キャリア採用(中途採用)の拡大が目覚ましいNEC。17年度のキャリア採用の実績は55人だったのに対し、21年度は619人。11倍以上に増えている。事業変革のスピードアップを図りたいNECは、経営戦略として採用戦略を捉え、重要課題として推進している。

【大転職時代~脱・囲い込み】記事ラインアップ
※内容は予告なく変更する場合があります
(1)「大転職時代」の到来 転職希望者は増加し続ける
(2)東京海上が中途採用に乗り出すワケ 学生に人気の企業の採用事情
(3)あなたの会社は何型? 会社の年齢構成で変わる採用戦略
(4)NEC、キャリア採用を5年で11倍に「自前主義は捨てる」
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(6)人材戦線は総スカウトへ ダイレクトリクルーティングが台頭
(7)ビズリーチ酒井哲也社長「採用はもはや人事部の仕事ではない」
(8)三井化学、リクシル、ヤマハ発動機…採用ミスマッチ防止の模索
(9)紹介、出戻り、カジュアル応募 「ご縁」でキャリア採用を活性化
(10)転職時に気を付けたい年金手続き 企業年金のポータビリティ
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(12)雇用流動化時代に目指すべきは、「脱・囲い込み」の選ばれる企業
(13)ミドルシニアも奮闘! 5人の転職成功記 長年のスキルが生きる
(14)「引き留めるより、引き付ける人材戦略を」カゴメCHO有沢正人氏
(動画)2月20日号特集「大転職時代」を担当記者が解説

 NECはキャリア採用にアクセルを踏んでいる。本体の社員数は2万人超。キャリア採用の実績は、17年度は55人だったのに対し、21年度は619人。5年間で採用規模を11倍以上に拡大した。22年度では600人の採用を計画しており、新卒採用数と比べると割合は1対1にも上る。

 「同質性が高いとイノベーションは生まれない。だから“自前主義”を捨てた」。NECコーポレート・エグゼクティブの佐藤千佳氏の現状認識は明快だ。

NECコーポレート・エグゼクティブの佐藤千佳氏(写真:的野 弘路)
NECコーポレート・エグゼクティブの佐藤千佳氏(写真:的野 弘路)

 NECは従来、ほとんどの社員を新卒一括採用で育成してきており、キャリア採用は「欠員補充の位置づけ」(佐藤氏)にすぎなかった。そんなNECが18年から採用戦略を見直してキャリア採用に注力してきた背景には、事業変革のスピードが鈍いことに対する危機感がある。

 NECは17年、16~18年度までの中期経営計画が達成できないとして撤回。18年1月に、18~20年度の計画を策定し直した。当時の社長・新野隆氏は後がない状況で「実行力の改革」をスローガンに掲げ、人材改革にも着手した。

 さらに企業文化を抜本的に変えるべく、「カルチャー変革本部」を設けた。プロパー社員と異なる視点や経験を外部に求め、キャリア採用を本格化。業績復活の原動力とした。初代同本部長には、日本マイクロソフトの人事本部長などを務め、自身も外部人材であった佐藤氏が就いた。

NECカルチャー変革本部の3本柱
NECカルチャー変革本部の3本柱
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 他の執行役員にも外部人材を登用した。海外事業のCFO(最高財務責任者)を務める青山朝子氏は、かつてメリルリンチ日本証券の投資銀行部門でM&A(合併・買収)助言の知見を磨き、旧東京コカ・コーラボトリングのCFOなどを経験した。20年にNEC入社後、19年度に32億円の赤字だった海外事業の立て直しに取り組んだ。結果的に、海外事業の営業利益は21年度までに約300億円改善し、黒字転換した。

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