こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。今回より4回連続で「まちもじ」特集お送りします。
普段の生活の中で見つけた文字にフォーカスしたお話です。街中の看板やポスター、中刷り広告、テレビテロップなどから気になる文字を取り上げます。
僕自身も肩に力入れず「この文字なんか気になる……」「こういう場面ではこの書体が使われるのね……」的な感覚でレポートします。
みなさんもお茶でも飲みながら気軽にお楽しみください。
●日本人は丸ゴシックがお好き?
書体には明朝体とゴシック体があるのはご存知ですよね。そして、ゴシック体には角ゴシック体と丸ゴシック体がありますよね。
第1回は、角が丸い「丸ゴシック体」に焦点をあててみましょう。
まず最初に、病院の案内板や病院名の看板文字を観察してみましょう。
僕はふだん病院に行くことはあまりないのですが、最近、腸炎にかかり近くの病院に行きました。それと、人間ドック二次検査で生まれて初めて胃カメラ飲みました。
それら病院の案内板はすべて丸ゴシック体を使用していました。
< http://goo.gl/tnLUPs
>
次に大手調剤薬局チェーンのWebサイトを観察してみましょう。
< http://www.nicho.co.jp/
>
このサイトは日本語Webフォント「FONTPLUS」を利用して、見出しなどに丸ゴシック体を使用しています。画像文字ではなくてWebフォントです(一部、画像文字も使っています)。
もし、このWebサイトの書体が明朝体で作られていたら、文字のハライが尖っているので、注射器の針を思い出してしまうかもしれませんね……。
丸ゴシック体なら優しさを感じられます。調剤薬局ですし、丸ゴシック体でカプセルのお薬を連想させることもできますね。
週末にドラックストアに立ち寄りました。丸ゴシック体がどこで使用されているか探索してみました。覆面調査員みたいですね(笑)
ありました! ベビーフードが陳列されたコーナーです。異なるメーカーのすべての商品パッケージに丸ゴシック体が使われてました!
< http://goo.gl/W83aFi
>
乳幼児向け商品ですし、「やさしさ」や「かわいらしさ」を丸ゴシック体でアピールしているんだと思います。
このようなケースにかかわらず、「かわいらしい」「ひとに嫌われない」ってイメージは、マーケティング的にも大事な要素かもしれません。
ただし、格式ある老舗ホテルなどでは丸ゴシック体よりも明朝体が好まれると思います。つまり、商品やコンテンツのイメージにあわせた書体選びが重要なのです。
では、それ以外の場所で発見した丸ゴシック体の皆さんに登場してもらいます。
< http://goo.gl/ueT7JB
>
「止まれ」の看板が、丸ゴシック体だったって知ってましたか?
世界的に有名なタイプデザイナー小林章さんの著書「まちモジ 日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?」を先日買いました。
このエントリーを書く前に読んでしまうと、それに引きずられそうなので読みませんでした。ここまで文章を書いたので、先ほど、読みました!
小林章さんの本の中で「止まれ」の標識が例題になってました! 同じものに目が行きました……。なんかうれしいです(笑)
小林章さんの「まちモジ」の第1章 〜日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?〜 ではこんなことが書いてありました。
・手書き看板職人にとっては角ゴシックよりも丸ゴシックのほうが早く書ける
・平筆(看板書きで使用する筆)の動かし方、レタリングの観点からすると、角ゴシックのトメやハライの角処理に手間が掛かる。
・大きな文字の角ゴシックのハライ処理がうまくないと「ざわついた感じ」になる。
やはり、小林章さんの考察はすごいですね。恐れ入りました。興味のある方は
手にとって読んでください。
小林章さんの本のタイトルが「まちモジ」だったので、僕のメルマガエントリーでは「まちもじ」にしました。
過去に、文字の巨匠である小林章さんの、カリグラフィー講座やセミナーに三回参加しました。毎回、文字の歴史や文字の深い話を、わかりやすくやさしく解説していただきました。とても勉強になります。
小林章さんの書籍はそれ以外にこの二冊を持っています。読んで楽しかったのでご参考までに紹介します。
・フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
・欧文書体 その背景と使い方
どちらの書籍も欧文書体(アルファベット)のことが書かれていますが、文字のデザインを学ぶ上で、まずは欧文書体を知ることが近道だと思います。
文字の世界は楽しいですよねー。
そういえば、デザインの月刊誌「MdN」7月号(2015年6月5日発売)ご覧になり
ましたか?
特集は『絶対フォント感を身につける』です。特別付録の小冊子は160ページのフォント見本帳です。
この本は、文字オタク向けではなく(もちろん、文字オタクも買うと思いますが)、文字が少し気になる、フォントをちょっと勉強してみたい、という人向けに制作されています。
人気あるみたいで、僕もやっと今日入手しました。書店でも売り切れのところが多いですし、ネット書店でも在庫なしのところが増えてきました。
この雑誌の「絶対フォント感を身に着けるための参考書」のページに12冊掲載されていましたが、その中の10冊は持っていました(笑)
厳選12冊の中にデジクリ編集長の柴田忠男さんが編集した「基本日本語活字集成 OpenType版」が紹介されています!!!
< http://goo.gl/55cOf4
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気になる方はお早めに。(ただ単に個人的にオススメ雑誌なだけです……)
次回はまちもじ第2回をお送りします。どんな書体が登場するか、お楽しみに。
【せきぐち・ひろゆき】[email protected]
Webフォント エバンジェリスト
< http://fontplus.jp/
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1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。
その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。
小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。
・「基本日本語活字集成 OpenType版」は「基本 日本語活字見本集成 OpenType版」の二版目で、タイトルから「見本」がはずれています。この本については、わたしがデジクリでも書いています。(柴田)
< https://bn.dgcr.com/archives/20070423140200.html
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