眉を手入れする=ビジュアル系バンドのメンバーのような細眉にする。筆者は、そんな先入観を持っていた。
だが、東京で3店を展開する男性専用の眉サロン「+8(プラスエイト)」の代表である佐々木啓介氏は、「今の眉の形を生かして提案するので、希望がない限りは極端な眉にはならない」と語る。また、一目瞭然で変わったと気づかれるほどではないが、顔の印象は明るくなるという。
そう言われてもなかなか実感がわかない。そこで、実際に施術してもらうことにした。
体験したのは、眉のタイプが違う編集者と筆者の2人。編集者は眉は薄く、「手入れはほとんどしていない」という。一方、筆者の眉は濃い。また伸びるのが早いため、1~2カ月に1回、髪を切る際に長さを整えてもらっている。この異なるタイプの2人に対して、プラスエイトはどのような提案をするのだろうか。
強さを出すか、優しさを出すかで眉の形は変わる?
プラスエイトでは、まずカウンセリングからスタートする。「希望する眉のイメージは?」「眉に関する悩みはあるか?」といった質問状に記入し、専門の資格を持ったスタッフと眉のイメージの方向性を詰めていく。
2人とも答えられなかったのが「眉の形の希望」について。すると、それぞれに対して、異なる提案が出てきた。
「男性の眉の形は、大きく3種類あります」(佐々木氏)。1つ目は、一直線の力強い「ストレート」タイプ。強さを出したいという方に向くという。
2つ目は、眉の端がゆるやかなアーチになっている「コーナー&アーチ」タイプ。「優しさを出したいときはアーチが効果的。目全体のイメージが柔らかくなります」(佐々木氏)
そして3つ目は、端が鋭角になった「コーナー」タイプだ。「きりっとした仕上がりで、ストレートタイプとは異なる力強さが出ます」(佐々木氏)
編集者の眉は、まず「余分な部分があるので、すこしぼやけた印象になっている。そこをすっきり取るだけで清潔感が出て、若々しさが出ます」とのこと。さらに眉の横幅、長さがあるので、ストレートタイプが向くという。
一方の筆者の眉は、「もともと短めで、ストレートタイプにするとさらに眉毛が短くなり、すこし老けた印象になる可能性がある。ゆるやかなコーナー&アーチタイプがオススメ」という。
筆者は眉が濃く一本一本が長く伸びるため、「眉が短め」と言われて意外だったが、たしかに編集者の眉と比べると、目尻の上くらいの場所までしか眉がない。自分に似合った眉の形は、眉の幅で変わるようだ。
なお、コーナータイプは、ガラッとイメージが変わってしまうので、「初回はオススメしない」とのことだった。また、社会人がコーナータイプにすると眉毛だけイケイケな感じになって、不自然になるという。
瞬間の痛さ! ワックス初体験
カウンセリングが終わると、白いペンシルで仕上がりイメージを眉毛の周りに書き込む。「いきなりワックスで処理するのではなく、仕上がりを納得してもらう」ためだ。処理すると、白い線の内側の眉が残るという。
なお、デザインは体を起こした状態でとる。「眉は、通常重力で下に引っ張られている。寝た状態でデザインを取ってしまうと、起き上がったときにまったく違う仕上がりになってしまう」という。
イメージが固まったら、リクライニングチェアに移動して寝た状態で長い毛をカットし、しっかりとワックス脱毛を行うために専用の保湿ジェルを使って毛穴を広げる。
そして、いよいよワックスへ。プラスエイトでは眉専用ワックス剤を使用。「足や腕と違い、眉は短い。短い眉でもしっかり毛根から抜ける、強めのワックスです。でも肌への負担は少ない」(佐々木氏)
ワックス剤を塗り毛根から一気に抜く。「普段抜いていない人は、毛根がしっかりしているので、やや痛いと感じることもあるかもしれない」(佐々木氏)とのこと。編集者は、「一瞬痛いが大したことはない」というが、筆者は眉毛の下、皮膚が柔らかいまぶた部分がやや痛かった。
ワックスをはがした後は、残った細かな毛を毛抜きで一本ずつ除去して完成だ。
仕上がった眉の印象はどうだろうか? 2人ともムダ毛がなくなり、すっきりとした印象だ。だが、“やりすぎた感”はない。
プラスエイトでは、どのくらいの頻度で来店するようにすすめているのかとたずねると「自分のペースでよい」とのこと。
「個人差がありますが3~4週間たつと、毛が生え変わる。また、うぶ毛も生えてくるので気になり、1カ月~1カ月半で再度来店する人が多いです」。ただし、身だしなみの捉え方は人それぞれ。ニーズに応じて来店してもらえればいいという。「大事なプレゼンやデートの前にだけ来る人もいるし、面接前に来る就活生も多いです」。
なお編集者と筆者は、この体験後、「何か言われるかな?」とひそかに期待しながら編集部に戻ったが、残念ながら特に反応はなかった。やや寂しかったが、事前に体験することを知っていた人は、一様に「変わった」という。
ちなみに、編集者は「家族にも気づかれなかったので残念だが(笑)、自分ではさっぱりしたという満足感がある。身だしなみに気を使っていると思えるし、気持ちの切り替えにもなる」との感想。
これは、「誰もが気が付くものではないけれど、印象は変えられる」という佐々木氏の言葉が、まさに当てはまる結果だ。大胆なイメージチェンジではなく、さりげなく印象を変えたいという人の「第一歩」として、眉メークは向いているかもしれない。
営業時間:月~金 12:00~21:00、土日祝 10:00~19:00
電話番号:03-3535-2055
眉スタイリングは60分(初回限定3700円、税込み)。
http://www.plus8.bz/
(文/羽田健治 写真/稲垣純也)
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