芝士共和国というチーズタルトの専門店が中国全土に次々と出店しています。日本の影響を色濃く受けている……というより完全にコピーしています。
悪い意味で「中国らしい」チーズタルト専門店
芝士共和国(Cheese Republic)という、チーズタルトを扱うチェーン店がじわじわと増えている。店舗数は公表されていないが、中国全土に100店舗程度は展開されているようで、沿岸部から内陸部の都市まで満遍なく進出している。
同チェーンのウェブサイトには、「オーストラリアから輸入したチーズを使用。日本では1日1500個のチーズケーキが完売するという超人気店。台湾でも大人気。それが中国に上陸した」といった記載があるが、日本で「チーズ共和国」という店名を耳にしたことのある人はほとんどいないと思う。どうやら先の文言の意味は、“芝士共和国とは何の関係もない”日本のチーズタルト人気店と似たような製品を売り始めましたよ、ということらしい。商品ジャンルやコンセプト、パッケージまで似ているあたり、悪い意味で中国らしさが出ている。
日本製品が“パクられた”と思うといい気はしないが、これは日本製スイーツの人気が高いことの裏付けともいえる。中国でコピー商品が出回るということは、“本家”が魅力的であることの証しなのだ。
ちなみに芝士共和国の親会社は上海のアパレル企業であり、飲食業界に進出したのはこの数年のこと。中国企業らしく、さまざまな業界に手を広げていった中で、芝士共和国がそこそこの成功を収めているという状況だ。
芝士共和国はチーズケーキの空白地帯を埋めた
芝士共和国の主力製品は3つ。チーズケーキとチーズタルト、それにカルデラのような形状の火山口ケーキだ。価格は各39元(約700円)。
とはいえ、毎年のように物価が上昇している中国では決して高いわけではなく、むしろ安い買い物のようだ。ネットの評価を見ても価格についてのコメントはなく、「おいしい」と味を評価するコメントばかりが目立つ。
それもそのはず、芝士共和国が登場するまで、ケーキ専門のチェーン店は北京、上海くらいにしかなかったのだ。また個人の店はおしなべて質が低く、「まずくて危険」という認識が広まっているほど。ベーカリーチェーンの「BreadTalk(面包新語)」「85℃」などは地方都市にもあり、ケーキも販売されてはいるが、やはり「おいしい」というレベルではない。芝士共和国は、ケーキチェーンの空白地帯に現れた新星なのだ。
ネットの口コミが多大な影響力を持つ中国では、チェーン店は強い。誰かが「食べた」「おいしかった」とネット上に書き込めば、それを見た人も近所のチェーン店に足を運ぶからだ。芝士共和国の快進撃はまだまだ続きそうだ。
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