ジャパネットたかた創業者の髙田明さんと、AKB48総監督の高橋みなみさんの特別対談をお送りします。43歳差の2人の共通点は、組織を率いるリーダーの役割を、自らも現場の最前線に立ちながら担ってきたこと。2人が語る、リーダーに必要な覚悟とは。

写真:鈴木愛子(以下同)
写真:鈴木愛子(以下同)

髙田:僕の約3分の1(の年齢)だよね。

高橋:今24歳です。

髙田:僕は67歳です。

高橋:本当にお若いですよね。

<b>髙田明(たかた・あきら)=ジャパネットたかた創業者</b><br/>1948年長崎県生まれ。大阪経済大学卒業後、機械製造会社勤務を経て、父親が経営するカメラ店で働く。86年に独立し、カメラ販売の「たかた」(現ジャパネットたかた)を設立。ラジオ通販で手応えをつかみ、通信販売にシフト。94年からテレビ通販にも進出し、業績を大きく伸ばす。2015年1月、社長を長男・旭人氏に譲り、退任。現在はA and Live社長
髙田明(たかた・あきら)=ジャパネットたかた創業者
1948年長崎県生まれ。大阪経済大学卒業後、機械製造会社勤務を経て、父親が経営するカメラ店で働く。86年に独立し、カメラ販売の「たかた」(現ジャパネットたかた)を設立。ラジオ通販で手応えをつかみ、通信販売にシフト。94年からテレビ通販にも進出し、業績を大きく伸ばす。2015年1月、社長を長男・旭人氏に譲り、退任。現在はA and Live社長

髙田:整形していませんよ(笑)。髪も自分の髪。10年くらい前に、女性誌に自毛じゃない疑惑を書かれたことがあって。あるタレントさんが来たときに自毛であることを証明するために髪を引っ張ってもらいました(笑)。そうそう、お誘いを受けてAKBさんのライブを観に行ったこともありますよ。

高橋:そうなんですか! ありがとうございます。

髙田:観に来ているファンの人たちとの一体感がすごかった。女の子たちが一途に一生懸命に頑張っている姿を見ただけで、胸にぐっときましたね。年齢に関係なく、人間が燃焼している姿というのは本当にすばらしい。その感動がずっと残っています。うちの社員にもAKBのファンがいて、僕の隣の席で一生懸命声援を送っていて、ちょっと恥ずかしかったんだけど。それだけみんなを元気づけているAKBはすごいなと思いました。

 AKBの300人を超える女の子たちを1つにまとめていくのは大変でしょう?

「メンバー」ではなく「その人」と向き合う

<b>高橋みなみ(たかはし・みなみ)=AKB48グループ総監督</b><br/>1991年東京都生まれ。2005年、AKB48第1期メンバーとして活動開始。2009年にチームAのキャプテン、2012年にAKB48グループ総監督に就任。現在、Eテレ「いじめをノックアウト」やフジテレビ「ミライ☆モンスター」などにレギュラー出演中。また、2015年4月からは法務省矯正支援官を務めている。12月24日に著書『<a rel="nofollow" href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062198967/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4062198967&linkCode=as2&tag=n094f-22">リーダー論</a>』を発売予定
高橋みなみ(たかはし・みなみ)=AKB48グループ総監督
1991年東京都生まれ。2005年、AKB48第1期メンバーとして活動開始。2009年にチームAのキャプテン、2012年にAKB48グループ総監督に就任。現在、Eテレ「いじめをノックアウト」やフジテレビ「ミライ☆モンスター」などにレギュラー出演中。また、2015年4月からは法務省矯正支援官を務めている。12月24日に著書『リーダー論』を発売予定

高橋:そうですね。私は"自分の背中"を見せることを大事にしています。例えば「掃除をしなさい」と指示されるにしても、掃除をしてないリーダーに言われるより、いつもきちんと掃除をしているリーダーに言われたほうが「やろう」という気になりますよね。

 あと、グループというのはどうしても「リーダー1人対メンバー大勢」になりがちですけど、やっぱり個々との関係が大切じゃないかなって。メンバー一人ひとりとしっかりコミュニケーションを取れていないと、グループとしてうまく回らないと思っています。

髙田:それはどこで気づいたんですか。

高橋:たぶん、失敗からだと思います。メンバーに「こうじゃないか」と話したときに、「こう言っちゃうと傷つくんだ。これくらいのさじ加減じゃなきゃいけない」とか「女の子はプライドの高い生き物だから、面と向かって1対1で言わないようにしよう。注意したければ特定の1人にではなく、全員に向かって言おう」とか、少しずつ学んでいきました。

髙田:24歳とは思えない。年齢をごまかしていませんか(笑)。

高橋:大丈夫です(笑)。1991年生まれの24歳です。髙田社長はどんなふうに社員の皆さんをまとめてきたのですか。

9叱って、1しか褒めない

髙田:たかみなさんと同じですよ。社員に自分の背中を見せながら、ずっと走り続けてきました。何より大事なのはやっぱり社員を愛することかな、と思いますね。

 僕はこう見えて結構厳しいので、10のうち9叱って1しか褒めない。だから社員は疲れちゃうときもあると思う。でも僕がなぜ叱るかといえば、社員がかわいいからです。お父さん、お母さんが子供を叱るでしょう? それと同じです。愛しているから、成長を願っているから社員を叱る。ただその思いが少し強すぎるのかなと思うときもありますね。恐らく社員はそんな僕の気持ちを分かってくれていると思うんだけど。

高橋:たとえ叱られても愛のある言葉をもらうのはうれしいと思います。もちろん叱るといってもキレたら駄目ですよね。それだとただ自分の感情をぶつけるだけ。叱るのはその人のことを本気で思っていないとできないと思います。

髙田:「自分のためを思って言ってくれている」と心から感じたときに、人間はその言葉を受け止められる。そうじゃないですか。

高橋:そうですね。

髙田:でも、そこまで理解してもらうのは簡単じゃないよね。

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