Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

次世代のことなんて何も考えちゃいないモリタク

2009-05-19 12:14:55 | ä¸–代間問題
先日もちょっと書いたが、今月号の『The21』で、またまたモリタクが暗躍している。
リアルタイムで森永卓郎の二枚舌ぶりが見られるのは良い機会なので紹介。

まず、つい先月末、森永は日経BPの連載で、与野党の景気対策についてこんな風に
総括している。要約すると、

自民党は15兆円に抑え、一回こっきりの緊急対策だが、民主党は恒久的な対策である。
自民案には多くは望めそうに無いが、民主案は財政負担が大きすぎるからリスクも大きい。
よく考えて投票しましょうね。

という、当たり前だがなんとも締まりの無い駄文である。
この中では以下の部分が、本人の正直な感想だろう。

はたして、リスクを避けてまずは日本経済の止血をするのがよいのか、
それともいっそのこと大手術をしたほうがよいのか。
正直言って、わたしには判断がつきかねる。


ところが、ほぼ同じ時期に書いたと思われる『THE21 六月号』の連載コラムでは、
同じテーマで全然違うことを言ってのける。
(以下要約)
日本経済全体のGDPギャップを考えて、最低40兆円はばらまくべきなのに
麻生政権は実行力に欠けるからできない。
しかも選挙後は税制の抜本改革をやるといっているから、きっと増税するだろう。
自民政権だといづれツケが回ってきますよ。

正直、同じ人物が同時期に述べた言説とは思えない。
最大の違いは“バラマキ”に対する全面的な肯定だろう。
民主代表選で両候補が国債依存を強く戒めていたこととは、正反対だ。

さらに凄いのはここからだ。
森永はそのバラマキ財源として、埋蔵金や政府紙幣など、国債同様にツケが先延ばし
できるものばかり提示してみせる。その一方で、
「自民党はすぐに増税しますよ、だから皆さん自民に入れると損ですよ」と総括してみせる。

要するに、森永卓郎が主張しているのは、
「民主党のほうがいっぱいバラマいてくれますよ、痛みを伴う増税や
構造改革なんてもってのほか、ツケはすべて若年層に払わせましょうね」

ということだ(民主は別にバラマキを良しとしているわけではないのだが)。

これらの発言のブレから見えてくるのは2点。
やはりこの人にはなんの理念も理想もなくて、その場その場で空気を読み、受けそうな風呂敷を
広げているだけなのだろう。民主が好きだから応援しているというわけでもない。

「後先考えるな、50兆くらいばらまけ!」なんて日経で書くとさすがに仕事干されるので
曖昧な状況分析で誤魔化しつつ、若手読者の多そうな『THE 21』では勢い良く
塩をまいてみせる。バカにされているわけだから、編集者も読者も怒ったほうがいい。

そしてもう一点は、中でも若者視点というものはカケラも持ち合わせていないということ。
以下のセリフには、彼の醜い本性がにじみ出ている。

では、なぜ日本はそういう思い切った経済対策をやらないのか。それは、
今の麻生内閣には、財務省の意向が強く働いているからである。(中略)
不況で苦しむ国民を救うよりも、財政を健全に保つことのほうが、
財務官僚にとっては重要だというのだから、呆れてものが言えない。


この経済学者いわく、既得権者に報いるためなら、財政規律は放棄すべきらしい。
彼の頭の中では、とりあえず2、30代は国民ではないようだ。
森永はよく「派遣さんやフリーターは可哀そう」と同情して見せるが、そのくせ流動化は
もちろんのこと、いかなる改革にも反対で、ツケはその若者に払わせろ
と説くのだから、もうこのおっさんには呆れてものが言えない。

彼が興味があるのは自分の商売、お金儲けのことだけなのだ。
格差問題も、美味しいネタくらいに考えているのだろう。

一ついえるのは、少なくとも“20年先”を考えている人間にとって、
森永卓郎は明白な敵であるということ。
テレビも本気で若い視聴者に戻ってきて欲しいなら、いつまでもこんな人間を
ありがたがって使うのは止めるべきだ。



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実は賢者だったりする (Unknown)
2009-05-19 13:55:06
風見鶏のようにその場その場でウケを狙って発言できる器用さは彼の「世渡り上手」を意味している。
彼は一般国民の知的レベルを熟知していて、マスメディアがしょせんは「エロ本並」であることも承知している。
雑誌もテレビもその瞬間瞬間「どれだけウケたか?」だけを問題にし、国民もその時々で自分がわかりやすく受け入れやすい合いの手をいれてくれる「評論家」を「スゴイ」「エライ」と思いたいだけだ。要はどちらも「ヌケたらそれで満足」なわけだ。クオリティなど問題外。
こうした日本愚民の痴的レベルを的確に見抜き、ヌケる素材を提供しつづけ資財を蓄え続ける森永さんはどうみても
「勝ち組」でしょう。うらやましい(笑)
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ウケ (なおと)
2009-05-19 14:07:21
森永さんはウケを狙っているだけですね
テレビの報道番組で一番ウケるのが共感することみたいなのでそれを使っているだけでしょう

安心してください若者は全くテレビに関心がありません

今日もこうしてブログを見ています!
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Unknown (kenji)
2009-05-19 14:16:45
モリタクだけではない、次世代のことを考えていないのは
考えているのは親がその子供についてだけだろう。其れも就職までに過ぎない。
もともと、家という感覚がなくなった時点で、わが国は将来と言う視点を失い、そのために自制をすると言うことは無くなった。
 家と国家が密接に結びついていたが、国家が消滅(?)し、家が社会的にも崩壊して、個人と言うより、訳の分からない、言葉を解する動物になったにすぎない。私のように大都市近郊の通勤一時間半くらいの市においてすら、町内の話をすると、馬鹿を言う奴がいる。其れは金を誰が出すかで、其れを考察しないで、いう奴がいる。
 モリタクは其れと同じだろう。
 大体政府や中央銀行が経済をコントロールすることはできるか?
その昔。日銀の公定歩合が魔法のように利いたが、後で見るとなあーんだである。
1990年代以降の日銀の無能を身よ。決断力の無さを。そしてその無茶を。
 間違えたことはいいが、何処を間違えたかを調べようとせず、実質何も知らなかった。多分其れが本当だろう。
 一つのターニングポイントは公定歩合を2パーセント以下に下げるか下げないかであったと私は思っている。
 アレを下げた時点で、多分其れまでの経済学は力を失って、新しい世界へ突入した。したがってなにがなんだか分からないが現状だろう。
 公定歩合は景気を落とすことはできるが、景気を回復する事はできないが、私の結論である。

景気は伏見稲荷がきめる。もしくは地震はなまずが起こすで、説明は必要かつ十分だと私は思っている。
 今の小学生は笑うが、江戸時代の子供はそれで納得した。モリタクの話すことは其れと同じである。

どうも伏見稲荷は <なにをしても無駄だ。じっとおとなしくしていることができる人はしていなさい。できない人は働きなさい。そのうち俺がコンコンと鳴いて手招きをするから、其れまで待ちなさい> と御託宣しているようだなが私の判断だが、私もいつまでじっとしている事ができるか心もとない。
 戦争がその契機になるが、其れとても昔のように特効薬ではない。
それとも江戸時代なら大地震と大火事であったが、大地震は阪神大震災で結果は出ている。

 やはり大きな何かが変わったと見るべきだろう。文明史的な何かが。具体的には自動車文明の終了だが。
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Unknown (たかぽん)
2009-05-19 17:10:22
今日(5月19日)の朝日朝刊の18面、小島寛之の数学カフェは面白い年金問題取り上げ方じゃないですかね
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はじめまして (きはむ)
2009-05-19 23:22:32
いつもブログ・雑誌・ご著書などでご意見を拝読しておる者です。
最近の幾つかの記事で城さんが森永卓郎を激しく批判なされている内容に、若干の違和を覚えますのでコメントさせて頂きます。

まず森永が機会主義者の風見鶏という批判は不当であるか、少なくとも根拠が薄弱ではないでしょうか。ご指摘の日経BPの連載ですが、バックナンバーを幾つか漁ってみると、GDPギャップが40兆円であるとか、政府紙幣を発行するなら50兆円ぐらいにすべきだなどの主張が明確になされている記事を見つけられます。定額給付金も本来は1人10万円にすべきだと訴えています。

城さんがリンクされている記事で言っているのは、本来なすべき大規模な景気対策が政治的に不可能であるとの前提の下に、現実的な選択肢として政治過程に挙がっている自民案・民主案を比較しているので、可能なら大規模な「バラマキ」をまずやるべきだとの主張では一貫しているのだと思います。

もちろん、それは民主党の主張とは違います。森永は安全保障観では社民党的絶対平和主義者で、イデオロギー的にもアンチ「ネオリベ」ですが、こと経済政策に関してはシビアであると(素人目ながら)見えます。民主党の政策への批判も多いですし。

第二に「次世代」のことなのですが、城さんが森永から守ろうとしている「次世代」や「20年先」が何なのか、私にはうまく理解できませんでした。今の20~30代は(単なる)「次世代」ではないですよね。「20年先」もそうでしょうが、今だって成人しているわけですから。

森永が提示する経済政策の目的を好意的・肯定的に解釈すると、それは不景気の影響を大きく受ける(若年層を中心とする)非正規労働者の今現在の苦境を、緊急的な大規模の景気対策によって少しでも手当てしようとしている、ということになると思います(この点では先日取り上げられていた田中秀臣さんの立場も同様かと思います)。財政再建の議論は別にあるとしても、それは単に「若者にツケを回している」と切り捨ててよい立場であるのか、私には疑問です。

さらに申しますと、大規模な景気対策の敢行が今の若年労働者層の苦境を和らげることを実現できるのならば、それは彼らが養育している/し得るであろう明確な「次世代」、つまり今の子どもや未だ生まれていない人たちの人生を下支えすることにもなるはずです。

そのように解釈した場合には、森永は若者の「明白な敵」であると明確なラベル貼りをしてしまうことは、いささか過ぎた単純化ではないかと思われます。城さんご自身の政治的意図や言論的戦略もそれとしておありでしょうし(そのことを否定的に捉えているわけではありません)、私は過去の議論文脈について不案内なところがありますので的を外しているかもしれないのですが、ご両人の間では、より生産的な議論の地平を開くことは可能ではないかと愚考しております。何も森永を目の敵のように叩くことはないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

初投稿にしてひどい長文、大変失礼を致しました。
悪しからずご笑覧下さい。
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re:はじめまして (城)
2009-05-20 11:09:28
>バックナンバーを幾つか漁ってみると、GDPギャップが40兆円であるとか、政府紙幣を発行するなら50兆円ぐらいにすべきだなどの主張が

なら、同じ連載内ですら整合性が取れていないことになる。また、叩かれそうだからといって現実的な意見に変えることを風見鶏という。

>森永が提示する経済政策の目的を好意的・肯定的に解釈すると、それは不景気の影響を大きく受ける(若年層を中心とする)非正規労働者の今現在の苦境を、緊急的な大規模の景気対策によって少しでも手当てしようとしている、ということになると思います

その負担をすべて若年層自身にしろというのは手当てでもなんでもなく、ただのツケの先送りという。
僕は既得権を見直すことで手当てを捻出するか、パイを増やすような改革に使えと言っている。どちらも否定する森永のような人間と交わることは永遠にない。
返信する
Unknown (めるめる500☆)
2009-05-20 21:40:44
たしかにモリタク先生の言ってることからは世代間格差の是正への言及はあまり感じら
れませんね。せいぜいあるのは累進課税強化しろ、といったところですが、グローバル化
の進む中でそんなので格差是正できるんでしょうかねえ。

景気策としての財政投入に関しては、現状はそれ以外打開策がない以上当然だと思います。
(景気策と格差是正策は別物)。ただし、この景気策が後世代へツケを残すのも確かだと
思います。(恩恵は全世代なのに、ツケ・副作用は後世代だけが背負う)
返信する
さよならモリタク。 (野田一丁目。)
2009-05-20 22:24:41
モリタクだけは倒してもいいんじゃないかな?テレビ文化人の地位を追われても別に命まで獲られる訳じゃないし、ミニカーに囲まれて裕福な余生を送るぐらいの貯金は十分に貯めたでしょ。(笑)
それに、これ以上、善良なB層に間違った知識を吹き込まれると無用な混乱を招くし、既に始まっている改革(崩壊?)の邪魔なんで、この辺で御隠居して頂くとのがいいんじゃないすかね?
城さんは〝モリタクの天敵〟と言うフレーズでメディアに登場した方がB層の理解も早いでしょう。最初のウチは善良なモリタクを虐めるワルい若造として、田舎のおばちゃんにウケが悪いでしょうが、モリタク理論の自壊と共に味方も付いてくるでしょうから。
戦略的に正しいと思いますよ。
返信する
きはむさんへ (X)
2009-05-20 22:35:42
>こと経済政策に関してはシビアであると(素人目ながら)見えます。民主党の政策への批判も多いですし。

彼は2000年代初頭に、2006年ぐらいから地価が上がり始め、数年してまた下がる、と的確な見通しを示していましたね。経済についても政治についても、全部正解はわかっているんだと思いますよ。ただ問題なのは、正解を知っていながら、商売のためにそれを捻じ曲げて、間違っていると自分でもわかっていることをマスメディアで堂々と主張することでしょう。

>好意的・肯定的に解釈すると、それは不景気の影響を大きく受ける(若年層を中心とする)非正規労働者の今現在の苦境を、緊急的な大規模の景気対策によって少しでも手当てしようとしている、ということになると思います(この点では先日取り上げられていた田中秀臣さんの立場も同様かと思います)。

若年層を中心とする非正規労働者の苦境を救いたいなら、失業した若年層非正規労働者について、1,2年の期間限定で臨時の失業手当や生活保護を拡充すればよいだけのこと。それを公共事業やら補助金やらで、「二階から目薬を点す」がごとき真似をする必要は無いでしょう。
既得権層(老人や中高年正社員、地主や大企業経営者など)を潤した上で、残りカスが失業した若年層非正規労働者に少し垂れるかもね、というのは、どう考えても「少しでも手当てしようとしている」とは解釈できません。その解釈は、無理無理。

>大規模な景気対策の敢行が今の若年労働者層の苦境を和らげることを実現できるのならば、それは彼らが養育している/し得るであろう明確な「次世代」、つまり今の子どもや未だ生まれていない人たちの人生を下支えすることにもなるはずです。

まったく、下支えすることになりません。120%足を引っ張るだけの行為です。
このblogの「孫は祖父より1億円損をする 」というエントリにもありましたが、世代間会計で推計すると、今の老人世代は4000万円~8000万円の得、今の赤ん坊世代はマイナス8000万円以上で最初から借金を背負っている状態です。祖父母と孫の世代間の差は1億円以上で、これは孫の世代から祖父母の世代へ1億円以上の所得が移転していることを示しています。
日本は成功した社会主義、なんて言われていたこともありますが、それは大間違いで、弱者(赤ん坊)から強者(資産家の老人)へ分配されるという、究極の弱いものイジメ社会なんですよ。都市の低所得者から地方の地主農家へ(高額の農業補助金や輸入関税)、労働者から都市地主へ(世田谷あたりの豪邸は過半が地主ですね)、若者(非正規労働者)から大企業の中高年管理職へ、赤ん坊から老人へ、富が奪われる国、それが日本です。それをさらに促進することの恐ろしさを、少しは理解してください。
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あれ? (Unknown)
2009-05-21 02:01:45
森永さんの経済政策の根幹は共産党ですよ(笑)
「大企業からもっと税金取れ」ですから。それがマスコミ向けかどうかはわかりませんが、彼の発言は首尾一貫マルクスよろしく資本家と労働者の「階級闘争」ですよ(笑)
それが左寄りのマスコミに受けて仕事がたくさんきて、たくさんお金が懐にはいるわけですよ。
恐らく彼にとっては国家が破産するくらいのこと、一人の労働者が職を失うことに比べればとるに足らないことなんですよ。
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