●本番と同じマスキング塗り分け
リキテックス ガッシュ・アクリリック プラスを使い、本番同様にマスキングして塗装するテスト。3Dプリントした丸いの2個を塗ってみる。いつもと同じに、モデリングペーストの下地を作成。
・2〜3度の重ね塗りでちゃんとベタ色になってくれるのは、かなりラクかもしれない。
・中央の境界部分、暗い色の上に明るい色を塗ってみたけど、最初は白を混ぜつつ4〜5回も塗れば下地の色は透けない。これもリキテックスよりずいぶんマシ。
・マスキングをはがした。作業が雑な以外は非常に良好。写真でもわかるように、ガッシュ系には見えない。普通のアクリル絵具の質感。
・段差を削った。やはり塗膜が厚くて頑丈なので、削りすぎて下地が出る危険は少ない。濡れ雑巾でガシガシ拭っても、びくともしない丈夫さ。この後、粉がついて色移りしてるところを簡単に修正して完了。
●水性2液ウレタンニス
今回のテストのメインの目的は、初めて使う2種類のニスを試すこと。
先日書いたように、立体作品制作の最後の仕上げ工程が不安定な、トップコートのスプレー。重ね吹きするほど失敗する確率が上がる恐怖。筆塗りできる頑丈なニスはないものか? ということで見つけたのが、今回の「アサヒペン水性高耐久2液ウレタンニス」。
https://www.asahipen.jp/products/view/00185
木製のテーブルトップやフローリングに使う頑丈なウレタンニスで、100度の高温にも耐えるそう。アクリル絵具の上に使えるかどうか確認したい。
主剤を濾過して硬化剤を加え、シェーカーで混合。泡を30分間抜いてから塗る。写真は5回塗りくらいしたところ。非常にツヤツヤ。
重ね塗りするには4時間くらい置くとのことだけど、2液混合したニスが使える時間も4時間なので効率悪い。混合の手順は少々ややこしく、いちいち作るのが面倒。
そこで、ドライブースで乾かす&「混合ニスの容器を冷蔵庫で氷水に入れて反応が進まないようにする」というワザを使った(ウレタンスプレーも数時間のうちに使い切らなきゃいけないところを、冷蔵庫に入れて反応を遅くすることで何日も使えたりするそう)。
完全硬化してサンディングできるようになるまで24時間とのこと。10時間くらいでは、まだ爪でキズがつく。20時間経過すると、爪でキズつかないくらい硬くなってきた。少なくともラッカー並にはなってる。ツヤッツヤだし、サンディングせずこのまま仕上がりでもいいくらい。
28時間くらい経過。うち12時間はドライブースに入れてたから、反応速度的に実質2日以上はたってる感じかな。完全にカッチカチ。爪ではまったくキズをつけられない。液が溜まって分厚くなってる部分はさすがに爪でギューってやると凹む。
この後、サンディングして、さらに5〜6回塗布。結局、1回目も2回目も筆塗りの凹凸と、ホコリがつくのは同じこと。一度だけ分厚く塗った上で、サンディング→コンパウンド磨きするほうが、手軽にきれいにできる気がする。
1500番サンドペーパー→タミヤのコンパウンド(粗目、細目、仕上げ目)で磨いてみた。写真上が磨く前、下が磨いた後。木の映り込みとか見ると、どんだけ平坦にできたかわかる。
非常に良い仕上がりではあるけど、もっともっと鏡面仕上げになるコンパウンドを探してみたい。
●かなり良い!
今回の結論。「アサヒペン水性高耐久2液ウレタンニス」は非常に良い。硬さはたぶんウレタンクリアスプレーに匹敵。弾力もあるのでひび割れもなさそう。黄変や変質さえしなければ、僕的には理想に近い。今までの立体作品全部を仕上げ直したくなるくらい。
ただ、スプレーの水性トップコートにくらべて作業がラクかというと、ぜんぜんラクじゃない。そもそも筆塗りなので時間かかるし、計量や混合、泡抜き、時間内に作業とか、面倒だし神経使う。磨き作業も入れたらさらに時間もかかる。とっておきの仕上げ方法として、伝家の宝刀にするかな。
「2液ウレタンニスをスプレーかエアブラシで吹ければラクそうだな」っていう、スプレーを使いたくないからやってるのに、本末転倒な考えがよぎるw
……数日眺めてたけど、今までの立体作品全部を仕上げ直したくなるくらいキレイ。気に入った。ただ、あまりにキレイでのっぺりしてて、味わいが足りないとも感じる。適当にノイズがあるほうがいいかも。
その後、ツヤがイマイチな部分を修正しようと、1500番のサンドペーパーからやり直したら、何か硬いカケラを噛んでたのか、キズだらけに。ツヤも前回よりない。ずいぶんデリケートな作業だなあ。
本番として、「ガッシュアクリリックプラス」+「2液ウレタンニス」で1〜2個仕上げてみる予定。
【吉井 宏/イラストレーター】
http://www.yoshii.com
http://yoshii-blog.blogspot.com/
「初めて使う2種類のニスを試すのが、今回の作業のメイン」と書いたけど、結論出ちゃったので、もうひとつのニスは省略。と思ったけど、現在に至るまでに多数のニスやトップコートを試してるので、特徴など一度全部まとめて書きます。
○吉井宏デザインのスワロフスキー
・十二支(丑年)OX
https://bit.ly/37gbNEN