Facebookソーシャルゲーム低迷が底打ちか。プラス基調の兆候があらわれる
先月,Facebookソーシャルゲームに急ブレーキがかかり,3ヶ月連続で大幅ダウンしているとレポートした。
・ Facebookソーシャルゲーム,ユーザー減少に歯止めがかからず。3ヶ月連続で大幅ダウン (6/14)
主たる要因は今年3月上旬から始まったゲームからのフィード制限だ。それまで一本調子で成長していたソーシャルゲームはそれを機にダウンに転じたのだ。
トップ25アプリを例にあげると,3月には14アプリが,4月には18アプリが,そして5月には23アプリとほとんどが前月比でアクティブユーザーを失った。つまり歯止めがかかるどころか加速しつつあるように見えていたのだ。例えば最強ソーシャルゲームFramVilleでは,2010年2月には8300万人いた月次アクティブユーザーが,3ヶ月後に7066万人と15%以上も喪失している。
しかし,ついに6月,この減少傾向に底打ち感が見えてきたようだ。
【2010年6月 ソーシャルアプリ月間アクティブユーザー数 - 7月1日記事】
2010年6月だけで見ると,トップ25全体では以前18アプリがユーザーを減少させている。また依然トップのFarmVilleはこの1ヶ月で10%を失っており,歯止めがかかったようには見えないが,週単位で見ると底打ち感があらわれた。
【出所: Business Insider】
こちらのチャートは別ニュースソース(記事:Business Insider)だが,トップ10ゲーム・デベロッパーの月次アクティブユーザー数が,6月19日を底として回復基調にあることを示している。
参考まで,次表はトップ10デベロッパーそれぞれがピーク時から失ったユーザー数の比較だ。最も多くユーザーをロストしたのはヒットゲームが多いZyngaで延べ3800万人。比率ではRock Youはなんと48.9%も減少させた。またトップ10平均では11.7%をロスしたことになる。唯一,創業2009年1年と若きドイツ企業 Wooga社(自社サイト)が6.5%ユーザー数を伸ばしているのが注目される。
また次の表はZyngaの主要ゲームが,ピーク時点が6月26日までに,どのくらい月次アクティブユーザー数を減少させたかをまとめたものだ。農場系など流行モノのゲームが大きく減少させているのに対して,最も老舗なゲームである「Texas Hold'Em Poker」はほとんどユーザーを減らさなかったのは興味深い。
「Texas Hold'Em Poker」は旧世代の同期型ゲーム(ユーザーが同時にアクセスしていないと成立しないゲーム)だが,すでに完全なコアユーザーを掴んでいること,また複数プラットフォーム(Myspace,iPhoneなど)にまたがっておりFacebookの影響を受けにくいことなどが堅調さの理由にあげられるだろう。
一方で,新しいゲームのライフタイムは多様化につれて短くなる傾向にあるようだ。典型的なのが4月デビューした「Treasure Isle」だ。過去最速で2000万人ユーザーを獲得したと報じられた際注目のゲームだったが,2ヶ月もたたずに減少傾向となり,すでにピーク時から640万人が離れている。
これは必ずしもFacebookフィード制限の影響だけではないだろう。ゲーム競争の激化から,新規獲得から顧客維持に,ソーシャルゲーム運営の力点がシフトしてゆく兆候に見える。巧みなイベント運用などで2年以上トップゲームの座を維持しているGREE「釣りスタ」など,大いに彼らの参考になるだろう。
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