停滞している雰囲気はあります。

 それはフェルスタッペン選手の成績という側面はあるのかもしれません。

 古いサーキットでパドックとガレージが離れていたり、使い勝手が悪いということもあるかもしれません。

 でも、僕はここで写真を撮るのが好きですね。

 金網も少ないし、コースを走るマシンとの距離も近いし、高低差もあるし、コロコロ変わる天候は写真を撮る味方になってくれるし。

 隔年でも開催してほしいと思うサーキットです。

 もし、海外F1観戦を考えている方がいらっしゃれば、ぜひ来年の観戦をお勧めします!

 日本から観戦組の方。ほかにもチラホラいらっしゃっていたようです。

 早朝から夜遅くまで熱心なファンの方たくさんでした。

 街中にはフェルスタッペン選手のポスター。

 今回のレンタカーは、ボルボ・XC60 T8、元の予約から大アップグレードです。調べると、900万円を超えるクルマだそうです。高級車です。

 ハイブリッドで、モーターの加速はスムーズで力強いし、乗り心地はしなやかで快適とも言えるけれど、フワフワとも言える。

 車重は2180kgと軽々2t越え、馬力は318PS、重さはひしひしと感じます。

 大きくて重いクルマを柔らかいサスペンションと電気の加速で走らせるクルマ。長距離走っても疲れない感じ。

 SUPER GTの取材に鈴鹿で借りていた軽自動車ミラバン! 2018年に生産が終了したモデルだそうです。

 車重は710kg、58PS。新車価格70万円台~。走行距離10万km……。

 ハンドル切るとシュッと曲がる軽いは正義、車体はガタピシ激しい、遅い、けどちょっと楽しい。エアコン効いてます! でも長距離は嫌かも。

 次戦はイタリアGP、伝統のモンツァ! スパゲッティが楽しみ!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。