代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

日本がアメリカ化したら最も困るのは竹中平蔵?

2005å¹´11月16æ—¥ | æ”¿æ²»çµŒæ¸ˆï¼ˆæ—¥æœ¬ï¼‰
 月刊『現代』の今月号(12月号)に、ジャーナリストの佐々木実氏が「竹中平蔵 仮面の野望(前編)」という渾身のルポルタージュを掲載しており、非常に興味深い内容でした。その中で、このブログの10月9日の記事でもちょっと触れた竹中平蔵氏による同僚の研究業績の盗用事件が詳しく紹介されております。興味のある方は是非『月刊現代』をご一読ください。竹中氏による盗用事件の概要は以下のとおりです。竹中氏は日本開発銀行(現・政策投資銀行)の設備投資研究所に勤務していた当時、同僚の鈴木和志氏(現・明治大学教授)と共同研究をしておりました。ところが竹中氏は、共同研究者の鈴木氏には無断で、その研究内容を単名の著作の中で発表してしまったのです。かくして、鈴木氏が行なった実証研究の成果は、パクられて竹中の業績になってしまったのでした。

 問題の本というのは、竹中平蔵著『研究開発と設備投資の経済学』(東洋経済新報社、1984年)です。竹中はその「業績」によりサントリー学芸賞を受賞し、学者への道を切り開いたわけです。その問題の本では、鈴木氏の他にも、同じく同僚の高橋伸彰氏も、自分の作成した図を竹中氏に盗用されるという被害を受けていたそうです
 
 『現代』のルポでは、竹中に自分の研究成果を盗用された事実を知った鈴木氏が、あまりの悔しさで、同僚たちの目の前で泣き崩れてしまった事実などが、生なましく描写されております。鈴木氏が泣き崩れた現場にいて、鈴木氏を励ましたのが、設備投資研究所の研究顧問をしていた宇沢弘文氏(当時は東大経済学部教授)でした。
 じつは私も宇沢先生から、直接に「竹中事件」のあらましについてお聞きしておりました。宇沢先生は、この事件について「汚い犯罪」と仰り、「あの時、竹中を処分していれば、こんなこと(今の絶望的政治状況)にはならなかったのかなあ」と語っておられました。

 竹中氏がやったことは、学問の世界ではもっとも恥ずべき犯罪行為です。竹中氏は、日本をアメリカ型社会に改造したいようですが、もしアメリカだったら、こんな盗用事件が発覚した時点で学者生命は終わりですね。決して大学教授なんか続けていられないでしょう。

 私は、産業政策や社会経済のシステム全般に関しては、かつての(日米構造協議や年次改革要望書で破壊される以前の)日本型システムの方が、米国よりもはるかに優れていると思っております。しかし残念ながら、学問研究に関する制度は米国の方がはるかに優れています。悔しいことですが、私も米国がうらやましいと思う次第です。スポーツや学問研究の世界なんて、厳然たる競争原理がはたらくべき分野だからです。そういう分野は米国型でよいのです。(しかし、社会経済のシステム全般に関しては決してそうではありませんが・・・)。

 米国型のアカデミズムの規律の中では、竹中氏のような窃盗行為は厳格に処分されます。教授職も解任されるでしょう。もっとも、そもそも竹中氏程度の研究業績だったら、米国では決して教授になんかなれないでしょうが・・・。何せ、竹中氏ときたら、唯一の学問的業績が、この盗用本なのです。竹中氏の他の著作なんて、まったく取るに足らない俗説受け売り、オリジナリティー・ゼロの解説本ばかりなのですから・・・・。

 残念ながら、日本の大学の多くでは、学問的業績よりも、教授にどれだけゴマすったかで登用が決まるといった、じつに情けない状態ですから、竹中氏なんかでも教授になれたわけです。
 日本の大学で独創性のある人間は、だいたい教授の言うことなど聞きませんので、教授から見ると使い勝手が悪くて嫌われ、教授に従順な茶坊主が研究室の「後継ぎ」になってしまうことが多いのです。かくして日本の大学はだんだん腐ってきております。
 アメリカ型アカデミズムでは、「茶坊主度」などは評価の対象にならず、研究の独創性が当然のことながらトップ・プライオリティーとして重視されますので、優れた研究が出るわけです。
 
 私の所属する某学会では数年前、某旧帝大の某教授が、同じ講座の女性助手の未発表の調査データを盗用して論文を書いていたという「アカデミック・ハラスメント」の事件が発覚しました。日本の従来通りの慣行でしたら、なあなあで「恩赦」が与えられてうやむやになっていたのでしょう。しかし、幸いなことに学会の若手には、日本におけるアカデミズムの規律も米国のように厳しくあるべきだと思う人が多かったようで、厳格な処分を求める署名運動が起こりました。その結果、その某教授は、学会から「退会勧告」という処分を受けました。
 しかし、肝心の某旧帝大の教授会は、その某教授に対して今に至るまで何の処分も下しておりません。何せ、他の教授たちも似たようなことをしているのでしょうから・・・・。

 竹中さん、日本がアメリカ型になったら、一番困るのはあなたじゃないですか??

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ある意味納得します (秀)
2005-11-16 23:22:57
神保哲生・宮台真司両氏の<マル激トーク・オン・デマンド>では、先の郵政民営化法案を批判して、その内部矛盾を指摘していました。ゲストで出ていた山崎養世さんも、この程度の論理なら、ちゃんと議論をすれば誰にでも分かると言っていました。



その時に、竹中さんにも触れて、学者としての竹中さんが、郵政民営化法案の欠陥が分からないはずがないのだが、どうしてこれを推進出来るのだろうというような疑問を言っていました。



しかし、竹中さんの本質が、学者であるよりも出世競争で勝ち抜く、ある意味では政治家的な人であるなら、今の姿というのもある意味納得出来る感じがします。



竹中さんについて何も知らなかったころは、学問をどう政治の中に生かしていくのだろうか、理論は実践に役に立つのだろうか、と言うことに関心を持ったものですが、それがさっぱり見えてこないので、学者としての竹中さんに疑問を感じていました。その疑問は、やはり根拠のあるものだったんだなと思います。
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秀さま (é–¢)
2005-11-17 00:26:16
 竹中氏はすごく頭の良い人だと思いますが、残念ながら脳細胞のほとんどの部分を、出世欲と権力欲を満たすために使っているのではないかと思われます。

 純粋に研究が好きで研究している人は、知識欲はあっても、権力欲などありませんので、気づいたときには、竹中氏のような出世欲のかたまりのような人物に出し抜かれ、業績を盗まれたりしてしまうのでしょう。

 

 出世欲だけで生きている人間というのは、他人を罠におとし入れるという目的を達するためには、驚くべき知恵を発揮しますね。

 そういう人間がいざ目的どおり権力を握っても、中味の政策はカラッポになるのだと思います。

 何せ、竹中氏は、米国が「積極財政」といえば積極財政を主張し(バブル時代)、米国が「緊縮財政」といえば緊縮財政を主張する(小泉時代)という人ですから・・・・。
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阿部謹也さんも言っていました (南)
2005-11-17 10:26:35
 以前、講演会で10年ほど前に国立大学協会の会長をしていた、阿部謹也さんを呼んだことがあります。そのときに、「大学教授ってのは、『先生の言うことを素直に聞く』という一番だめな学生がなるものだ」とおっしゃっておりました。私自身、学生自治会なるものをやっていたので、上に行くほどたちの悪い教員の人格をいやというほど見てきました。業績についてはあんまり勉強していなかったのではっきりしたことはいえませんが、不思議と研究で評判がいい人は話しやすい人が多かったように思います(もちろん例外もありましたが)。関さんはその魑魅魍魎の世界で生きていかれるのですね。心から同情します。

 別エントリーで出ていた本、見つけたら私も購入させていただきます。
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南さま (é–¢)
2005-11-17 12:15:17
 阿部謹也さんみたいな優れた学者が日本の国立大学に存在し得たことは、日本のアカデミズムの救いでした。しかし、今後は、「独立行政法人化」というウソの衣で隠された、文科省官僚による大学支配が強化され、ああいう優れた学者はますます少なくなるでしょうね。絶滅してしまうかも。

  

>関さんはその魑魅魍魎の世界で生きていかれるのですね。



 ぼくの場合は、定職がなく、非常勤と客員しかやっていない「フリーター研究者」ですので、「鉄鎖以外は失うべきものを何も持たないナントカ」ってやつです。



 おバカな世界にまみれると、自分もおバカになってしまいそうなので、今のままの方がよいのかも。食っていけないのがつらいところですが・・・。

 それにしても、かわいそうなのは学生さんたちですよ。

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政治は本当に悪いの? (hironagano)
2005-11-18 10:57:55
研究成果の横取りが悪いというのは事実だし、竹中さんにコメントを求めたいくらいのことですが、ついでに、現在の政治がひどいというのは一方的で公正を欠く言い方ですね。

郵政民営化の欠陥があろうとまずやることを優先してやろうという選挙結果が、現在マスコミの報道の方向も変えて、官僚や周りに沢山できてきた関連団体などの税金の無駄使いを世に晒し、変えていくエネルギーになっていると信じていますが、いかが?

よほど、今壊されかけている談合などの古いシステムでいいことの中にいらしたのですかと聞きたくなります。
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hironagano様 (é–¢)
2005-11-18 23:01:47
 コメントありがとうございました。



>官僚や周りに沢山できてきた関連団体などの税金の

>無駄使いを世に晒し、変えていくエネルギーになっ

>ていると信じていますが、いかが?



 私は全くそうは思いません。官僚の権限はかえって強化され異常な状態になっています。それは、堺屋太一氏(元通産官僚)や野口悠紀雄氏(元大蔵官僚)などは、「こんなに官僚の権限が強大化した時代を、私たちは知らない」と口をそろえて警鐘を鳴らしています。



 例えば、上でも書いた「国立大学の独立行政法人化」ですが、その「改革」の実態は、大学に副学長というポストを設置し、その副学長のポストは、学者ではなく、すべて天下り文部官僚を送り込んで、大学を支配しようというものなのです。

 改革は全て、根本的にインチキです。

 ちょっと前のエントリーの「亀井静香とチェ・ゲバラ」でも書きましたが、亀井さんの方がよっぽど無駄な公共事業を削って、官僚の横暴を抑えようとしていました。

 小泉政治をコントロールしているのは米国のウォール街と日本の財務省です。
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官僚の権限との戦い (hironagano)
2005-11-19 08:04:12
そうですかねぇ。亀井さん、亀井御殿などでお見受けしましたが、古いタイプの方だとお見受けしました。国の金融機関の統合問題とこれにまつわる隠れ財政が表に見えてきていることは評価できないのですか?まさに官僚と政治との真っ向からの対立に見えますが、これにも裏があってあの人たちは、権限を保持するという見方でしょうか?日本株式会社の名残の宿便を掃除しないとどうにもならないと見ていますが。

堺屋さん達のコメントは、郵政民営化選挙以前のことで、それから大きく変わってるような気がします。

いずれにしろ、竹中大臣としての悪さがなんなのかは昔の横取り説を認めても、理解できません。もう少し結果が見えてからだと思います。そのときは日本は全て収奪されているということを、おっしゃりたいようですが。ちょっと余りにも例のフリーメーソンの陰謀みたいで信じがたいです。
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hironaganoさま (é–¢)
2005-11-20 01:15:08
 「官僚の既得権益構造を改革せねばならない」という点では、意見が完全に一致しても、小泉「改革」の評価となると180度意見が異なってしまいます。

 まあ、いずれ結果が出たときに、どちらが正しかったのか全てがハッキリするわけですが・・・。

 一ついえるのは、国交省や旧郵政省など一部の省庁の権益が損なわれていても、それは財務省にとって都合のよいものであるという点です。小泉首相が大蔵閥であることに留意せねばなりません。



 また、小泉「改革」の背後にある米国の動きに関しては、私の過去記事ですと下記を参照してくださりたく存じます。陰謀論ではなく、事実として米国は自国にとって都合の良いように日本を改造しようとしています。 http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/b01118185ae2bc0c0e3f61b90f4f387a

http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/e6575fabc828d0e71757aa3b9086983c



 また、月刊『文芸春秋』の今月号の関岡英之氏の論文「奪われる日本 -「年次改革要望書」米国の日本改造計画」を是非読んでいただきたく存じます。

 関岡氏によれば、この次の米国からの「改革要望」は、米国の都合にあわせた日本の医療制度改革であるとのことです。



 そのための下準備として、既に日本医師会に対して、「抵抗勢力」とのレッテルが貼られつつあります。



 日本の医療水準は安さ、アクセス、質のいずれの点でも評価が高く、WHOは日本の医療を世界第1位と評価してくれているそうです。米国の医療は世界37位とのことです。何故、世界第1位の国が、世界第37位の国の制度を真似なければならないのでしょうか?

 それのどこが「改革」なのでしょうか?
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増税反対代替案 (山下由佳)
2009-12-12 17:41:50
ゴミ袋有料化に反対する「高知市財政再建」代替案(埋蔵金の発掘)

 市政の失敗のしわ寄せの負担を強制する「ゴミ袋の有料化」。これほど愚かな財政再建の道はない。これは、住民税との税の二重取りであり、正義に反する。そこで、生活者の負担を軽くする賢い財政再建計画を市民と一緒に提案するための賛同署名をお願いします。
 一点目、この赤字財政は、市議会と市職員の政策決定の失敗の累積であるから、彼らがその責任を取り、自ら修復的正義を実現する必要がある。具体的には、市の財政が再建するまで、十年間無利子の「市債」をその責任者たちに引き受けてもらってはどうだろう。
二点目、抜本的な選挙制度改革。選挙管理委員会によると、市長選の選挙費用に3千百万円、市議選に9千3百万円の公費がかかっている。これは、全て市民の血税である。市長選と、市議会選挙と選挙管理委員を同日選挙に変革するだけで、4千万円程の埋蔵金が掘り起こせる。一回だけ任期の調整が必要だが実現不可能ではない。また、選挙要員1日2万円超、総額640万円以上の報奨経費も職員の振替え勤務で対応すべきだ。市長職は、議会制民主主義との相互補完機能に変革し、首長と議員のリコールは90%以上の議員賛成多数で行えて、その後は議員間の投票で「立候補者」の中からリーダーが選ばれる政権交代の仕組みがあれば、競争原理でより良い政策を選択されていく。市民の直接選挙と議員間投票の機動性で、選挙費用をかけないフレキシブルな政権交代が可能になれば、民主主義の停滞に風が吹く。さらに、有権者の選挙権を有効に機能させるためには、プラス投票とマイナス投票の2票を有権者の意思決定権とし、棄権者には、数時間の社会奉仕活動か、もしくは、投票に要したコスト分の課徴金を義務づける。 さらに、「官僚・議会集権政治」から「生活者・納税者の主権」発揮へ。監査委員会を変革し、行政監視委員(憲法オンブズマン)への調査・審判権限の付与により、市民と行政の市長や議会との連携を強化する。汚職の撤廃には、市民のチェック機能による「直接懲戒請求制度」の併設も提案したい。
三点目、抜本的な税制改革。市民税の均等割りをタダにして、所得割りの年収350万円以上の人の税率を1%上げる累進税率の導入。市職員の退職金削減と議員数削減、市職員と議員は必ず高知市内に住所地を置き住民税の納税者となる。あくまで形式的住所でよい。
来年3月議会が、ゴミ袋有料化のタイムリミットである。「高知方式」という良心的市民の分別活動の評価化に向けて、市職員と市民の賢い主体的アクションを心より待ち望む。

※ 高知・コスタリカ友好交流を創って行く会
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山下さま (é–¢)
2009-12-18 00:14:14
 私の住んでいる市も数年前にゴミ袋を有料化しましたが、その結果、各家庭から出るゴミの量は半減し、焼却炉にも余裕が出て大変に良い結果になっています。お金を払いたくなければ、一生懸命ゴミの量を減らせばよいです。
 私はゴミ袋の有料化に大賛成なので協力できません。申し訳ございません。 
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