ライブレポも昭和のアイドルも。イラスト+文章で“好きなもの”をブログに詰め込んでいく、れんちさんのスタイルとは

はてなブログのユーザーに、自身とブログについて語っていただく【「ブログを書く」ってどんなこと?】シリーズ。今回は、2015年からはてなブログ「おきにいり奇譚」でイラストを交えたライブレポートを載せているれんちさん(id:pvcovs/@mokomokohimeko)にお話を伺いました。

れんちさんは2015年のブログ開始時から、自分の好きなバンドのライブレポート、ドラマの感想などについて、イラストを交えた文章で発信しています。平成生まれだけど昭和の音楽やアイドルが好きというれんちさんは、Instagramでも「自分の好きなもの」をイラストにしてアップ。自らの「好き」を表現し続けています。

れんちさんの「自分の好きなもの」をまっすぐに表現しブログに記録していくスタイルはどのように生まれたのか、Instagramとの使い分けはどうしているかなどについて、インタビューしました。
※取材はオンラインで実施しました

――「実年齢とちょっとズレた年代の音楽が大好き」とプロフィール欄に書いていて、工藤静香さんや中森明菜さんがお好きだそうですが、どれくらい“ズレて”いるのでしょうか?

れんちさん(以下、れんち) 私は平成元年生まれなんです。美術大学にいる時に教授から「平成生まれなのに昭和のものが好きなのは面白いね」と言われるまで、特にズレていると思っていませんでした。卒業制作で昔のアイドルの似顔絵と解説を載せる本を作って、実年齢と好きなものの年代がズレているという話を書いたところ、好評だったんです。

そこで「平成生まれだけど、昭和のものが好き」というギャップがあることそのものがキャッチーなんだと感じて、趣味としても本を作りました。

――昭和の音楽には、れんちさんは触れていないですよね。生まれる前の音楽やアイドルに、どのようにして興味・関心を持ったのでしょうか?

れんち テレビのものまね番組が好きでよく見ていたのですが、そこに昔の曲が頻繁に登場するので、もともと耳なじみがありました。また、家に昔のヒットソングのコンピレーションアルバムがあり、中学の頃にそれを聞いて「あ、聞いたことあるな」「いい曲だな」と思ったのが最初のきっかけだった気がしますね。

れんちさんのブログ「おきにいり奇譚」

──Instagramにはさまざまなアイドルのイラストを投稿されていて、かなり幅広くご存じですよね。どのようにして知識を広げていったのでしょう。

れんち コンピレーションアルバムを聞いた後に、友達のお母さんに松田聖子さんのアルバムを借りたりして、徐々に有名どころの方を知って……。一番好きな工藤静香さんの歌は、誰かがカラオケで歌っているのを聞いて「これ、ものまねで聞いたことがあるな、いい曲だな」と思って好きになりました。

そこからずっと昭和のアイドルが好きで、大学生の時には昭和歌謡バーでアルバイトをしていたんです。

──「昭和歌謡バー」?

れんち 今はもうなくなってしまったのですが、都内にある、昭和歌謡を流すバーでした。アルバイトをしながらそこの常連さんや店員さんに教えてもらったり、店でもずっと流れている曲を聞いたりして、「これは誰の曲だろう?」と知識が広がっていった感じです。

──れんちさんにとって昭和のアイドルは、どんなところが魅力的に見えたのでしょう。

れんち 曲の構成がシンプルで耳なじみが良く、覚えやすいところはもちろん好きなのですが、その時代ならではの髪型や衣装、バブリーな雰囲気にインパクトがあって。清純派やちょっとスレたヤンキー系など、個性(キャラクター)がはっきりしていて、それが髪型や衣装にも表れているのが魅力的に映りました。

ブログを「自分の好きなものを詰め込んだ場所」にしたい

――昭和のアイドルが好きというれんちさんですが、バンドもお好きだとか。はてなブログではLUNA SEAのライブレポートなども書いてくださっていますが、あえてブログにまとめている理由について教えてください。

れんち Twitterでイラストを付けて載せることももちろんできるのですが、どうしても流れていってしまうので、アーカイブとしてまとめられる場が欲しいなと思っていました。それでTwitterよりはブログの方が見やすいし、使いやすいなと個人的に感じました。

イラストに特化したサービスも少し使ったことはあったのですが、イラストだけではなく文章も一緒に書いて、そこに興味を持ってもらいたいなという思いもありました。ブログは、“人の気配”が多すぎず少なすぎずで、ちょうどいいなと思っています。

ブログは「自分の好きなものを詰め込んだ場所」にしたいので、デザインや色使いなどは自分が好きな世界観にするようにしています。

──れんちさんはブログとInstagramを使い分けていらっしゃいますが、その使い分け方について教えていただけますか?

れんち ブログではイラストだけでは説明しづらいことを文章で補足しやすいので、ライブレポートなど何かについて詳しく書きたい時は、ブログに載せるようにしています。

Instagramは、バンドやライブレポートに限らず、好きなもののイラストを描いて載せたくなった時に使います。Instagramはここ1年半くらい使っているのですが、文字も書けるブログとは違い、ビジュアルの投稿がメインなので、自分のポートフォリオのような見せ方ができるようにしようと思っています。「この人、昭和な感じが好きなんだなあ」と伝わるようなアカウントに見えたらいいなと。

れんちさんのInstagramより

──ブログではイラストを交えたドラマの感想なども書かれていますが、「好きなもの」を取り上げるという点ではブログとInstagramで共通しているんですね。ブログに好きなものについて書くことと、Instagramで好きなものの絵を載せることは、これからも分けていくのでしょうか。

れんち はい、そこは意識的に分けようとしています。

ブログは「スクラップブック」を持っているようなイメージです。ブログという場を、自分で編集して、自分の文章を載せて、自分の好きなものをまとめるといったような……。ひたすら好きなものについてアウトプットし続ける場としては、ブログの方がいいなと思っています。

行ったライブは全部レポートに。イラスト+文章の組み合わせで1週間以内には描く

──2015年からはてなブログを使ってくださっていますが、そもそもブログを開設したきっかけは何だったのでしょう?

れんち はてなブログを始める前から、趣味でブログを書いていたんです。最初はmixiに日記や絵を載せていて、他にはヤプログ!やアメブロにも書いていました。

その後しばらく書かなくなったのですが、ライブレポートをどこかに載せたいなと思った時に、どんなサービスがいいかいろいろ調べました。はてなブログではキーワードに自動でリンクが貼られる機能*1があったので、他のブログとの移動ができていいなと思って、はてなブログで始めてみました。

──テキストとイラストを組み合わせるスタイルの記事を書かれていますが、前のブログでもそうだったのでしょうか?

れんち はい。以前のブログでは、周りにいる面白い友達との出来事などを日記+イラストのような形で載せていたので、今のようなスタイルに自然と慣れ親しんできました。

──1つの記事を書く時に、どれくらい時間を掛けていますか?

れんち 記事の構成を決めてから書き始めて、ライブレポートの場合は長ければ1週間くらいですね。ライブに行ったその次の日には記事を出したいという気持ちはありますが、なかなか時間が取れないこともあって。できれば1週間以内にはアップしたいと思っています。

──「ライブに行ったら必ず書く」「印象に残ったものを書く」では、どちらになるでしょう?

れんち 基本的にはライブに行く機会があれば全部書くようにしています。LUNA SEAはそんなに頻繁にライブがあるわけではなく、年に数回大きいものがあります。今ライブに行っているバンドも、足を運べるのは関東圏で行われるものだけですし、毎週開催されているわけでもないので、一応全部行ったライブは書ける範囲ですね。

──ライブレポートにあるようなイラストを完成させるのに掛かる時間はどれくらいですか?

れんち ぶっ続けで描いていれば、2~3時間くらいだと思います。色を塗り始めれば早いのですが、その前にライブでどんな衣装を着ていたか、どのポイントについて描こうか、などについて整理するのに結構時間が掛かります。

「自分の好きなもの」を描いて知らない人から反応があるとうれしい

──ブログを継続している一番のモチベーションは何でしょうか? 先ほどはアーカイブというお話もありましたが、自分のための記録として蓄積される喜び、ファンを増やしたいという情熱など、具体的に教えていただけるとうれしいです。

れんち 2つあります。1つは好きなものについて「ここが楽しかった」「ここが可愛かった」と描き残したいという思いです。もう1つは、「自分の好きなものを共有したい」ということですね。自分の好きなものを描いて、それを誰かに喜んでもらえるのがうれしいです。更新したことをTwitterに載せると「レポート楽しみにしてました」などと言っていただけるので。

──自分の好きなものについて、同じように好きな人がたどり着いてくれているという実感はありますか?

れんち 特にコメントが書かれることはないですが、Twitterのフォロワーさんだけではなく、はてなスターを付けてくれる方がいるので、はてなブログ経由で見に来てくださる方もいるというのは感じました。

れんちさんのブログ「おきにいり奇譚」より、トレンディドラマ『世界で一番君が好き!』(1990年)の紹介イラスト

──ブログを始めた時点からそのモチベーションでしたか?それとも、続けてくる間に変化が生まれましたか?

れんち 続ける間に変化がありました。最初はただ、好きなものや「こんな面白いことがあった」ということをただ載せたいという感じでした。

それが変わったのは「サイン会に行った」というレポートを描いた時でしたね。Twitterのフォロワーにリアルの友達も結構いるので、更新したことをいつものようにtweetしたら、同じサイン会に行ったファンの方が見てくれて、フォロワーが結構増えた時がありました。

その辺りからですね。全然知らない方が楽しみにしてくれたり、リプライやいいねをしてくれたりする機会が増えて、モチベーションが変化していきましたね。

Twitterもブログも、共感してもらえる内容になっているかどうかが大事

──イラストを描く環境について教えていただけますか?

れんち 最近はイラストを描くためにiPadを買ったので、iPadを使うことが多いです。その前は、最初にアナログで下書きして、それをペン入れしてパソコンで色を塗っていましたが、どうしてもいちいちスキャンしてパソコンで塗る工程がちょっと面倒で。iPadであれば出先でもぱーっと描けるので、ライブレポートを書くんだったらスピーディーでいいかなと思って買いました。

──ちなみにソフトウェアは何を使っているのでしょう?

れんち iPadではProcreateですね。パソコンだとCLIP STUDIO PAINTです。

──イラストを描く際にはスピード感を大事にしていらっしゃるんでしょうか。

れんち ネットでイラストをアップして有名になっていく人は、ほぼ毎日のようにアップする人が多いということをよく聞くので、「そのぐらい頑張らないとダメだな」と思いつつも、そこまでやるのは大変なので……。なかなか「やらなきゃ」という思いとモチベーションがうまく合致しないことがあります。

今も悩むことはあるのですが、Twitterに落書きしたものをアップした時に思ったのは、どちらかというと見ている人にとっては、時間をかけてクオリティを上げていくよりも、描く中身の方が大事なのかなと感じました。もちろんTwitterだけではなくてブログでも、共感してもらえる内容になっているかどうかを重視する方がいいのかなと。

──今後ブログやInstagramでやっていきたいことや、これからやってみたいことなど、もしありましたら教えてください。

れんち 本を作りたいと思っています。ライブに限らず、例えばドラマなどについて思ったことや考えたことを絵と文章で表現することが楽しいと感じているので、テーマを絞って何かについて書いていって、ある程度溜まったらそれを1冊の本にしてイベントに出て販売するようなことをやりたいと考えています。最初にお話しした通り趣味で本を作ったことはあるのですが、最近そういう取り組みはできていないので、活動を続けていきたいなと思っています。

お話を伺った人:れんち(id:pvcovs)

papix

実年齢とはちょっとズレた年代の音楽やカルチャーが大好物な都内在住OL。80-90年代の音楽と古き良きヴィジュアル系が好きです。

ブログ:おきにいり奇譚
Twitter:@mokomokohimeko
Instagram:@renchikun


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*1:2019年11月より「はてなブログ タグ」機能として提供。