homealは「幼児食の悩みをゼロに」をミッションに掲げる、幼児食D2Cブランドです。働きながら幼少期の子どもを育てている多忙なお客様が多いため、従来のメールベースのコミュニケーションだけでなく、LINEを活用したコミュニケーションも取り入れました。
今回インタビューしたhomealの鬼海さんは、コマースプラットフォーム「Shopify」やShopifyアプリを使いこなし、ユーザー体験向上のための施策を数多くおこなっています。特にワークフローの自動化アプリ「Shopify Flow」を活用した自動化の数々は必見です。
とはいえ「すべてを自動化してしまうと、homealが届けたい体験は実現できない」と語る鬼海さん。homealでは実施する施策をどのように決め、どのような仕組みで実施しているのか、詳しく伺いました。
インタビュイーのご紹介
homeal株式会社 代表取締役 鬼海 翔 様
「金曜夜にLINE配信、土曜の朝出荷」全ては届けたいユーザー体験のために
ーhomealが提供している「幼児食」について、まずは教えてください。
保育園・幼稚園に通っているくらいの年齢のお子さんが食べているのが「幼児食」です。離乳食が終わっていきなり大人と同じものを食べられるわけではないので、子どもの胃の発達に合わせた幼児食を食べて、少しずつ大人と同じものが食べられるよう成長していきます。
homealは「幼児食のすべての悩みに応える」をミッションとし、冷凍食品の販売をはじめとした様々なサービスを展開しています。
ー幼児食の悩みですか。例えばどんなことでしょう?
「栄養バランスを考えて、しょっぱすぎなくて、添加物もなるべく少なく、できるだけ大人と同じものが食べれるように……」など、幼児食は結構考えることが多くて大変です。それに加えて、頑張って作っても「今日はこれ食べたくない!」と食べてもらえなかったりもします。
共働きの家庭も増えてきた中で、なかなか時間をかけて幼児食を作ったり、一緒にゆっくり食卓を囲んだりというのも難しくなってきていると自分自身感じていました。この話を周りの人たちにしてみると、同じように悩んでいる人がたくさんいたんです。そこで、なんとかこの課題を解決できないかと考えたのが「homeal」誕生のきっかけです。
ー ご自身の体験からスタートしたサービスだったんですね。
はい。homealのサイトも「食品(幼児食)を売っているECサイト」としては意識していません。幼児食に悩む親御さんの課題解決が先で、ECはあくまでその手段です。だからこそ、どんな施策も「こういう体験をしてほしい」というところから考えて、それを実現するためのカートシステムやツールを選んでいます。
例えば、homealのお客様は小さなお子様と共に暮らす親御さんが多いので、平日は夜21時くらいの寝かしつけの時間まではバタバタしている方が多いと思います。金曜の夜、寝かしつけが終わって「明日休みだな、来週のごはんはどうしよう」と考えている頃、ちょうどhomealから「土曜午前中までの注文で、日曜にお届けできます!」というLINEが届きます。このスケジュールだと翌週の献立の一品として間に合うのですが、もしこれが週明けの発送となると、お客様の満足度は大きく違うでしょう。
物流には「オープンロジ」を利用しており、この配送スピードはhomealの大きな武器になっています。お届けする商品が食品で、しかもお子さんが食べる物なので、パッケージの不備や賞味期限管理など検品のクオリティが高いことも「オープンロジ」選定理由のひとつでした。
さらに、冷凍食品なので確実に受け取っていただけるよう注文・発送完了通知をLINE通知メッセージでお送りしたり、都度購入の手間をなくせるよう定期便も利用できるようにしたりといった工夫もしています。
ー ツールありきではなく、実現したい顧客体験のためにツールを選ぶことは非常に重要ですね。
とはいえ、「やりたい施策はあるけど、リソースが足りなくて」と悩む事業者様も多くいらっしゃいます。homealでは実施する施策をどのように決め、どのような仕組みで実施しているのか、詳しく伺わせてください。
Shopifyとアプリ群を使いこなし、人が感動体験をうむ余力をつくる
まず、「感動体験は人でないとつくれない」と思っています。今は本当に色々なツールがあって、自動化できることもかなり増えてきましたよね。でもすべてを自動化してしまうと、homealが届けたい体験は実現できません。幼児食に悩む親御さんの気持ちに寄り添った提案や、時には商品とは直接関係のない心配の声かけもできてこそ、「幼児食のすべての悩みに応える」というミッションは達成できます。
そこで、サポートチームが実際のお客様とのやりとりに集中できるよう、コアなやりとりでない箇所で個別の問合せをいただかなくても良いような工夫をしています。
ー 具体的にはどのような工夫をしていますか?
例えば、継続コースのお届け予定1週間前にLINEでリマインドを送るワークフローを組みました。これだけで「本当は変更したかったのにできなかった」といったクレームが減りました。LINEログイン機能も導入しているので、変更したい時のログインもスムーズです。
homealのサイトは「Shopify Plus」で構築しているのですが、Shopifyアプリのインストールとアプリ間の連携でスピーディーに施策を実施できるのがとても良いです。「継続コースのお届け予定1週間前LINE配信」も、下記のアプリやサービスを組み合わせて実現できています。
- 継続コースの仕組み:Shopifyアプリ「定期購買」
- 配送・物流:オープンロジ(Shopify連携)
- LINE配信:Shopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」
- ワークフローの自動化:Shopifyアプリ「Shopify Flow」
そもそも継続コースを導入したのは「忙しい親御さんでも手間なく購入を続けられるように」と考えたからです。だからこそ、継続コースを通じて顧客体験がわるくなる要素はなるべく排除しようとしています。
ー 私自身も色々なサービスの定期便を使ってみて、解約やスキップが電話でしかできずモヤモヤした経験があります……。
商品自体がいらないのかまだ余ってるからいらないのかにもよりますが、そもそもいらないものが届くのって不快ですよね。それが冷蔵庫や冷凍庫を圧迫するものだとなおさらです。
「本当は変更したかったのにできなかった」も良くありません。こういう体験が一番解約やクレームにつながります。
LINEでの変更〆切リマインドやマイページの改修など、お届けスキップ・変更に関する整備をおこなうまでは、毎日数件クレームが来てしまう状況でした。お客様に申し訳ないのはもちろん、対応するスタッフも疲弊してしまうので、ここの摩擦を減らせたのは本当によかったと感じています。
ー LINEでは継続コースの変更〆切2日前リマインドだけでなく、注文・発送完了通知もお送りしていますよね。
はい、継続コースに限らず、すべての注文完了・発送完了のお知らせをLINE通知メッセージで配信しています。忙しい親御さんでもLINEなら気づいてもらいやすいですし、意図しない注文をしてしまった場合でも1日以内に連絡いただけるのでキャンセル対応もすぐにおこなえます。発送時の通知には伝票番号も載せているので、受け取り日時の変更もスムーズにおこなっていただけています。
ー配信費用はメールよりかかると思いますが、なぜLINEでも送っているのでしょう?
確実に気づいてもらいやすい、というのが一番の理由です。homealは冷凍食品を扱っているので、宅配BOXや置き配も利用いただけませんし、うまく受け取れないとその日の献立にも響いてしまうかもしれません。また、冷凍物流だと意図せず届いてしまった時の返送手続きなどのオペレーションはかなり高コストで、片道1200円ほどかかってしまいます。
確かに配信費用で単純比較するとメールよりLINEの方が高いですが、確実に注文完了・発送完了をお知らせするためには必要な投資だと考えています。
ー お客様の商品受け取りに関するストレスが減って、働くスタッフの対応コストも減って、お互いにとって良い仕組みになっていますね。そうして確保したリソースで、チャット対応はどのようにおこなっていますか?
お客様からの相談は、主にLINE公式アカウントかサイト上のチャットで受け付けています。
サイト上でのチャット対応や、同画面でのLINE紹介導線は「チャネルトーク」の機能を使っています。利用割合としてはLINE:サイト上チャットが9:1くらいです。どちらの問合せもチャネルトークに集約されているので、サポート担当はチャネルトークだけを追っていれば良いのが助かっています。2022年10月頃にメールでの問合せも連携できるようになったので、info@メール宛への問合せも含めて全て一元管理できるようになりました。
こうして色々なアプリがアップデートを頑張ってくれているので、自分たちはそれを「お客様のより良い体験にどう繋げるか」というところに頭を使えば良い。Shopifyと出会ってから2年半、Shopify自体もShopifyを取り巻く環境も、そしてhomealも変化の連続でしたが、少しずつ理想に近づけていくのを楽しめるのがすごく良いですね。
Shopifyとの出会いから2年半、試行錯誤の歴史
homealは2020年1月にクラウドファンディングから始まった、今年で4年目のサービスです。最初は立ち上げハードルの低さを最優先し、Shopifyではない他のカートシステムを使ってサイトを構築していました。
ちょうどオープンした直後にコロナ禍が始まって、お子さんの学校が閉鎖されて行けなくなる事態が続出していました。まだオープン間もないhomealにもお子さんのごはんに関する相談がたくさん来て、困っている親御さんの多さを痛感したことをよく覚えています。
当時はメールでしか相談をお受けできず、「もっと簡単に栄養バランスが取れてるかどうかの診断ができたら」「LINEチャットでもっと気軽に相談ができたら」と考えたのですが、当時利用していたカートシステムでは実現できませんでした。そこで診断機能やLINE連携をすぐに始められそうなカートシステムはないかと探したのが、Shopifyに出会ったきっかけです。
ー LINEチャット以外のLINE活用も本格化し始めたのは、2022年4月頃でしたよね。
まずは「LINEのID連携時のクーポン付与」から始めて、「ID連携後の自動配信で誕生日の入力お願い」を試してみたり、先ほどもお話しした「継続コースの次回決済前のリマインド配信」「注文・発送完了通知」を始めてみたりと、色々な配信をおこなってきました。
「発送完了通知」に関しては、最初はお届け予定日だけしかメッセージに載せられませんでしたが、途中からお届け予定時間も載せられるようになりました。
ー オープンロジのデータベースから「お届け予定時間」をShopifyのデータベースに返す実装をしてもらって、Shopify上のデータを使ってCRM PLUS on LINEがLINE配信するという仕組みになっています。
Shopifyのデータベースにデータを集約させることで、アプリ間のコラボレーションもスピード感を持って行えるのもShopifyの魅力のひとつだなと、アプリ開発側の視点からも思います。
「CRM PLUS on LINE」のデータベースにデータが抱え込まれているわけではないので、例えば「同じデータ(配送予定日時)を使ってメールでも配信したい!」という時もすぐに実施できます。同じく継続コースの購買情報も「定期購買」アプリと「CRM PLUS on LINE」アプリ間で連携できるからこそ、次回決済のn日前通知などの施策も簡単におこなえます。
ーこのアプリ間の連携に一役買うのが、ワークフローの自動化アプリ「Shopify Flow」ですね。Shopify Flowを活用した自動化について、さらに詳しく聞かせてください!
LINE配信から同梱物の調整まで!Shopify Flowで実現する自動化
homealでは現時点でも数十のワークフローを試しています。「Shopify Flow」は「トリガー・条件・アクション」を設定することで様々なワークフローを自動化できるのですが、「CRM PLUS on LINE」「定期購買」には「Shopify Flow」上で使えるトリガーやアクションが用意されているので、設定がスムーズです。
例えば「継続コースの次回決済n日前通知」は下記のようなワークフローで設定しています。
■Shopify Flow設定例
- トリガー:定期購買アプリが提供しているトリガー「決済n日前通知」
- 条件:「line」という顧客タグがついている
- アクション:CRM PLUS on LINEが提供しているアクション「LINEでFlexメッセージを送る」
「CRM PLUS on LINE」を使うとマイページや購入後のサンクスページからLINEのID連携を促すことができ、「line」という顧客タグはそこからID連携された際に自動で付与されます。顧客タグ「line」がついている = LINEのID連携がされている状態です。
ID連携は、専用ページをつくってメリットをわかりやすく伝えることで促進しています。
ID連携いただいた方へのクーポンも、Shopify Flowで自動配信しています。
■Shopify Flow設定例
- トリガー:CRM PLUS on LINEが提供しているトリガー「顧客にソーシャルログインの連携追加されました」
- 条件:「line」という顧客タグがついている かつ 「line_coupon_sent」という顧客タグ(既にクーポンを配信した顧客に付与)がついていない
- アクション:CRM PLUS on LINEが用意しているアクション「LINEでTextメッセージを送る」「LINEでFlexメッセージを送る」
LINEのFlexメッセージは、HTMLに近い感覚でレイアウトを自由にカスタマイズできるタイプのメッセージです。LINE公式アカウントの公式管理画面(LINE Official Account Manager)からは送れませんが、CRM PLUS on LINEを通じて送ることができます。
ー LINE配信以外にも、Shopify Flowで自動化しているものはありますか?
同梱物の細かな調整でも「Shopify Flow」は活躍しています。
■「オープンロジ」×「Shopify Flow」での同梱物の調整例
- 初回購入者だけにリーフレットを同梱
- ¥○○以上購入でノベルティを同梱
- 季節限定商品にノベルティを同梱
- 合計○回購入時にギフトカードを同梱
同梱物は実際に買ってもらった方にじっくり見ていただきやすいのでとても重要だと考えています。もちろんオンラインコミュニケーションにも注力はしていますが、どうしてもオンラインの限界はあると思いますしね。実際に肌触りのある実物でのアプローチも「オープンロジ」×「Shopify Flow」で柔軟な設計ができています。
ー 支援側としても、「Shopify Flow」のワークフロー設定画面を見にいけば概ね「こういう処理をしている」というのがわかるので、施策開始時の設定も何か問題が起きた時の解決もやりやすいと感じます。一種の共通言語になっているというか。
Shopifyは本当にコミュニティが強くて、ノウハウを共有し合う文化があるのも魅力的ですよね。もちろん「Shopifyでサイトをつくったら全てがうまくいく」という魔法の杖ではないのですが、材料はたくさん転がっていて、組み合わせ次第でどんどん形になっていくのがとても楽しいです。今後もShopifyやShopifyアプリ・関連サービスを使いたおしていきたいと思います!
ー 貴重なお話、ありがとうございました!
Shopify×LINE配信なら「CRM PLUS on LINE」にご相談ください
Shopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」は、ShopifyとLINEの連携活用をサポートしています。本記事内でもご紹介した「Shopify Flow」との連携活用など、Shopify・LINE双方に詳しいからこその専門的なサポートも可能です。ぜひお気軽にご相談くださいませ。