heartbreaking.

中年の末路とその記録

低所得の就職氷河期世代と低所得の今の若者の税負担率はそんなに劇的に変わらない

「老害」とセットで「手取り少ない」「少子高齢化」「若者の負担が増えている」等の議論を方々で見かけます。

本当に今の若者の負担ばかりが増えているのでしょうか。フリー素材『いらすとや』でよくこの絵を見ます。一部のニュースサイトが過剰に不安を煽っているのも目につきます。この絵に、中年の私は将来の不安を感じます。

私のような就職氷河期世代の中年は、いまの若者たちに将来「老害」と言われるほどラクして生きてきたのでしょうか。そんな気はしないです。

そこで、自分が高校を出て勤務した給料計算書を確認します。30年近く前、低所得の正社員はどれ程税金を納めていたのでしょうか。資料がないと話せないため押し入れから出してきました。

事務員ですので給料自体が低いのですが、30年近く前は額面(総支給額)14万円の給料の場合は、手取り額が11万8千円ほどでした。これに住民税を別途払うとすると手取りはそんなに多くないです。週休二日制がまだ浸透していなかったので、週1休みの求人が多かったです。最低時給は私の地方では30年前は550円にも到達していなかったです。昔の時給はこちらでわかります→ひと目でわかる!最低賃金

それから10年経過して、今から20年前の給料明細です。

販売員でこれも給料は低いのですが額面15万6千円の給料の場合は、手取り13万2千円ほどです。これに別途、住民税を払うので多くないです。

低所得の就職氷河期世代と、同じく低所得のいまの若者の手取り額は、そんなに劇的に変わらないです。

2倍3倍の税金を今の低所得の若者が払っているのなら言い分もわからないでもないですがそういうわけではないので。ネット情報を鵜呑みにし過ぎて、被害者意識が大きくなりすぎているのは世代間の分断を生みます。

私の検証できる限りでは30年ほど前から低所得者の給料が変化ないだけです。30年以上前に消費税は導入されているので(最初は3%でしたが)低所得者は昔からそんなにラクな生活ではありませんでした。その間インターネットを通じ人々の娯楽を求める気持ちは急激に拡大しました。今の若者の不満はやりたいことが多く必要なお金が増えすぎたので、手取りが足りていないのです。

いまの若者の税負担率は就職氷河期世代のこれまで払ってきた負担率と、そこまで大きく違っているわけではないです。

私も今頃の若者の大きな勘違いから、将来「老害」と迫害されても困ります。安楽死が導入されたとき、独り身の私の元へ生活が苦しいのだと若者に死の選択を迫られてもそんな身勝手な要求には応えられないです。

また、今現在年金生活を送る老人についても、すべてを一括りにして「老害」だと責めるのはよしていただきたいです。例えば自営業で中抜きに苦しめられた人は生活保護以下の年金額で細々生活しているのです。

就職氷河期世代は、うつ病など精神病に理解のない時代を、スマホも持たず手探りで生きてきました。すべてが自己責任とされていました。また女性へのセクハラも当たり前のように横行していました。

消費者金融の利率は30年程前では30%近くもあり、求人情報誌には当たり前のように詐欺の金融広告が掲載されていました。

答えのない世界を、泥だらけで転げまわり、どんな時も地頭で考えて生き抜いてきた世代であり、税負担率も今の低所得者とはそんなには大差ないので、就職氷河期世代と今の若者は理解し合えるはずです……それと、冒頭のいらすとやの素材はもうこれ以上見たくないというのが正直なところです。どうかこの嫌な予感を消してください。