あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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「週刊ニッポンの国宝100」はアートファン必読!予想外のクオリティで凄い!久々に大満足な雑誌と出会えました【開封感想・内容レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

暑かった夏が終わり、急に秋一色になってきた今日このごろ。去年もそうだったんですが、個人的には2017年の秋は、「芸術の秋」にしよう!ということで、美術館や寺社の特別拝観にせっせと通うことになりそうです。

ところで、今年の秋は、日本美術が熱いのです。キーワードは2つ。
その2つとは、ズバリ、
「北斎」と「国宝」です。
というのも、2017年秋シーズンでは、関東・関西のメジャーな博物館・美術館で、「国宝展」「北斎とジャポニスム展」など、この2つのキーワードにちなんだ日本美術の大型展覧会が多数開催されるからです!

すでに夏頃から「日経おとなのOFF」や「一個人」等、各社の文化・芸術系雑誌での秋を見据えたアート特集号では、必ずこの2つのキーワードのどちらかが入っている状態でした。

そんな中、9月5日になって、小学館がこの秋のキラーコンテンツとして発刊した「国宝」にちなんだ、分冊百科本「ニッポンの国宝100」第1号がリリースされました。

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8月頃からネットでも話題になっていましたので、とりあえず話題に出遅れないように話のネタとして買ってみたのですが、これが、予想外に良かったんです!開けてみて、「おおっ、これは凄い!」と思ったので、思わずこのようなツイートまでしております。

 

通常、こういったデアゴスティーニ形式の分冊本はめったに手を出さないのですが、今回ばかりは、このあとも買い続けてもいいかな?と思えるようになりました。

ということで、以下、この分冊百科雑誌「ニッポンの国宝100」を読んだ感想と、一体何がおすすめポイントなのか?というところを少しまとめてみたいと思います!

1.分冊百科「ニッポンの国宝100」とは?

一口に美術品といっても、様々な格付け・グレードがあります。美術館に展示されているアイテムも、その重要度は、ざっくり言うと、上から順番に、国宝、重要文化財、その他の美術品、と3段階に分かれます。うち、国宝、重要文化財は、文化財保護法という法律で国がしっかり管理することになっており、その取扱や公開方法など、細かい取り決めがなされています。

2017年現在、重要文化財は、10,000点以上ありますが、それに対して、国宝はわずか1108点。いわば、選び抜かれたレアアイテム中のレアアイテム、ドラクエで言うとロトの剣、FFでいうとエクスカリバーみたいな存在なわけですが、そんな国宝を、1年間50冊にわたり、1冊で2つずつ集中的に取り上げて、その魅力を徹底的に分析した分冊百科雑誌を立ち上げよう!というのが、「ニッポンの国宝100」のコンセプトです。

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2017年は、「国宝」という言葉が誕生してから、ちょうど120周年となる記念の年なのだそうです。特に、この秋は、京都で開催されるのが実に41年ぶりとなる「国宝展」(京都国立博物館)や、運慶の国宝・重要文化財の作品群を一挙に集めた「運慶展」(東京国立博物館)など、国宝にちなんだ大型展覧会が相次いで開催されます。

まさに、国宝を切り口として、日本美術を楽しむにはベストタイミングな年なんですが、その記念すべき国宝イヤーに、小学館の文化事業として、同社が総力を上げて創刊した雑誌が「週刊ニッポンの国宝100」でした。ぴったりのタイミングです。やるな小学館。

すでに嫌というほど小学館の文化系雑誌「和樂」「サライ」や、各種ネット媒体などで宣伝されていますが、その第一号が、満を持して昨日9月5日に創刊となりました。

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2.ということで、早速書店で買ってきました

ということで、発売日に早速ゲットしてまいりました。まずは開封してみましょう。

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創刊号は、付録とセットで非常に分厚くなっています。Amazonで注文するなら、確実に受取るには期日指定にしないと、ポストには入らないほどの厚みがあります。

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開けると、本体雑誌部分と付録の箱が分離します。恐らく、別冊バインダーを購入すれば、本体はそちらに綴じられるようになるのでしょう。

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こちらが、全部開けた所。中から付録のトラベルケースが出てきました。

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箱を片付けると、こんな感じです。雑誌本体(A4サイズ)と、雑誌より一回り小さいB5サイズくらいのトラベルケースです。

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3.何がおすすめポイントなのか?個人的な感想

結論から言うと、すご~く良かったので、Twitterでは飽き足らず、ブログ記事にしてみたのですが、個人的には、4つのおすすめポイントがあると感じています。順番に、感想を交えて書いてみますね。

ポイント1:初心者でも知識ゼロから深く理解できる親切・丁寧な文面

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国宝鑑賞法を、図解でわかりやすく解説!

アートにどっぷりハマってから、今年で3年目になるのですが、その間、色々な雑誌を買ってみたり、図書館で読んでみたりしてきました。でも、なかなか「これだ!」っていう本や雑誌にはめぐりあえないんですよね。

いわゆる一般雑誌のアート特集は表面的すぎて、単なる展覧会情報のまとめでしかなかったりする一方、アート系専門雑誌の特集は、逆に「小難しい」感じの解説やコラムが多くて、辟易することも多かったです。(アート系専門雑誌だとわかりやすいのは「芸術新潮」ぐらい)

その点、この「週刊ニッポンの国宝100」では、毎週、徹底的に2つの国宝に絞って掘り下げる一方で、知識ゼロの状態で読んでも、わかりやすく理解できるような平易な文章で解説してくれているんです。まず、ここが良かった。

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国宝紹介の最初のページに「まずは知りたい!」と
わかりやすく説明がある!

「そうそう、これだよこれ!」と思いながら読んでいましたが、専門性とわかりやすさを両立させた構成は、まさにアート雑誌に一番足りてないポイントを見事に埋めてくれる出来でした。これがあと49号続くなら、全部買いたいです。

ポイント2:ビジュアル面が充実!オールカラーでの解説が嬉しい!

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僕は、雑誌だけでなくアート入門本もよく読みます。(いつまでたってもなかなか初心者を抜けられないもので^_^;)気がついたら書棚に入門本は10冊以上刺さっていますし、図書館でも何冊も借りて読みました。

アート系書籍の不満点は、文字情報は充実しているものの、解説している対象作品の写真が圧倒的に不足していることです。きっと、カラー写真を載せてしまうと書籍の値段が高くなっちゃうからなんでしょうけど、、、結局ちゃんと勉強しようと思ったら、ネットとか他のカラー写真が載っている大型本などで、作品の高精細なカラー画像を別途探さなきゃいけなくて、二度手間なんですよね、、、

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阿修羅像部分拡大図。物凄い高精細な写真に感動した・・・

その点、この「週刊ニッポンの国宝100」は、カラー写真がものすごくキレイで、専門カメラマンが部分図まで国宝にフラッシュを当てまくってきっちり鮮明な写真を撮影・編集してくれているので、これは良かったと思います。小学館は、2016年にハイレベルな美術全集も出版していますし、芸術作品に対する高精細な写真撮影ノウハウがたまっているな、と感じます。

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風神雷神図屏風もこの通り。俵屋宗達考案の
「たらしこみ技法」もバッチリわかる!

また、国宝をお寺などの古い展示施設で見ようと思ったら、照明が暗かったり、展示方法今ひとつだったりで、鮮明に見ることができないことも多々あります。また、そもそも撮影禁止で、スマホで気軽に撮ることもできませんし。カラー雑誌だと、このあたりのフラストレーションを見事に解消してくれますね。

最終的には実物の良さには敵わないかもしれませんが、2次元情報として手に入るビジュアル資料の中ではトップクラスの出来の良さだと思います。

ポイント3:1冊あたりのコンテンツがかなり揃っている!

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目次。分冊百科ですが、40ページ超の大ボリューム!

僕は、過去に仕事で悩み深き時代、現実逃避のため(?)神社仏閣巡りにハマったことがあります。その時、やっぱり同じように分冊百科本をこつこつ購入していたのですが、結局途中で買わなくなっちゃいました。

なぜかというと、情報量が少なく、ペラペラだったんですよね。毎回20ページくらいの小冊子レベルでしたので。ブログやキュレーションサイトなど、ネットで拾える情報を単純にまとめたものに毛が生えた程度のクオリティ・分量しかなかったからなんです。

今回も分冊百科だし、内容は正直薄いんだろうなと思って期待せずに読み進めたら、情報量は小冊子レベルを遥かに凌駕していますし、しかも分析の切り口が非常に斬新じゃないですか!

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観音開きで、阿修羅像の「腕」を徹底分析!

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ダヴィデ像vs阿修羅像、東西彫刻の比較対決!

例えば、第一号の「阿修羅」で、腕だけ、顔だけの比較特集や、ヴィーナス像との比較分析などはオリジナリティがありましたし、面白いんですよね。あぁ、このクオリティと分量なら、満足だな、と思いました。

ポイント4:コスパ最強!創刊号は500円!その後も定価は680円と、ムリなく買える値段になっている!

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創刊号はわずか500円!

上記ポイント1~3で書いたとおり、かなり充実した内容なので、第1号記念号は500円と安いけど、2号目からは1000円くらいかな?と思っていたら、なんと2号目以降も、予想外に安い680円!これは頑張ってると思います。

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息子の進研ゼミの読み物は月1,000円超!

比較対象として妥当かどうかわかりませんが、同じ教養系分冊本で、ちょうど僕の小学校2年生の息子用に定期購読している進研ゼミの科学雑誌が1冊1000円弱(内容はかなり良いのでこれはこれで塾いらず/笑)なので、この内容でこの値段は小学館、相当頑張ったなぁと・・・。

4.第一号は付録がゴージャスで良い!

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分冊百科雑誌は、第一号で豪華な付録がついてくることが多いですが、「週刊ニッポンの国宝100」では、鳥獣戯画柄のトラベルケースが付いてきました。

展覧会に出かける時、チケットやチラシ、寺社で買ったアクセサリー類をまとめて入れておける小物入れです。ガイドを見ると、こんな感じで使ってくれ!と懇切丁寧に解説が書いてあります。 

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シンプルで、ユニセックスな飽きの来ない柄ですし、早速次回の外出から実戦投入することにしました。僕の場合は、主にチケットホルダーに使うような感じですね。アートだけでなく、映画の前売り券なんかもここに入れることにしました。とりあえず、こんな感じです!

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入れたのは、名刺、美術館のチケット、映画前売り券
映画パンフレット、美術館の年間パスポートなど・・

まだスカスカですが、10月、11月に京都遠征した時には、もう少し充実しているかと思います。今までも、雑誌の付録のチケットホルダーを使っていましたが、明日からこれに鞍替えです(笑)

5.まとめ

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ここ数年で、確実に日本美術に対する関心が高まっている感じがあります。例えば、2009年に東京・福岡で開催された「阿修羅展」は合計165万人の動員があったり、2016年春、東京都美術館で開催された伊藤若冲展が、入城まで最大5時間待ちとなるなど、展覧会の動員数も伸びていますよね。

でも、日本美術をゼロから勉強しよう、初心者から知識をつけていきたい!という人に対する書籍の決定版ってまだまだ少ないんですよね。そんな中、今回発刊された「週刊ニッポンの国宝100」。

この雑誌は、まさにこれから日本美術を学ぼう!という人にぴったりの情報源だと思います。読んでいて、まるで美術館の中にいるみたいな気分を味わえるし、内容も面白いし、久々に大当たりだな!と思える雑誌でした。

付録の箱の裏面に、「さあ、国宝を楽しむ一年を始めましょう!」と書かれていました。小学館の言うとおり、本当にいい機会なのかもしれませんね。しばらく、この分冊本を追っかけてみることにします。おすすめです!
それではまた。
かるび

書籍情報・関連書籍など

気軽にワンコインで試せる!「週刊ニッポンの国宝100」創刊号

本文でも紹介させていただいた通り、豪華付録付きなのにワンコインで買えるオトクな創刊号。付録もついてきますし、とりあえず騙されたと思ってぜひ買ってみて下さい!ちなみに、驚いたことにAmazonでは第2号以降、第50号(最終巻)まで全て予約できるようになっています(笑)

2017年秋のいいとこどりムック本!「国宝・運慶・北斎」

こちらは小学館じゃないんですが、2017年秋の日本美術のトレンドを完全に狙い撃ちした、ガイドブックが出ました。ちょうど、「日経おとなのOFF8月号」でも同じような特集をしていましたが、その拡大充実版として、発売されたようです。「ニッポンの国宝100」と奇しくも同日発売で、こちらもおすすめです。