スタディサプリ Product Team Blog

株式会社リクルートが開発するスタディサプリのプロダクトチームのブログです

エンゲージメントサーベイによる組織改善

こんにちは。スタディサプリの開発グループでマネージャーをしている @ttokutake です。 本稿は スタディサプリProduct Team Advent Calendar 2024 8日目の記事です。 今回はエンゲージメントサーベイの実施と振り返りをして自分のチームの問題点の発見・解決をした事例を紹介しようと思います。

エンゲージメントサーベイとは

# 自分
エンゲージメントサーベイとはなんでしょうか?簡潔に教えてください。

# Microsoft Copilot
エンゲージメントサーベイとは、従業員の仕事に対する満足度や意欲、会社へのコミットメントを測定するためのアンケート調査です。これにより、企業は従業員のモチベーションや職場環境の改善点を把握し、働きやすい環境を作るための施策を検討することができます。

リクルートのエンゲージメントサーベイ

リクルートのエンゲージメントサーベイについて、公式の説明 を引用します。

リクルートでは、従業員一人ひとりと会社をつなぐ場を「職場」と捉え、両者の「関係の質」を高めるために、エンゲージメントサーベイを軸に職場の状態を可視化し、その結果を元に職場で対話・改善アクションを行っています。職場での対話を通じて、組織課題の本質に迫り、また、お互いの価値観を共有することで、関係の質を向上し、組織の成功循環サイクルを回して価値の創造に繋げています。

エンゲージメントサーベイは全社的に半年に1回実施されています。 組織コンディションに関するいろいろな質問項目が用意されていて、それらの回答結果を活用して振り返りを行うという流れです。

参考までに全社的なサーベイ結果の推移は 結果を公開しているページ から引用すると以下のようになっています。

サーベイ結果の推移

我々のチームでは主に「職場対話組織率」「チーム満足度」に関する自チームのサーベイ結果を改善のために活用しています。

振り返り方法

エンゲージメントサーベイの結果を基にチームごとに振り返りをします。 この振り返りはなかなか重厚な内容になっており、振り返りに使う資料なども非常に丁寧に用意されていますが、実施はそれなりに大変です。

以下振り返りの大まかな流れです。

  1. 事前ワークシートをチームメンバーそれぞれで埋める
  2. 事前ワークシートの内容を基にマネージャーは振り返りミーティング用のスライドの準備
  3. 振り返りミーティングの実施
    1. 前回の結果振り返り
    2. チームの現状整理
    3. 半年後のチームの目指す姿を決定
    4. 目指す姿のための課題設定
    5. ネクストアクションの決定
  4. ネクストアクションの実行

自分たちのチームの課題

2023年にエンゲージメントサーベイの結果を基に振り返りを実施したところ、自分たちのチームでは「踏み込んだ意見を言いづらい」という問題が見えてきました。 もちろん無遠慮になんでも言って良いわけではありませんが、確かに極端にチームの調和を考えすぎて何も言わないのもチームの改善チャンスを逃すことになります。 そこで自分たちのチームでは「チームの成長のために十分に気を遣いつつも踏み込んだ意見もきちんと言い合える」ことを目指す姿として決定しました。

さらに話し合った結果、以下のようにいくつかの課題が出てきました。

  • 素直にNoを言えない雰囲気がある
    • これはそのままの意味で、メンバーの中でそのように感じる人がいるということがわかりました
  • 非言語コミュニケーションが足りていない
    • 業務上のやり取りはSlackかGoogle Meetがメインで、カメラも基本的にはOFFなので文章か声のやり取りばかりになっていることがわかりました
    • 例えば淡白な文章のやり取りになってしまっている場合に「本当に納得しているかわからない」みたいなケースがあるようでした
  • 実は仕事以外のお互いの姿をよく知らない
    • 仕事以外の関わりがないので、普段どういうことを考えたり、物事を捉えているのかを知ってみたいという声が出てきました

課題に対して実施したアクション

それぞれの課題に対して議論した結果、以下のようなネクストアクションを設定してみました。

ワーキングアグリーメントの設定

これは「素直にNoを言えない雰囲気がある」への対策です。 自分たちのチームでは、この課題に対して「発言する側」と「発言される側」の両面に対して策を設けると良さそうということを考えました。 その結果、以下のようなワーキングアグリーメントを設定するに至りました。

  • 相手に「配慮」しつつ、言いづらいことも溜め込まずに相談する
    • ちなみに配慮の具体例としては否定的な意見を言う前に「ユーザーのことを考えると」のような枕詞をつけたりなどがあります
  • 方針に違和感がある時には流さずに声を上げるようにする
    • ただし、Disagree & Commit1 を前提に考える
    • 発言される側もより良いチームにするためであることを認識する
  • スプリントレトロスペクティブなどの振り返り機会で「発言してもらって良かったこと」を積極的に挙げる

これらを設定することで、自分の言いたいことを言える雰囲気を醸成することを目指しました。

一部ミーティングはカメラONに

これは「非言語コミュニケーションが足りていない」への対策です。 自分たちのチームは基本的にはリモートワークなので、話すときもリモート会議がメインとなります。 普段はカメラをOFFにしている人が多いのですが、特定のミーティングではカメラをONにするように必須とするようにしました。 単に声だけでコミュニケーションするだけではなく、表情や身振り手振りも見えるようにすることで声だけではわからない雰囲気も感じられることを目指しました。

ちなみに以下のアイデアも検討したものの、いきなりの導入は避けることにしました。

  • 全部のミーティングでカメラON
  • 定期的な出社(例えば月に1回など)

ゲーム会を定期開催

これは「実は仕事以外のお互いの姿をよく知らない」への対策です。 自分たちのチームでは月に1回1時間のゲーム会を開催することにしています。 内容としてはオンラインでできるボードゲームやパーティーゲームをしています。 ほとんど仕事でしか関わらないメンバーと仕事以外の何かをするという機会を定期的に設けることでお互いをより深く理解することを目指しました。

実は昔のブログで雑談会を設ける試み2 を実施していたのですが、そちらは現在のチームではワークしなかったので廃止しました。 雑談会は仕事が忙しいとスキップされがちだったり、話題決めが徐々に大変になっていくという課題がありました。 それと比較して、ゲーム会の場合はやるゲームさえ決まれば、あとはやるだけなので運用が楽な面があります。 (もちろんどのようなゲームをやるか決めるのは多少苦労があります)

結果

課題に対するアクションを実施して、1年後の2024年にエンゲージメントサーベイを実施して振り返りをしたところ...見事に問題点は解決していました! 高評価をつけたメンバーも多く、むしろチームの強みとなっていました。

実際に3つのアクションが直接的に効果を発揮した部分もあったとは思うのですが、これらのアクション以外の影響もあったと思います。 大事なのは「こういった姿を目指すぞ!」という意識づけで、それが今回の成果に繋がっているのではないかなと思っています。 また、改善は一度できたら終わりというわけではなく維持することも大事なので、今後も問題発見と改善のサイクルを継続していきたい所存です。

さいごに

今回はエンゲージメントサーベイによる組織改善の事例を紹介しました。 組織改善について悩みを抱えている人たちの一助となれば幸いです。

明日は @aoi1 さんの「年末だし大掃除しよう!AWSコスト削減術ご紹介」です! お楽しみに!!!


  1. Disagree & Commitについて、詳しくは こちらのブログ をご参考ください
  2. 昔のブログは こちら です。雑談会ではなく「お茶会」という名前で運用していました