「胃が合う」作家とカリスマ書店員が2人で食べに行った時のことを書いたエッセイ。同じ所で同じものを食べているけれど、視点が違うのが楽しい。もっとほんわかした感じかと思いきや、なかなかどうして、異種格闘技(真面目に観たことないけど、イメージとし...
絶対はずさないミステリー七選。これは何かのシリーズものの一部なのかな?という作品が多いのがちょっと賛否分かれるところかも。でも全体として端正で洗練された短編ばかりなので、ミステリー読み慣れてない人でも大丈夫です。『ファーストが裏切った』野球...
「透明な夜の香り」が未読の方はそちらを先に読むことをおすすめいたします。今作の主人公は一香ではなく、また別の傷を持つ青年・朝倉満。朔がミステリアスなのは前作から引き続きなのだけど、ミステリアス通り越しすぎてる感じが時々ついてけない感じがした...
私ごときがこの本をレビューするのはばかられるのでは、と思ってしまう。ただ仲の良い人とひっそり暮らしたかっただけなのに、どんどん悪い状況に追い込まれていく花、状況を理解できず脳天気な蘭と桃子、「よく分からない」黄美子さん。狂っていく花の心理描...
ダメ息子×おかん、ラップバトルで決着をつける!親離れ子離れという、最後は絶対ハッピーエンドで終わってくれるという安心感のある(悪く言えばありふれた)テーマが一気に斬新に。64歳でラップできちゃう明子さん最強過ぎる。いくら小さい頃に父親が亡く...
プリマー新書にしては(?)なかなか硬め。特に前半は「何故、人々は数値を重視するようになったか」が学術用語全開で書かれているのでここで読むの諦めてしまう人もいるのでは。難しいところは難しいままなんとなく読み進め、後半だけでも読んでみてほしい。...
2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした小説。ホームレス・シェルターからの退去を迫られたシングルマザーたちが公営住宅を占拠し、自分たちの尊厳を主張する。日本とは違う、と分かっちゃいるが、日本で同じことが起きたらもっと陰湿で激...
登場人物が覚えられなくてどうしよう(観光開発会社二名、建設会社二名、不動産屋二名、亡くなった伯父の友達一名 過半数が普通の中年~壮年男性。無理ー!)ってなったけど、とりあえず自己紹介ページに指をはさみつつ読み進めたら恐ろしく面白いミステリで...
ホラーのような、現代病理を切り取ったような、怖さと哀しさが交じり合った短編五編。読み終えて、まず、ルミネッセンスという単語の意味を調べた。熱を伴わずに発光すること、冷光…なんか分かったような分からんような。蛍の光をイメージしたら合ってるのか...
普段よけて歩いてもらえない側の人間なので、共感しかなかったのだけど、大人の男性が読んだらこの本に対してというより、よけて歩いてもらってることに対してどう思ってるのか聞いてみたい。ちょっと脱線するけど、「ぶつかっても謝らなくて当たり前」みたい...
人の目を見ると殺意や悪意が赤く光って見えてしまう19歳の沖野修也は警察官の研修期間中に「国際交流課」に配属されるが、その実態ははたしてスパイ組織だった。自分の両親は何故殺されたのか。沖野が組織に引き抜かれた理由とは。逃亡した前任者・神津の行...
「ゴリラ裁判の日」が良かったので期待に胸踊らせながら。月の満ち欠け・ウェアラブルデバイス・中国の書・DV…色んな要素が最後はつながるのは上手いし、相変わらず読みやすい文章を書かれる方だなあと思った。でも没入できなかった、残念。ラスト、聡美が...
2029年を起点に10年刻みに遡るある家族の歴史。それぞれの年で物語を語るキャラの視点が入れ替わり、それぞれの秘密が明らかにされたりされないままふんわり終わったり、あるいは終わらなかったり。50年前と比べてジェンダーに関する問題は改善されて...
妻に先立たれて志乃を1人で育てる恭平と、妻が海外赴任中、耕太を1人で育てる章吾。四人のありそうななさそうな共同生活。「ちょっとは子育てに参加してよ」と言われてもどうしたらいいかわからなくて途方にくれたことがある人におすすめしたい。「父親」と...
発達障害の兄・道だけではなく、その妹・羽衣子の苦しさにもスポットが当たっているのが良かった。「人と違う」兄弟を持つと、親からは「普通にできて当たり前」と褒められずに育ってしまう。そして「人と違う」兄を、何故か「普通にできる」妹がフォローする...
ラブカとメテオラが良かったので手に取った。今の私には刺さらなかった…。何を伝えたいのかよく分からないまま読み終えてしまった。(読みやすくはあります。よく分からないまま読ませる筆力の高さはすごいと思います。)ええ、そこで何で浮気するん…?別れ...
筆者最新作で芥川賞候補作(え?って思ったけど読んだらなるほど芥川賞ぽい。そっちに寄せなくてもいいのではと勝手に思った。)ということでめっちゃ期待して読んだら、溶接とか工事の専門用語が分からなさすぎて、情景を上手に思い描くことができず苦戦した...
霊が視える(ただし、声は聞こえない。し、こちらから何かを伝えることはできない)探偵・天野がその特殊体癖を生かして事件に挑む中編2編。霊は視えるけど探偵としての能力はへっぽこな天野と、中学生にしては頭良すぎる楓のコンビが良い感じ~。楓の中学生...
このスイッチを押すと自分には何の関係もないあのパン屋さんが経済的に破滅します。押しても押さなくても日給一万円、1ヶ月後には百万円あげます。という思考実験みたいなミステリ。「純粋な悪」は存在するのか?その対義語も興味深い。設定が面白かっただけ...
なんか涙がポロッと。多くの人が通らねばならないであろう老いと介護。どうしたって年をとったら脳は萎縮するし、そしたらいわゆる「認知症」になってしまうし、自分も周囲も今まで通りではいられなくなる。この本だけで全部を知ることはできないけど、矢部太...
感動したけれど所々魚の骨みたいな違和感。蒼葉がどれだけ天才でも、中学校までの知識しかないのに難関大学の傾向と対策を勉強して現役受験生に教えるのは無理がある。そして、冴は「蒼葉みたいな被虐待児を減らしたい」という明確な目標があるのなら、何故福...
はじめましてのフランス文学、読むのに時間かかったー😭パリからニューヨークへ向かう飛行機が乱気流に巻き込まれる。そこで何か「異常」が起こり、3ヶ月後に到着する。レビューで書いていいのはここくらいまでかな?登場人物(十一人いる!)紹介のための第...
冷え性の主人公が気が付いた意外な「温活」方法とは。(どうでもいいけどこの「○○活」という言い方が好きになれない。 「○○しないと大変なことになりますよ!貴方のためを思って言ってるんですよ!」という強迫性を帯びている。精神衛生上よろしくないこ...
小学生の時に父親を殺され、母親失踪、大学にも行けず非正規雇用に甘んじて、更には妹まで殺された上にその妹に保険金殺人の疑いまでかかるという悲劇。何重ものどんでん返しで畳みかけるのは上手いなー、と思った。一方で、主人公がどういう人物なのかいまい...
表紙の愛らしさに騙されるなかれ。クズ実家を頼れない苦学生・真央がバイト先で出会ったのは何でも売れちゃう試食販売の四葉。彼女を軸に色々な人の苦しみが描かれる。うーん、奨学金返済による困窮、レズビアンであるが故に法の庇護を受けられないこと、性的...
犯罪者ご用達ホテルで起こる事件をホテル探偵・桐生が鮮やかな推理で解決するのが楽しい本作。対価さえ支払えば「何でも」調達してくれるようなホテル側が既に犯罪に足突っ込んでるので、まあルールなんてあってないようなものになるのは当然かもしれない。最...
長ーいミステリ読んだ後に、軽く読めるものはないかなぁと手に取った。装幀も洒落ている(大好きなクラフト・エヴィング商會!)が、見た目の愛らしさに騙されてボーッと読み進めていたら突然ぶっ飛んだアッパーカット食らわされるので要注意!なアンソロジー...
読了にものすごく時間がかかった…。(3日くらい?たいていの小説は2日もあれば余裕なのに。)警察よりも捜査の先をゆく謎の老夫人エリザベスはとりあえず敵にまわしたくない。高級老人ホームの安楽探偵団…かと思いきや割とアグレッシヴに足とコネと謎の裏...
タイトルで既に優勝してる本。ビターからスイートまで、色んな味が詰め込まれたおもちゃ箱みたいな短編集。SF初心者の私でも楽しめた。どの話も全く違う人が書いたんじゃないかと思うほど毛色が違って、作者さんの多才っぷりと器用さが爆発。後書きではその...
ホラー苦手(この方と小野不由美さんだけはそれでも読む)なのにじーーんとしてしまった、8つの短編集。SFっぽいやつもあります。子どもに関するお話が多いかな?個人的に、この本はホラーという括りには入れられない。じゃあ何よ、と言われると困るのだが...
父親の都合で転校ばかりの小学生・要目礼恩(かなめれおん)がカメレオンの如く転校先に馴染むべく「擬態」する。どの学校でも「バールのようなもの」を使う者にまつわる怪談や都市伝説が生徒の間でささやかれており、それが実際の事件の関係者かのような噂ま...
親の事情に振り回される由井。背が低い由井と背の高い桐山。大きな掌の高山に惹かれるミカ。加奈子は桐山を好きだった。由井の夫の雄一と娘の可子。それぞれの人生が波のように押し寄せてくるようだった。大人に裏切られ続けられ、誰に対しても閉じていた由井...
今流行りの(?)「カウンセラーっぽくないカウンセラーが悩める現代人の心に寄り添って何故か解決しちゃう系短編集」か…と、一話目でうんざりして読むの止めようかと思ったけど、四話目で印象が少し変わった。この本を読むまでもなく人生は辛いものだし、現...
Kindle unlimitedで無料だったので何年ぶりかの再読。やっぱり凄い小説だ。小説なんて無駄があってなんぼだと思っているのだが、この小説は無駄がない。にもかかわらず面白いという、不思議。天才女子大生&天才助教授vs天才工学博士の熱い...
面白かったけど、重いしんどい気持ち悪いの波状攻撃でメンタルやられた…。ラスト無理やりハッピーエンドっぽく終わらせた感ある、と私は感じた。まだ「向日葵の~」の方が腑に落ちる。凶悪事件が起こるとよく弁護側が俎上に載せる、容疑者の精神状態と責任能...
犯罪者予備軍たちの駆け込み寺と呼ばれるNPO法人には今日もまた物騒な相談が持ち込まれる。一見普通の相談員が、その殺人計画は未遂におわる或いは逮捕される危険性が高い、ととても論理的に諭してくれる。まあそれで諦めるようならそもそも相談しに来ない...
お久しぶりです、すごいご長寿な伊良部先生。(生きてたら何歳なんだ?)相変わらずぶっ飛んでて面白かった。やっぱりこうでなきゃ!リアルでこんな医者に出くわしたら無言で回れ右して帰るけど、端から観てる分には面白いことこの上なし。ガッチガチに凝り固...
面白かった。でも、前情報(松本清張賞とか選考委員への挑戦状だ!とか。)が勝手に私のハードルを上げてしまったせいか、前のめりで一気読みするほどではなかった。各章それぞれが別のジャンル(ミステリ、SF…)の小説としてちゃんと一粒ずつ輝いているの...
Xで見てなんとなく借りたら、見た目も中身も鈍器だった。戦争ものは普段避けているのでちょっと読むのしんどいところもあったけど、軽やかな文章につられて読み切ってしまった。フランス革命の時代を強かに生きた「おちび」のお話。蝋人形というと怖い物のよ...
ある資産家の高齢女性が惨殺され、金銭目的の線で捜査が進められる。しかし、飼っていたはずの犬が見つからず──犯人を追う中で変化していく人間模様。果たして悪人は本当に悪人で、善人は善人なのか?白黒つけてしまうことの危うさ。時折挟まれる犬目線の独...
今回もまんまとしてやられたり!「あなたは探偵の推理を推理することができますか?」という読者への挑戦状的倒叙ミステリなのは前作と同じ(でも私には無理だー(x_x)解決編突入前に分かる人は本当にすごいと思う。)なのだが、段々と「城塚翡翠とはどう...
喫茶ドードーはおひとり様専用の隠れ家的カフェ。店主の「そろり」がその時節に合ったメニューを用意して、心が疲れた人の来店を待っている。主にコロナ禍の、普通の人々が悩み、前を向く、そんな短編集。ていねいな生活、ジェンダー格差、国民総幸福量…流行...
ネットで集団自殺の為に集まった4人が山奥で赤ん坊と遭遇、その赤ん坊を犯罪組織から守るべく繰り広げられるスリル満点の逃走劇。SNSを使った息詰まる心理戦が今っぽい。なんの繋がりもなかった4人を繋いだのはただ無力な赤ん坊で、そこに「人間の価値は...
この作者さんはやっぱり男性バディものを書くとずば抜けて生き生きしてんなあ、とニヤニヤせざるを得ない作品でした。(別にBLではないしやらしい意味ではなく、多田便利軒から入った読者としては(お、本領発揮してんな!)と嬉し懐かし、な気分になるとい...
ネタバレなしでレビューしたかったけど無理でしたスミマセン。不可能・不可解専門の探偵コンビと、絶対零度の女警部補と、犯罪コンサル。かつて同じゼミの仲間だった四人の因縁の全貌が、遂に明らかにされる!(…という重めな最終話を除けば、いつもどおり軽...
「ラブカは静かに弓を持つ」が良かったので他の作品も読んでみようと手に取った。ラブカとはまた違ったしんどさが心がずっしりきた。金銭的には恵まれている宮田佳乃、母子家庭で育ってきた奥沢叶の2人の少女を軸に描かれる高校生活。ライバルの一言では現せ...
またもやシリーズ一作目を読まずに二作目を読むミスを犯してしまった…。もしかしなくても警察小説読むの初めてかも。タイトルから勝手に数学に拒否反応起こしちゃうかも、と思いきや全然そんなことはなかった。むしろ警察内部の組織がややこしすぎて(警察庁...
読み始めて、(ん…?何かのスピンオフか?)と思ったら案の定…^_^;。裏表紙袖の「誰もがそうであるように、泉ちゃんは泉ちゃん。この子を見守ってくださいますように。」という言葉が何故かグッときた。泉ちゃんも、その親も友だちもカレシも上司も、全...
この作品で初めて道尾秀介作品に出会った人、(わ、わけわからん…)って見捨てるのはちょっと待って欲しい。他に(向日葵の咲かない夏とかカラスの親指とか)面白い作品がいっぱいあるから、とりあえずこの本は置いておいて、他のを読むべし。道尾秀介先生の...
縁切り寺に店を構える離婚専門弁護士・紬(ネーミングセンスよ)を中心に繰り広げられる人間模様。自分が女だから言う訳じゃないけど、世の中こんなヤバい男ばっかりじゃないよ!(…ね?…自信なくなってきたわ…。)亮介みたいなモラ夫とあと二年は我慢して...
何気にエッセイでは初めましての作家さん。読んでいて気持ちがいいくらい良く食べる。スイーツはしごなんて自分には胃の容量的にもう絶対にできない。(昔はいくらでも入ったのにな。年とると胃がちぢむ血筋というか体質の人、若いうちに好きなもの好きなだけ...
ほんタメ!で推されまくっていたのをようやく読んだ。これは確かに好みが分かれる作品。誰にでもオススメはできない^_^;普通の(普通って何?と言われると困るんやけど。)ミステリ小説だと思って読むと「違う。」って思う人の方が多そう。幼い子ども特有...
子どもの頃「天才」ともてはやされた人間たちをAIでリサイクルするというなんともえげつない(←ほめてる)作品。Chat GPTは人間を超える作品を書けるのか?に対する一つの「答え」として書いたのかな。帯にはAI×青春小説とあったが私はどちらか...
不可解(why)担当・氷雨、不可能(how)担当・倒理コンビに明るい家事バイト・薬子ちゃんが加われば、賑やかな探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」の完成。そこに氷のような警部補・穿地やその腰巾着アヒル口・小坪、胡散臭い仕事仲介人・神保…...
調香師・朔とその家事手伝いを始めた一香。天才過ぎるが故に理解されない朔の悲しい過去と一香のトラウマが徐々に浮き彫りになっていく。古い洋館、秘密を香りに変えて欲しい依頼者たち…。うーん、好きだ!しかし満員電車の匂いを思い出して気持ち悪くなって...
続編を先に読んでしまっていたが、まあ時系列としてはこっちを先に読んでおいた方が分かりやすいかな。だが続編と違って見取り図が一切無い為、頭の中でクラブ棟と校舎のここがこうなっていて…みたいなことにエネルギーを使わねばならない。真実を追い求める...
「人を見た目で判断してはいけない」とか嘘っぱちを吹き込まれて育つけれども、就活に限らず、見た目で判断されることは多い。にも関わらずそれを「人となり」だの「総合的に判断」だの耳障りの良い言葉で取り繕うことに最早意味などないのでは?ということを...
自由研究と言うと小中学生を連想してしまうがこの本では大学入試の為の論文に近い。イギリスの小さな町が舞台なのだけど、普通の高校で違法なクスリの売買ってイギリスでは割とよくあることなのか?日本との文化の差(高校生が普通に自分の車持ってたり、ジョ...
伊坂幸太郎が選んだ、小説を読みたいけど何を読んだらいいか分からない人向け短編アンソロジー。オーシャンラズベリー篇よりは軽めが多い印象。その分(なんじゃこりゃ)が多い印象(笑)。伊坂幸太郎ファンとしては(ほうほう、伊坂幸太郎はこういう本の成分...
いきなりネタばれしてしまって申し訳ないが、私の中で、犯人が双子あるいは多重人格というのは禁じ手である。萎える。(序盤で示唆されている場合を除く。)そういう意味ではこの作品は禁じ手もいいとこなのだが、それを上回る面白さだったので、貶す気になれ...
雑誌やアンソロジーに掲載されたお話が再収録された短編集。「BL」と「神さまはそない優しない」(これ、関西弁になじみのない人にはちょっと読みづらいかも)が好み。一穂さんの書く文章を読んでいると、(あの時の私の言葉にできなかった気持ちはこういう...
子育てに悩む奈津子。不妊と夫の浮気に悩む紗英。距離の近すぎる女二人の友人関係(いわゆる共依存?)を描いた作品なのかな、でも何か所々で違和感を感じるな…と思いながら読み進めたら後半でひっくり返された!ラストの救いの無さもこれぞ芦沢央という感じ...
別の生き物になりたい。そう思ってジム通いを始めたOLがある日スカウトを受け、ボディ・ビル大会への出場を目指す──という、粗筋だけ書いてしまうとなんとも陳腐な芥川賞候補作。同僚の「女性は大変ですね」という科白と、ボディ・ビルの世界が「クラシッ...
「人生」が面白かったので「R」にも手を出してみた。(第一弾をやろうかと思ったがAmazonでやたら評価低いのでなんとなく…。 何で第一弾あんなに評価低いのか誰か教えて。 何故かSCRAPさんの出すシリーズは第一弾が評価低くて第二弾、第三弾と...
父親が不倫をしたせいで母親がおかしくなり、その母親のサンドバッグとなってしまった(ヤングケアラーというだけでもない)、虚言癖のある彩名。いじめられていたが親の都合で転校することができた里香。出会った二人を軸に描かれる超絶リアルな女子中学生の...
このミス大賞を受賞した前作よりは落ちるだろうな…と思いきや、前作を超える面白さ!商標権と品種登録の違いもよくわからん素人にもサクサク読めました。又、中国はじめ諸外国への流出という現実の問題にも目を向けさせられました。農家の苦労をバカにするよ...
良くも悪くも薄かったです。心の病を簡単に説明する本を小説風に味付けしました、という印象を受けました。精神科や心療内科にかかろうかどうか悩んでいる人の心のハードルを下げてくれるかもしれないけど、そもそも心身病んでる時にこの長さの文章は読めない...
現実に起きた事件を土台にした特殊設定ミステリー。意外とサクッと読めた。過去の凶悪犯が地獄から呼び戻されて再び悪行を働く…というぶっ飛び設定を受け入れられるか、がこの本を楽しめるかどうかの別れ道だと思う。ミステリーとしてというよりエンタメ的に...
人生にはぐれてさまよう老若男女が、螺旋階段を降りた先には双子のおじいさんとアンモナイトの所長が待っている。困った時のうずまきキャンディはお一人様一個まで。時代が螺旋を描いて繋がっているように、六編各話が少しずつ繋がっている。このあたりの手法...
宋・金・蒙古が睨み合う時代の中国が舞台の特殊設定で館で孤島で密室で百合で…と、要素てんこ盛り。初っ端からカンフー映画的武闘が始まり、(あれ?これって江戸川乱歩賞作品よね…?)と戸惑いながらも読んでしまう。ちょっと十二国記を彷彿させる、こうい...
卯月(4月)から始まる、日本の四季折々。その時にしか味わえない食材、その時節柄の楽しみや習慣。それに加えて山形県の出羽屋さんがクローズアップされたエッセイ集。本文だけでなく、杉本さなえさんの挿絵に心奪われてしまいました。黒(墨?)と朱だけの...
Twitterでタイトル見ると同時にほぼ反射的に( それなー!!)と、共感を覚えてしまい、いざ手に取って表紙を開く瞬間、チラッと(これだけ期待しといて全然おもんなかったらどうしよう…)などと不安になったが、期待通り面白かった。終始ヘドバンし...
山奥の洋館、招かれざる客、クローズドサークル、ダイイングメッセージ…と、ミステリの王道要素てんこ盛りなのに、解決するはずの名探偵がいない!でも探偵気取りの二ノ宮はいる!ウザい!途中、「ここまでで犯人が…」と読者への挑戦状的な視点Xが挟み込ま...
前作がフィンランド愛メインだったのに対して今作は愛だけじゃない現実多め。移住するとなると愛だけではどうしようもない言語、職、住居、さらにこの時期ちょうどコロナ禍、ウクライナ情勢の悪化…etc.様々な壁が立ちはだかる。それに対して愛と勢いだけ...
タイトルから勝手にメンタル本を期待して開いたら、全然違った(笑)。裏社会にまつわる本の取材や編集をしてきた著者ならではのエピソードを交えながら、「怒られたらどうするか」について書かれた本書、かなり実用的で興味深く読ませてもらいました。大事な...
潔癖症の独身OL・木南紗子(27)と、隣の部屋に越してきた琴引さんを軸にした恋愛小説。自分も潔癖症のケがあるので、お、これは共感できるかも、と期待して読み始めたけれど、(え、潔癖症なのにそれは大丈夫なんや…?)とツッコミを入れたくなる描写が...
図書館で久しぶりの麻耶雄嵩さん。出だしからしれっととんでもないこと言い出すので、え、これ何かの続編とか…?と思って調べたらやっぱり続編でした。一巻から読むべしとの忠告も多かったのですが一度始めたら止められないのが麻耶さん。え、これ徳間書店な...
あなたはここにいなくとも、ちゃんとあなたのことを見ている。あなたはここにいなくとも、マグカップの思い出は冷めないまま。あなたはここにいなくとも、あなたのことを待っている。あなたはここにいなくとも、あなたの黒い感情を知っている。あなたはここに...
良くも悪くも「今時の短編ミステリー集」という印象。サクッと読めます。家庭教師仲介の営業をする大学生、マッチングアプリ、精子提供、リモート飲み、YouTuber。携帯電話の普及でミステリのトリックが昔ほど自由に作れないなら、今流行ってるもので...
法廷×タイムリープ×ミステリー×ちょっとファンタジー。書記官(ってどういう職業なん?っていう私みたいな人間にも分かるように丁寧な説明があります。)の主人公が、突然タイムリープに巻き込まれる。昔家を出て行った父親の犯行は冤罪だ、と気が付き、無...
初めましての韓国文学。生まれつき頭の中のアーモンド(扁桃体)が上手く機能しないために失感情症である少年の視点から描かれる世界。感情を感じるのが苦手なはずの彼の一人称は感受性豊かで洞察力に満ちていて、終始(私の感情のほうが偽物なのではないだろ...
詐欺がテーマの3篇。月並みですが、「自分は巻き込まれない」と思わないようにしよう、と強く強く思いました…コワイよう…。2020年のロマンス詐欺:『神様の罠』で既読。(なんか損した気分。)五年目の受験詐欺:もし「あの時」に戻れてもまた払ってし...
タイトルと表紙から受ける印象を遥かに上回る面白さ!読むべし!一回もお世話になったことがないので、何で泌尿器科?って思ったけど、こういう科もあるんだ…と、勉強になりました。生理痛なんて甘えだ、などと言われる度に(男は生理なくていいよな怒)と思...
玩具製作販売会社元社長・戸川福太郎は娘婿に跡を継がせてからも謎の肩書きをこしらえて会社に居座り、社員を捕まえては自慢話を延々と垂れ流す。ある時遂に娘がブチ切れる。…から始まる老害小説(そんなジャンルはない。)。突っ込み所も多いがクスッと笑わ...
1936年のロンドンでの精神科医密室殺害事件。容疑者はその患者たち。翻弄される探偵の元奇術師・スペクターが良い味出してる。解決編手前まではその時代やイギリスの空気感を堪能しつつ~わくわく♪楽しめた。装丁も好み!けど、解決編が袋綴じなだけにす...
脱出ゲームブックvol.2ということで、謎解きをしながら物語を進めていくタイプの本。謎解きは正直拍子抜けするくらい簡単なのばっかり。ただ、やっぱり(?)ラストの問題だけ難易度が突然爆上がり。まあよくこんなの考えるなあ、と感心してしまうー。v...
終始色んな意味で泣きそうになりながら読了。17歳で父を、20歳で母を亡くし、大学を退学した聖輔。一円単位で生活を切り詰める中、1つのコロッケを譲った所から光が見えてくる。聖輔がお人好し過ぎて心配になったし、騙したりたかったりバカにしてくる奴...
女性作家のみによるSFアンソロジー。普段SFを読まないけれど芦沢央斜線堂有紀新川帆立に惹かれて。ヒュブリスの船が予想以上に凄かった。個人的MVPは新川帆立さんのリーガルSF。でもこれはSFなのかな?普通に日本の法律が許せばありそうなお話。多...
心に穴ぼこを抱えながらもなお生き続ける5人の物語。線香花火、海、蛍(のような何か)、また海と線香花火、そして海。全篇が夏のお話ではないけれど、何故か夏の匂いがする一冊だった。直木賞ってもっとドラマチックな展開が好みかと思っていたけれど、出版...
成瀬、最初はただただ強いヒーローみたいな女の子なのかな、と思いつつ読み進める。ページが進むにつれ色んな成瀬が見えてくる。意外と涙もろかったり、我が道を行き過ぎて友だちの気持ちが読めなかったり、それで落ち込んだり、落ち込んでる自分に気が付かな...
初読み作家さん。初手の表題作の世界観に若干着いていけなくなりそうになったが、読み進めていくうちに段々慣れてきてラストの友情の篤さにホロッとさせられた。6篇の中であえて選ぶなら「美亜羽へ贈る拳銃」がめちゃ惹きつけられて、最後よく分からん話の放...
体験型謎解きイベント「リアル脱出ゲーム」初の書籍版。ど田舎暮らしで到底現場に行けない私には嬉しい本。謎解きはそれほど難しくなく、初心者向け。どうしても解けない時用に、公式サイトにヒントがあったが無くても進められると思う。しかしラスト問題だけ...
行き場のない母子を保護する「のばらのいえ」に住む、2人の少女。2人には、他の子とは違って「いつかそこを出て行く」という選択肢がない。他の子どもの面倒をみたり家事をさせられる祐希。お前には何もできない、と言い切られスポイルされ無気力になってい...
逝ってしまったもみじが「着替えて」戻ってきたかのようなお絹との出逢い。スピリチュアルなことは信じないけれど、人間なんかには預かり知ることのない運命や奇跡って絶対ある。謙虚な姿勢で生きなはれ、と猫に背筋をてちてち、と叩かれている気分になった。...
新川帆立さんが「下品な企画が来たので思い切り下品な作品を書いたぜ!」とどこかで宣っていたので手に取った、東大卒生と東大生によるアンソロジー。編集さんがどういう風に依頼したのかは知らないが、「東大」というテーマが一番生きているのは結城真一郎さ...
多重解決、特殊設定、と流行りの要素てんこもり。そしてカルト教団による集団自殺って実際にあった事件なんだ、と戦慄。序盤から綺麗に伏線が張られ、それを一つ一つ丁寧に回収し、何度もどんでん返しを繰り返し、最後まで手抜かり無くミステリ小説としてきっ...
省エネ少年ホータローが放埒な姉にけしかけられて古典部に入部し、仲間と共に日常の謎に巻き込まれていくお話。なんだか言い回しが古いなあと思ったら20年以上前の本なのね。キャラを際立たせるという意味では成功してるんだろうけど、全員喋り方が痛い。謎...
胸焼けがする…と思いながら、最後はスッキリ終わらせてくれるよね?と期待しながら読んだけど最後まで胃がムカムカした。体調悪くて早上がりして何でお菓子作って職場に持ってこれるのか芦川さん。二谷さんも何考えてるのか謎過ぎる。ここから自分語りなのだ...
著者初のSF短編集。なんとなく「楽園とは探偵の不在なり」を思い出させる。本当の愛の定義、骨にまで刻まれた信仰、映画の魂、人の生死の意味、人種差別、そして再び愛とは何か。6編のテーマはそれぞれ違うけれど、行き着くところは、人って死んだらどこに...
「方舟」が良かったので他のも読んでみたくて手に取った。大正の大地震で一家全滅した絹川子爵の財宝を巡る華族間の奇妙で熾烈な争い。もうこの時点で面白いの確定。そしてなんと言ってもサーカスから逃げてきた少女ユリ子の奔放さ、頭のキレの良さに舌をまく...
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