政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

消費税のアリ地獄にはまった菅内閣

2010-07-02 07:22:15 | æ°‘主党
財務官僚の口車に乗って打ち出した消費税10%が、菅を出口の見えない迷路に追い込んでいる。
足掻けば足掻くほど深みにはまる泥沼状態と言うべきか。
あるいはアリ地獄と言ったらいいか。

「税制についてだが、まずは先ほど申し上げた207兆円の国の総予算を徹底的に見直すという作業が始まったばかり。その中からさらに無駄なもの、必要のない制度、あるいは間違った制度などを変えていく。そのうえである時期に消費税といった議論も必要になるかと思うが、少なくとも増税から入っていくのではなく、まずは今までの財政のあり方そのものを徹底的に洗い出すというというところに、やっと1歩目から2歩目に踏み出したところだ」
(【菅・財務相就任会見】(2)「増税から入らず、ムダを洗い出す」 2010.1.7 )


この時点ではまだ正気を保っていたようだ。
しかし、その正気もわずか1ヶ月余りで怪しくなってきた。
財務官僚恐るべし。

消費税増税、選挙で信を問う 菅財務相が予算委で強調 (産経ニュース 2010.2.15 )
菅直人副総理・財務相は15日の衆院予算委員会で消費税を含む税制改正論議について、「議論そのものをしないと決めた覚えはない。平成22年度予算案の衆院通過後にいろいろな課題を次の段階に進めなければならない」と述べ、3月にも議論を始める考えを改めて表明した。

 同時に「上げる、下げるという方向性をもって議論するということはない」と強調。その上で消費税率を引き上げるなど抜本的な税制改正を行う場合は、「国民に信を問う必要がある」と述べた。


「少なくとも増税から入っていくのではなく」と言ったのはわずか1ヶ月前である。
本人はすでに舌の根は乾いたと思ったか。

菅が総理に就任したのが6月8日。

菅首相、所信表明で「消費税視野」 (産経ニュース 2010.6.11 )
菅直人首相は11日、衆院本会議で就任後初の所信表明演説を行い、財政再建のため「税制の抜本改革に着手することが不可避」として、消費税率引き上げを視野に、超党派の「財政健全化検討会議」を設置するよう野党側に提案した。年金制度に関しても、党派を超えた国民的議論を始めるための基本原則を示した。


ここでも、「少なくとも増税から入っていくのではなく」なんて言ったことなどすっかり忘れ去っている。
まず国民に”ガツンと一発”
とりあえず”増税から入っていく”菅内閣の姿勢を高らかに宣言した。

そしてついに運命の10%。

「自民党提案の消費税10%は1つの参考」菅首相 (産経ニュース 2010.6.17 )
菅直人首相は17日夕の記者会見で、消費税について「年度内にあるべき税率、逆進性対策を含む改革案を取りまとめる。(税率は)自民党が提案する10%を一つの参考とする」と述べた。


──賢明な財務官僚の言うことに間違いのあろうはずがない。
なんと言っても、「乗数効果」とか「消費性向」なんて難しい言葉を知っているのだから。
彼らの助けがなければ、オレは国会を乗り切れない。──

税率の引き上げの時期については「大きな税制改革を行う場合、実施する前に国民の信を問うことは本来あるべき道だと思っている」と述べ、基本的に次期総選挙後とする考えを示した。

──内閣支持率も鳩山のときとは、様変わりである。
この調子なら、衆参同時選挙やっても大勝利出来るかも知れない。
消費税増税を前面に出して戦えば、選挙後すぐにでも増税できる。
官僚たちはきっと褒めてくれるだろう。──

と、ここまでは調子に乗っていた菅だったが……。


(菅内閣の支持率50%に続落…読売継続調査 (YOMIURI ONLINE 2010年6月28日)

右肩上がりのはずの支持率が下がっているではないか。
ビックリ仰天、慌てて修正作業に取りかかった。

菅首相 消費増税 低所得者、全額還付も 年収水準に言及 (yahoo japan ニュース・毎日 6/30)

首相は山形市での演説で、消費税増税に伴う低所得者対策について、一定の年収以下の人に増税分を還付する方式や、「複数税率」の導入で食料品などの税率を引き下げる方法があると説明した。ただ、還付対象となる年収水準は「200万~300万円以下」(青森市内の街頭演説)、「300万~350万円以下」(秋田市内の講演)と定まらなかった。


所得基準額も、200万円、300万円、400万円と、一声で100万円ずつ増やしていく太っ腹である。

低所得者に全額還付するのなら、消費税を負担するのは、一定水準以上の所得のある人だけということになる。
それならばなにもわざわざ取ったり返したりと面倒なことをする必要はあるまい。
一定水準以上の所得税の税率を上げれば済むことである。
年収400万円以上の層の所得税率を5%上げればいいことではないか。
ついでだから1000万円以上は10%、2000万円以上は20%上乗せしておくこと。

支持率下落に驚いて、「消費税増税は公約ではなく提案」、「今すぐ上げるという話ではない」、「増税は超党派で」、「みんなの党と連携も」などと迷走気味だったが、ついに「全額還付」とは!

いじればいじるほどおかしくなる。

菅は若いとき”麻雀得点計算機”なるものを考案し特許を取っているという。
実用にはほど遠いもので製品化はできなかったらしい。
こういう無駄なことは、個人レベルでは結構である。
こういう無駄でバカバカしいものを真剣に考えるというようなことは、わたしは嫌いではない。
しかし、政治には、税金がかかっており、国民の生活がかかっている。

”麻雀得点計算機”と同じ乗りで「消費税」を扱われては、迷惑するのは国民である。



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Unknown (らむちゃのパパ)
2010-07-02 12:57:59
菅氏の発言の推移をみていると、財務官僚にどのように洗脳されていったかが、おおよそ見えてきますね。単純に考えても、国債をかっている金融機関や生保に天下ってる元官僚たちに国債購入サボタージュを暗に指令するだけで、政治が立ち行かなくなりますからね。政権かわれどこうした実務を遂行する官僚組織はそのままですから、これでは選挙でいくら国民が違う人を選んでも、らちがあきませんな。根本から違うシステムを早急に作らないと、官僚というカズラに巻きつかれた日本という親木が朽ちて倒れてしまいます。
いまの日本は、およそ日常お金を使わない層が庶民が使いきれないほどの所得を得て、蓄財していることに問題があると思います。そういう意味で年収400万円以下の大多数に大幅増税をしたら、社民党がいうように自殺者が増え、社会崩壊するのは火を見るより明らかだと思います。そういう意味では、一億円以上の国債をのぞく金融資産に課税するとか、年収2000万越えを50%課税するとかした方が単純で良いように思いますね。
それにしても、菅政権は、松下政経塾出身者が異様に多いですね。今度の選挙では、私は、私の選挙区に立候補しているその一人には投票せずに、小沢氏に師事して二人目の候補として名乗りをあげている女性候補に投票しようかと考えています。聞くと、相当地元民主党府連に陰湿なシカトと嫌がらせをされているそうなので。今の民主党、かつての自民党と同じくらい腐臭が漂ってますな。
返信する
菅官迎合... (SN)
2010-07-02 15:44:41
雨季の湿度がさめやらぬ初夏に気温は日ごと上がりますが、国の政治は冷えたままですね。

政権交代が起こり、腐敗著しい官権にチェックが入ろうとすれば、道理も何もあったものではなく、配下や仲間のゴキブリ検察庁やウジムシ国税庁を使い、官僚の利益を損なうとする勢力を潰そうと必死です。

各省庁は国民の利益ではなく省庁という会社に働く会社員と組織の利益を守るためだけに存在するということが、マスコミが言わずとも、この数十年の現実と実態が国民の身体にしっかり摩り込まれましたからね。
衣食住のあらゆるレベル全てに消費税をかけているだけではなく、電波や道路など国民の財産と呼べるものを、官僚や省庁という会社の利益を確保するようなおかしな形で事実上の官僚組織と呼べる民営化で尽く国民に不利益をもたらし、世界一高い携帯電話料金や、電気料金、ガス料金、そしてどこの国でも原則無料の高速道路に世界一高い料金を徴収したり、彼らの安っぽいインチキには全く愛想が尽きる。

それをきちんと質そうとする勢力には検察や国税を使って、因習やルールを無視しし解釈を捩曲げて圧殺しようとするなど、ほんとうに性根が腐りきってますね。

今度はソフトバンクが、国税から言い掛かりと等しい脅迫を受けましたね。

原口議員が官僚組織と何もかわらないNTTの独占搾取体質を改善させ、なお国民に活力をもたらすネットワーク改革のための法案化を進めてきましたが、それを陰から支持を公言していたのがソフトバンクでした。
官権と同じNTTの弊害のために普通はどこの国でも2000円から3000円で話し放題パケ放題を、そのような国民の利益と会社の利益を共生させるようなシステムは絶対に導入させず、他のKDDIやソフトバンクモバイルにもNTTの公社時インフラ独占をベースにより、競争がフェアに存在しません。
そのために日本人は年金も厚生省に泥棒され破壊されたあげく、世界一高い携帯料金を払わされ続けています。
電気もガスも同じです。

不要に巨大な組織にされ、しかも事実上の公社であり、維持費に国民の絶対的に必要な生活維持費を毟り取られます。

民主党はそのような不合理に鉄槌を下すことを国民と約束をして政権交代を実現しました。

そしたら、検察と国税のお出ましです。

そこにメスを入れることを社会が実現するためには、国民が立ち上がるしかありません。

ほとんどのマスコミは国民の側にいないことが、よくわかりました。

それを言わない自民党は論外です。
みんなの党は隠れ自民党の詐欺っぽさに塗れてます。
共産党は治らない狂犬病に芯から感染している検察を批判すらしませんでした。
共産党は実は官僚組織や権力と近いことがはっきりしました。

私は小沢さん勢力を支持します。

仙石がまとめる枝野、前原、入れ歯渡部取り巻きを民主党から追い出せば、検察、マスコミ、官僚改革が一番近道で出来そうですね。
民意の血肉を啜り騙し愚弄した組織や国はやがて亡くなるのは歴史が証明しています。

国民の怒りをマスコミを使って矛先を変えられると思いながら、馬鹿な抵抗が過ぎて、ついに御法度までやった時点で、この流れはやがて大きな雪崩となり、必ず爆発しますね。

ちなみにMITの歴史学教授の書いた「昭和」に、日本の戦前の官僚組織が、戦後にそのまま受け継がれ、いかに腐っていったが、純アカデミズムの側から米国資料を元に実に詳細に書かれてますね。

外国は情報公開の原則が徹底して日本の実態まで、良く解りますね。

日本?
「息の腐さは主しらず」と昔の人はよく言ったものです。
各省庁組織に染み付いた死ぬまで治らない馬鹿者どものことですね。
返信する
国民を恫喝する宰相って一体。。。 (cm)
2010-07-04 11:29:35
最近、菅直人の顔をみると石破幹事長の抱きつけおばけという言葉がよく思い浮かぶ。

民主党は候補者に想定問答集を配布し、そこにはマニフェストと違うことに関する返答に
「マニフェストは生き物」とあるそうだ。これをテレビで見たとき、脱力した。自民党でも
公約違反の時はそれなりに説明を尽くしたのではないか。

文書に記録したものが生き物とは。開いた口がふさがらない。これでは1年前にいっていた
4年後の検証も意味がない。生き物なら日々変化するわけだから、何でも承認になる。菅は
英国でマニフェストにかぶれたのではなかったか。それにもかかわらずこの扱いとは。

本家の英国のマニフェストは日本のように詳細な部分まで決めた物でもないし、現実に
政権をとれば想定外のこともあるだろう。だから、変更には説明を尽くすべきだ。しかし、
菅はほとんど説明無くマニフェストをどんどん変え説明もしていない。

一番の路線変更はいきなりの消費税10%だが、超党派で増税と言い出した。これも驚いた。
鼻血がでるまで無駄削減といった副総理が数ヶ月後にいきなり増税というのも驚きだが、
与党が野党と協力して増税というのはおかしくないか。

与党は理論的に増税は自由にできるわけで、増税をする以上、国民の納得が得られるように
それなりの手続きを踏まなければならないし、増税の責は与党が負うべきだ。野党は与党の
暴走を防ぐのも仕事の一つなのに、超党派で増税では国民は反対の意志を付託できない。

増税はしたいが、必要な仕事はしたくない。だから増税の責任を野党と共有して参院選、
次の衆院選から増税を実質的に争点から外すことで長期政権を狙っているのではないか。
本当に抱きつきお化けという気がする。

この政権は面倒なことから逃げる傾向があるが、その面倒なことに対峙することを期待
して民主党にまかせたのではなかったか。何のために政権にいたいのかわからないが、
ただの権力亡者としか思えない。

以前、ぶら下がりを止めるように書いたが、まさかそれを参考にしたわけではないだろうが、
最近はW杯などを除いて記者に対応していないようだ。それはそれでいいのだが、選挙では
避けられない演説をすると消費税還付をいいだし、その額も100万単位で変化するなど
やはりぼろがでるのは避けられないようだ。

それにしてもこの100万単位は気になる。民主党は貧困率を初めて公開したり、最近、
年収200万以下のワーキングプアが1000万を超えたり、世代によっては平均年収の急速な
落ち込みがあるなど素人でも消費税還付、特に年収による額の違いは非常にセンシティブな
問題だとわかる。

にもかかわらず、これほどいいかげんな対応というのはおよそ生活感覚が感じられない。
税収にも還付では意味がないのではないか。そうかと思ったら消費税増税に対して反対の
先頭に立ちたいと言い出した。もうわけがわからない。

消費増税1兆円、介護分野に…菅首相TVで
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100701-567-OYT1T01066.html

自分で増税を言い出したのに、今日の討論でも野党や前執行部のせいにしている。
自分は野党と勘違いしているのか。野党は相手を責めるだけでいいが与党はそうはいかない。
理念もなく、結局責めることしかできないのだろう。

前にも触れたが、私が消費税問題で許せないのはギリシャの経済破綻で国民を脅している
ことだ。

ギリシャは国債の7割が外国人が所有し、外国人所有が5%の日本と全く異なる。例えれば
グループ企業に大金を借りている大会社とノンバンクに金を借りている中小企業を同じと
考えるようなもので全く異なる。

政府の重要な仕事は無用な不安を国民に与えないことだ。株価や為替に大変動があれば
対策や国民への説明し、事件があれば説明やパフォーマンスをしてでも平静化をはかる。
にもかかわらず菅のやっていることは過剰に問題を大きくして国民を不安に陥れている。

嘘を見抜ける国民ばかりでないし、総理の発言の影響は大きい。それに首相が自国を
破綻国歌になぞらえている国にどこの国から投資しようと思うのか。与党の責任が
全くわかっていない。

本当にギリシャと同様に考え、嘘をいっていると思ってないなら、それはそれで問題だ。
増税が過去に深刻な景気の低迷を招いたことも学習しておらず、その程度の知性もない。
国民の信を得ていないのに、長期政権を望んでいるようだが、どちらにしても早く辞め
させなければならないと心底思う。
返信する
消費税のウソ (Unknown)
2010-07-05 18:58:13
福祉目的なんてウソっぱち!財政再建目的なんてウソっぱち!
消費税は、昔も今もこれからも「法人税減税目的税」!
返信する
Unknown (ふいんき)
2010-07-08 17:22:59
自民党 参院選CMに進次郎起用が問題化/“21光”“四世世襲貴族”小泉進次郎が「今の若者は、努力不足!」と若者批判
http://www.asyura2.com/10/senkyo90/msg/189.html
返信する