「放っておいてくれ」

今日はこの話題かなぁ。

• 若者の恋愛離れ　生身女性は自由きかずアニメやゲームに走る

http://www.news-postseven.com/archives/20120911_141240.html

こういう話題が出るたびに思うんだけど、オタクの中のひとりとして言わせて貰うなら「放っておいてくれ」の一言。
あなたたち「結婚したい男性」の結婚競争に我々は参加していないんだから倍率が低くなっていいだろうし、女性からすれば「キモオタ」とか「コミュ障」とか「ブサメン」とか「低収入」と呼んでる人間が結婚競争に参加してこないんだから当たりを引く確立が高くなっていいじゃないですか。
我々が結婚競争に参加しないことでオタクと世間とはwin-winの関係を築けてるじゃないですか？
ならばいちいちオタクにヤカラ、いや、因縁をふっかけてこないでもらいたい。
そっちはそっちで結婚だゼクシィだマリアージュだとかで勝手に盛り上がってればいいじゃないですか。
こっちはこっちでコミケだネットだ新ハードだで勝手に盛り上がってますから。

「放っておいてくれ」

以上、終わり!!

…としてしまえばいいんですけどね。
そう言ってしまえば終わっちゃうのですが、それだけじゃつまらないので自分なりの考えをば。

ぶっちゃけ言えばこういう記事が出てくる背景には既存産業が成り立たなくなってるということがあるんですよ。
世の中のもののほとんどが「結婚して家族を持つ」っていう旧世代の生活様式を前提としています。
結婚前の恋愛の前提として「モテ産業」ってのもぶら下がってますが、これも旧世代のもの。
いい服を買って、高級な車を買って、女性を誘ってレストランで食事。クリスマスには高級ホテルで食事、そして高価なプレゼントっていうバブルなスタイルがいまだにもてはやされてるモテ産業。アホかと。
で、結婚したら教会で挙式、ホテルで披露宴、海外に新婚旅行。
マンションを買い、家を買い、子どもが出来れば出産費用に育児費、学費もかかるでしょう。
レジャーには家族連れでファミレス、夏には家族で観光旅行、休日には家族連れであちこちに行ったりね。
で、歳をとれば介護費用。死ねば派手に葬式。高い戒名に高い墓に高い墓地に高い永代供養料。
こういう「家族連れ」を前提とした産業にとって、「おひとりさま」はクソ憎らしい相手なんですよ。
まったくこういう産業に関わってこないから。銭を巻き上げられないから。
だから必死にマス媒体を使い、ライターを使い、評論家を使い、徹底的に「家族連れ産業に参加しないお前らは異常だ!!」と叩くという。

でもさ、今でもそれなりに「家族連れ産業」にどっぷり浸かっている、浸かろうとしている人間はいるんだから、そっちの客単価を上げればいいじゃないですか？
そっちの人たちの顧客満足度を大切にし、手厚く扱えばいいじゃないですか？
そうすれば「結婚して良かった〜」って感想も増えるだろうし、それを見て我々も考えをあらためるかもしれないし。
それが出来ないのなら、そっちの世界はそっちの世界で、こっちの世界はこっちの世界で住みわければいいじゃないですか？

これね、結局社会が変わってしまったことを認めたくないんだと思う、叩いてる人は。
昔の人は「そのうち勝手にみんな結婚するだろう」ってな感じだったんだろうどけ、それは「結婚しないと暮らしにくい」って環境、社会だったから、たまたまそうなっていただけなんですよ。
仕事と家事を分担しないと暮らしにくかった。だから自然と結婚し、仕事や家事を分業していた。
だけど現在はどうかというと…多分叩いてる人はこれを言われるのを恐れてると思いますが…、ぶっちゃけひとりでも暮らしていけるんですよ。
「結婚しないと暮らしにくい」から「結婚せずとも暮らしていける」環境、社会になっちゃったんですよ。

「結婚しないと暮らしにくい」社会では結婚や人間関係にストレスがあっても、暮らしにくさとストレスをはかりにかけりゃ暮らしにくさの方が重たいので結婚が継続していただけ。
「結婚せずとも暮らしていける」社会では旧来の結婚の価値観に代わるものが必要なんですよ。
「暮らしていける」社会の人間に「暮らしにくい」社会の価値観を押しつけても、それが通じるわけないじゃないですか？
記事では男性に価値観を変えろとドヤ顔して書いてますが、本当に価値観を変えなきゃいけないのは結婚制度の方なんですよ。

で、自分がこう書くと「社会の労働力、需用力の再生産、国力維持のために出産、子育ては必要だから結婚するべきだ」って意見が出てくると思いますが、じゃあ今の社会制度、結婚への価値観がそうなってますか？　と言われればどうでしょうね。
結婚の目的が労働力や需用者の再生産であるなら、結婚の目的にそれを置き、男女の価値観をそうしないといけない。
そうすると戦前の価値観かとこれも叩かれることになると思いますが。
現状の価値観が男女でそうなっていないかぎり、それは言っても仕方ないことだと自分は思いますが。

現在はまだまだ「結婚しなきゃいけない」「結婚したい」って人が「たまたまいるだけ」と考えた方がいいと自分は思います。
「あ、結婚しなくても生きていけるわ」と気付いちゃう人が今後どれだけ出てくることか。
社会、環境、価値観の変化。
そういうことに目を閉じ、耳を塞ぎ、「キュウライノカチカンガー」っていくら叫んでヒステリックにオタクを叩いても仕方ないと自分は思います。
いま必要なのは「オタク叩き」じゃなく、「あらたな結婚の価値観の創出」ですよ。

で、一応書いておくと、自分は独身税に賛成です。
何のリスクも苦労もなく、現状の社会システムの恩恵を享受するのは「結婚して子育てしてる人」に申し訳ないので。