2024年11月22日、耳を疑うような事件が明らかになった。

 なんとメガバンクの元行員が貸金庫の金品を盗んでいたという。犯行期間は4年半で、約60人ものお客さんが被害に遭い、総額はなんとなんとの時価約十数億円だ(元行員の供述に基づく被害状況。調査継続中)。

 三菱UFJ銀行によると行員は貸金庫の管理責任を担う立場にあったというのだから、さらに驚きである。同行は貸金庫はお客さんに無断で開扉することができないよう、厳格な管理ルールを定め、「第三者による定期チェックの仕組み」も導入していたが、「再発防止に向けた取り組みなどの検討も速やかに進めてまいります」とした。(参考:https://www.bk.mufg.jp/news/admin/news1122.pdf

 あまりに衝撃的な事件すぎたおかげで、すっかり忘れていた記憶が「ポンっ!」とよみがえった。

 これはデジャブだ。

 まだ三和銀行だった1981年3月、茨木支店(現・三菱UFJ銀行茨木支店)の女性行員がオンライン端末を使って1億8000万円を横領し、マニラへ逃避行。「好きな人のためにやりました」という発言が話題を集め、ドラマなどにもなった。愛に目がくらんだ入行12年目の女性行員が目をつけたのが、セキュリティーが甘いオンラインという新しいシステムであり、この事件がきっかけとなって新設されたのが電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)だ。

 むろん「愛の逃避行事件」=三菱UFJ銀行ではない。しかし、2度にもわたり「三菱UFJ銀行」と名前が記された事件が起きてしまうとは、やはり驚きである。しかも、81年の事件はセキュリティーの隙間を突いた犯行だったのに対し、今回は「貸金庫の管理責任を担う立場」の行員の犯行だ。ん? これもセキュリティーの甘さなのか?

 いずれにせよ、貸金庫の管理責任を担う立場の行員が盗んでいただなんて、銀行が銀行という組織の体を成していないし、「勘定が1円でも合わないと帰れない」といわれた銀行で、十数億円も消えるだなんてあり得なさ過ぎる。

 「再発防止に向けた取り組みなどの検討も速やかに進めてまいります」なんて悠長なことを言ってる場合なのだろうか。

 そして、2024年11月27日には、開いた口が塞がらない驚きの事実が明らかになった。

 なんと大手メディアの記者が、事実確認をしないまま記事化していたという。

 11月24日に、生稲晃子外務政務官が参院議員就任後の靖国参拝を否定したことを受け、共同通信社が当時(22年8月15日)の取材過程を調べたところ、見間違えだったことがわかった。当日の取材は靖国神社の3カ所の入り口を、複数の報道機関で分担して取材し、他社の記者から「稲田朋美、生稲議員入りました」という情報があったが、生稲氏本人に確認取材をした記載はなかったという。

 共同通信社は「生稲晃子参院議員(現外務政務官)の靖国神社参拝報道は誤りでした 。深くおわびします」と謝罪記事をHP上に掲載し、「再発防止策を内外に説明します」とした。

 またもや「再発防止」の4文字である。

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