『グーグルが本の電子化で狙う「うまみ」の正体は』に応える①


三上さんが、『グーグルが本の電子化で狙う「うまみ」の正体は』というエントリーで、この記で書いていることについて、かなり真剣に分析してくれた。正直言って、とってもうれしい。

だから、三上さんの書いた内容について、こっちも真剣に応える。





三上さんは、

本の電子化によってGoogleが目指している本当の目的は何か

と自問する。


なんでかっていうと、

bookscannerさんは知ってて敢えて書かないような気もする

(しかも)bookscannerさんが紹介するGregory CraneやKevin Kellyの意見に、その答えはない

(さらに)人間を介在させないサイクルの実現例も、その種のサイクルによってGoogleが狙っている獲物は何なのかの答えにはなっていない

(はたまた)「単に本へのインデックスを作ってるんだよ。」と言われるその「インデックス」が何のためのものなのかは不明である

というわけで、「おい、bookscannerよ、知ってんなら、はよー言わんかい」とのこと。(実際の三上さんは、こんな下品な言い方しませんが、この記の流儀ですので、ご勘弁を。)


ところが、三上さん、ごめんなさい、実は私も分からんのです。

それは、9月16日に紹介したこの記事にもあるように、

Google themselves are the only ones with a clear idea of what they are doing and they state it.

っていうわけで、「Googleが目指している本当の目的ってのは、Googleだけが知ってる」わけで、(梅田さんが最初に紹介してくれたように)私は単に「本をスキャンする技術(機械)に...詳しい」だけのマニアなので、「本当の目的」までは分からんわけ。同様に、Craneさんも、Kellyさんも、分からんはず。


しかし、何が「本当の目的」なのか分からんくても、何は「本当の目的」ではないのか、ってことくらいはなんとなく分かる(かな)。例えば、「本を電子化しているのは、人間が読むためじゃないよ」とかいうこと。


そういう意味で、私も「本当の目的」らしきものを探してフラフラしてるわけで、すでに「bookscanner城の外堀は、三上さんに完全に埋められ」ちゃってて、もう隠しもつものなんてない状態なわけ。あと残されたのは、これまでちょろっと考えてたことを、自白するのみ。



そんなbookscannerの不甲斐なさを尻目に、三上さんの自問は続き、ひらめいた!とのこと。

地球上のあらゆる情報を自前のサーバーに蓄積する、その一環として本の電子化も行われていると、考えられる...(そして)本はあまりに個々人の思い入れの強い情報源ゆえに、シンプルすぎるGoogleの狙いがかえって見え難くなっているのではないか

というわけで、「本の電子化、電子化って何度も言ってるから、そればっかに気を取られてたけど、Googleファミリーの単なる"one of them"ってことじゃん」ってこと(かな)。


確かにその通り。鋭い。私は、マニアゆえ、なんでもかんでも、本の電子化が中心にきちゃうわけ。そもそも本の電子化なんて、かなりマニアックな領域で、Googleの全体から考えると、ちょびっとしたもん("one of them")だな。


ところで、Kellyさんは、

There are about 100 billion Web pages, and each page holds, on average, 10 links. That's a trillion electrified connections coursing through the Web. This tangle of relationships is precisely what gives the Web its immense force.

というわけで、「Googleのもともとの土俵であるWebにおいて、ものすごい数のWebページどうしがリンクでつながってるってことがすごいんだよ」って言ってて、さらに、

each book is pretty much unaware of the ones next to it

(but once books are digitized,) each word in each book is cross-linked, clustered, cited, extracted, indexed, analyzed, annotated, remixed, reassembled and woven deeper into the culture than ever before. In the new world of books, every bit informs another; every page reads all the other pages.

(then) the universal library becomes one very, very, very large single text: the world's only book.

って感じで、「本を電子化するってことは、本に本を読ませることで、Googleの土俵に引っ張り出してくることを意味すんだよ」って言ってる。そんで、Googleサーバー内にはすでに、「the world's only WEB」*1ってものがあって、最終的には、「the world's only book*2」もその一部に取り込まるんだろうなってことが、暗示されているわけ。というわけで、Kellyさんも「単なる"one of them"だ」って思ってるはず。


そーすると、三上さんの質問、

具体的に、どんなシステムによって...本に関する情報を蓄えるのか

ってのは、おのずと、おおよそのコタエが出てて、「単にWEBと同じように扱うんじゃないかな」。



だけど、その先に何が隠されてんのか?ってところが、「うまみ」の正体なんだよね?きっと。
WEBの取り込みは、比較的安価にできたはずなのに、本の電子化ってのはすご〜い費用がかかってるんだよ。
そんなにお金払って、それでもやるってことは、WEBだけの時以上のリターンがあるってことなの?


そんで、三上さんは、「世界をガバナンス」的な方向で考えてる。


私の自白は、次回に続く。

*1:WEB全体をあたかも世界で唯一の巨大なWEBページであるとみなすこと。この「the world's only WEB」って考え方は、Chinese Restaurantで梅田さんから聞いたのが初めてだったんだけど、梅田さんがどっかで書いているのかどうか、見つからなかったので、引用先がありませんが、もしあればお知らせください。

*2:電子化された本のコレクション全体をあたかも世界で唯一の巨大な本であるとみなすこと