299回 これが石丸伸二だ!
もし、今まで決まってなかったことが前日の動きで急に決まったことを「突如」と表現したことに対して「突如」と言った根拠を述べよと言ってくる人がいたら、どう思うだろう。
2023年7月の広島県安芸高田市定例記者会見での石丸伸二氏(当時安芸高田市長)の発言である。
別に「突如」と表現として何もおかしくはない。常識の範疇ではないだろうか。こういったところで相手をやりこめようとするのは私はどうかと思う。
東京都知事選挙で獲得投票数2位につけた石丸氏。選挙後にメディアで行われたインタビューの数々で見られた噛み合わない様子が「石丸構文」として話題になっており、SNS上ではこれを題材にした大喜利が繰り広げられている。
質問に対して問われたことに答えず、本題とずれた部分の定義付けを執拗に求める。ストレートに質問に答えない。質問に質問で返す。論点をずらして相手を煙に巻く。相手に対して優位に立とうとしているようにも見える、その様子がパワハラ的だと言われている。
本人は2024年7月11日放送のテレビ朝日の『グッド!モーニング』で「内心おちょくっていた」という発言をしているが、この番組では終始にこやかで選挙直後のインタビューでの姿とは打って変った姿を見せており(とはいえおんなこどもという言葉を使ってしまうことにはびっくりしたが)、また街頭演説での様子もさわやかで好感がもたれる態度であり、相手によって、状況によって態度が変えられる人だというのがわかる。学生時代の友人の証言でも、石丸構文から受ける印象とは違った、コミュニケーション能力の高い好感度の高い人物だったということが伝えられている。
石丸氏が政界に登場した流れを振り返ると、2019年の参院選広島県選挙における河井克行・案里夫妻による公職選挙法違反の問題に行き当たる。
2020年、この問題の捜査の中で当時の安芸高田市長・児玉浩氏が克行議員から現金を受け取ったとして辞職。さらには正議長、副議長を含める市議3人も現金の受け取りを認めて辞職した。こういった状況の中、市政の変革を求める流れによって市長に当選したのが石丸氏である。