Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

ハイブリッドワーカー

2009-10-31 14:31:44 | æ›¸è©•
女結婚詐欺師の容疑者と被害者の双方がブログを書いていたそうだ。
それぞれの事件前までの生活から価値観までが、一般に公開されているわけだ。
なんとも時代を感じさせるニュースである。
世界中のブログのうち、約4割は日本語で書かれているというデータもある。
つくづく日本人は情報発信の好きな民族らしい。

なぜ、日本人は世界一長い労働時間をぬってまで、自己のプライヴェートを書くのか。
以前から疑問に思っていたのだが、やはりここには日本型雇用というカルチャーが
関係しているような気がしてならない。

終身雇用といえば聞こえは良いが、個々の労働条件は確実に下がる。
転職という最強の武器を自ら放棄するのだから当然だ。
逃げ場のない労働者には、少々のムリでも飲ませられる。
何のことはない、これが滅私奉公だの愛社精神だのの正体である。

そうやって組織から与えられる役目をこなすだけとなった人間にとって、意志や
主体性を発揮する場面は少ない。だが人間である以上、どこかで発散してバランスを
取ったほうが健全だ。というわけで、Webというツールが発散の場を提供しているのだろう。

この手の感覚は、何も傍流や窓際だけのものでもないらしい。
某大企業の知人に聞いた話だが、45歳以上の早期退職募集に際して、退職金の割増金額
を尋ねる電話をかけてくる社員の中には、第一線で活躍中の“主流”が少なくなかった
そうだ(勤続年数や基本給によって額が変わるので人事に計算してもらう必要がある)。
外線から人目を忍ぶようにしてそっと退職金額を尋ねる部長たちと話していて、
そういった社内的勝ち組でさえ、満ち足りてはいないのだなと感じたそうだ。
もはや過半数は課長昇格すら危うい団塊ジュニア以降は、なおのこと欲求不満を募らせる
に違いない。

大手術はすぐには無理そうなので、とりあえずの処方箋が別途必要だろう。
本書では、会社勤めをしつつ、副業にいそしむ“ハイブリッドワーカー”を取り上げる。
ケツメイシのようにメジャーとなったハイブリもいる一方で、自他共に
「割にあっていない」と自嘲する者もいる。それでも、彼らは続けるのだろう。
人生には、与えられた仕事だけではなく、自分で作り出す仕事も必要だ。

アフタヌーン新書 011 ハイブリッドワーカー 会社勤めしながらクリエイティブワークするヨシナガ講談社このアイテムの詳細を見る

一刻者 中谷巌

2009-10-30 17:44:51 | ãã®ä»–
コレを見て思わず笑ってしまった。
むしろこの人はこだわってないんじゃないかとか、そういう疑念は触れずにおいても
思わずクリックさせてしまうセンスはいい。飲まないけど。



東洋経済の年金特集の疑問点

2009-10-30 10:19:24 | ãã®ä»–
改めて読み返してみても、やっぱり何というか全体的に違和感のある東洋経済今週号。
周囲でもいろいろ話題になっていて、疑問点は大体共通している。
若干細かな話ではあるが、以下にまとめておきたい。
(72pからの特集、番号とサブタイトルは特集のもの)

1.「経済前提が甘い」

現行の制度は破綻するとした民主党の試算について、前提条件が厳しすぎるという
批判は一理ある。
(まあバラ色数値で試算をでっち上げてきた厚労省も人のことは言えない)

が、だからといって現行制度が万全かといえば、それはまったく別問題。
既存の世代間格差に加え、保険料や国庫負担の段階的引き上げにはなぜか言及して
いない。
「(保険料と国庫負担のダブル引き上げで)年金は万全ですよ!」
と言われても…。

2.「世代間不公平論」

世代会計は社会資本の受益や負担も考慮している。よって、「前の世代が整備した
都市やインフラで生活できるのだから我慢しろ」というロジックはおかしい。

3.「公的年金の債務超過論」
本特集中、最大の謎。一橋・高山教授を含め、各論者が問題としているのは、
給付確定分720兆に対して積立金は170兆程度、実質550兆ほど“債務超過”状態で
あるという事実だ。
そしてそれらはすべて、保険料引き上げと国庫負担の引き上げによって、現役世代に
のしかかってくることになる。先日の朝生で小黒氏が“暗黙の債務”と言っていた
ものだ。
国の長期債務と合わせて、果たしてこれだけの規模の負担を背負えるものだろうか?
で、それに対する反論なのだが…
「賦課方式というのは、そういうものなんです」

4.「積立方式移行論」
積立方式に移行するなら、既に需給にまわっている世代+過渡期の現役世代は、過去
の積立分が不足することになる。これをどうするのか?というテーマだが、鈴木教授
の案に対しても、
「世代間格差は残るからそんなものはいらない、諦めろ」と一蹴するだけ。
そもそも、鈴木案は世代間格差の抜本的な是正を狙ったものではない。
むしろ、これからさらに世代間格差が拡大し、我々自身が加害者側に回ることを
ロックする狙いの方が大きいものだ。
そのために、積立方式に移行し、暗黙の債務は将来にわたって広く薄く負担すると
いう試算である。
厚労省や本特集には、そういう長期の視点が完全に欠落していると言わざるをえない。

6.「基礎年金の税方式化」
いつも言っているように、「未納者が増えても自己責任」という発想だと、公的年金
の意味がない。保険料方式にこだわるあまり、この点を見失ってしまっている。
もちろん、保険料の企業負担という幻想もしっかりと堅持。
「税方式化とは、企業セクターから家計への大幅なコストシフト」という一文に
いたっては、4p前にインタビューの載っている堀さん(上智大教授:厚労省OB)が
書いているんじゃないの?と言いたくもなる。


通して感じるのは、いかにして現行の年金制度を守るかという姿勢のみだ。
そもそも、多くの論者が論じているのは「持続可能な社会を作るにはどうすべきか」
というテーマだ。
「現行の年金制度が維持できるかどうか」なんてみみっちいことを話題にしたがるのは
厚労省と、それで飯を食っている賦課方式バカくらいのものだ。
東洋経済がわざわざそんな次元にまで下りていく必要はないだろう。

今週号の東洋経済が厚労省のパンフレットな件

2009-10-27 14:07:55 | ãã®ä»–
今週号の週刊東洋経済が、まんま厚生労働省パンフか、某御用学者の本でも
丸写しにしたような内容である。
というか、はっきりいうと、よくこれ出せたなというような
間違い&誤解だらけだ。

友人曰く「噴飯もの」らしい。大丈夫か東洋経済。

多すぎていちいち突っ込まないけど、一部だけ書いておくと、世代会計って社会資本
の受益や負担を考慮して出してるものだ。
「それを考慮すれば格差なんて無い」というのは理解不足。
鈴木先生の試算も誤解している。二重の負担を現役~将来世代で負担しましょう
というもので、これから格差の拡大するのをブロックしようという意味だ。
世代間格差がなくならないから意味がないというような浅いものではない。

相変わらず、企業負担なんて幻想だという事実も理解できていない。

以前も述べたように、厚労省は保険料方式から税方式になり、年金というオモチャ
を取り上げられることを恐れている。
そこで、御用学者の尻を叩いて一緒にキャンペーンスタートしたわけだ。
04年には悪名高い「世代間ごとの年金給付額と保険料負担額の倍率」を出すが、
企業負担を意図的に無視、大甘な数字の利用でさんざん叩かれている。

なぜ今さら東洋経済が敗色濃厚な厚労省陣営に参戦するのかよくわからない。

経済誌でこれはちょっとかっこ悪いと思うよ。
だって、改革案に対する粗探しばかりで、まともな対案が載っていないんだもの。
「で、要するに何が言いたいの?どうしたいの?」
と言われたら、編集責任者はどう答えるのだろうか。
厚労省のパンフにしか見えないというのは、そういうスタンスのゆえだ。
百歩譲って、両論併記にすべきだったろう。
まあ、実名出された論者が反論するだろうから、今後が楽しみではあるが。



貧困大国ニッポン!

2009-10-26 10:34:26 | çµŒæ¸ˆä¸€èˆ¬
もうあちこちで、それも数年前からさんざん言われている事実なのだが、
鳩山さんも驚いているようだから、ちょっとだけフォローしておこう。

厚労省が発表した相対的貧困率なる数値には、なんの意味も無い。
年金や資産のみで生活する人間と、現役世代以上に稼ぐ自営業の混在する高齢者が
増えれば、こういった相対的な数値では格差拡大と出てしまう。
さらに日本の場合、年功賃金による人為的な歪みも存在する。
他国同様に存在する現実の格差に、若者と50代の賃金格差が上乗せされるわけだ。

ちなみに絶対的な貧困率はどのくらいかといえば、全然マシな方である。
僕が言っているのは、日本の労働市場には理不尽な格差が存在し、それが長期的には
日本の活力を削いでいるという話だ。
なので、個人的には現状の貧困のみをアピールする方々とは距離を置いている。
別に「言うな」とは言わないけれど、それのみを主張しても、問題の解決には
ならないだろう。あるいは、誰か別の狙いを持った人たちに利用されるだけだ。

経済財政白書H21年版でも触れられたように、現実に小泉政権時代に起きたことは、
明らかな格差の縮小であった。
なので、メディア向けのアドバイスなのだが、こう報道するといい。

「小泉改革で格差は縮小しましたが、その後、改革の停滞で再び拡大傾向です。
なお、絶対的な貧困度でいうと、日本はまだまだ全然大したことはありませんので
ご安心を」

ついでに鳩山さんへもアドバイスを一つ。
上に述べたように、相対的貧困率などに何の意味も無いのだが、心配ならとりあえず
労働市場の完全流動化を実施するといい。それだけでヨーロッパ並みには
「平等な国」になれますよ。

雑感@朝生

2009-10-25 10:31:15 | ãã®ä»–
金曜日の朝生についての雑感。ちょっと脈絡ないけどメモ替わりにまとめておきたい。
まず控え室の空気が新鮮。以前は一人しかいなかったのに、今日は30代ばかりだ(笑)
同時に緊張感も高まってくる。やはりというか、既に会話が合わない。
というより、世代間の問題として認識している人は、実質的に半分くらい。
その中で3時間持たせないといけないわけだ。

本編についてはご覧の通り。
東氏の意見は確かに鋭い。それと、話の展開の仕方、あれは一つの芸だろう。
ただ、草食系の彼もそうだけど、「勝ち目が無いから諦める」というのは、
少なくとも僕の中にはなくて、あくまで徹底抗戦派で行くつもりだ。

それから「政治はつまらない」という意見も少々甘いのではないか。
興味がないという人間が多いから現在のような状況になったのではないか。
「自分は一生奴隷として生きていくことに決めました」といってあらゆる主張を
放棄するというのならそれもいい。でも主張したいのであれば、関心を持って
理解しないと。
政治に興味の無い人は徹底的に利用され使い捨てにされる。
これが民主主義のルールだということは理解しておくべきだ。

モリタクについては見ていて思ったのだが、
彼は自分に期待されている役回りを良く理解して、それを熱心にこなしているの
かもしれない。あの席に普通のエコノミストが座っていたら、そもそも論点なんて
存在しなかったろう。
もっとも、それならそうで論点を一歩先に進めた構成で行くべきであって、
本心であろうがなかろうが、彼のビジネスが世論の足を引っ張っているという事実
は変わらないのだが。

それにしても。3年前には、流動化なんて言葉は一切出なかった。
それが、東氏を含めて、議論の前提条件として語られていたことには、
隔世の感がある。
止まっているように見えても、時代は着実に動いているのだろう。

朝まで生テレビ

2009-10-22 17:01:07 | work
明日23日25時25分からの「朝まで生テレビ」に出演することになったので
取り急ぎ告知しておく。
テーマはずばり、世代間格差だ。
若者マニフェストを一緒に作ったメンバーも2人ほどいる。
このテーマなら、我々が最先端だと自負しているので、当然だ。

ただ、メンバー全体を見ていて、なんというか、すごくカオスである。
普通、こういう番組と言うのは論者を見ればだいたい話の展開は予想がつく。
モリタクならああ言ってこう出てくるだろうから、こういう流れにしよう、的なイメージと
いうのは、企画書を見ただけで頭に浮かぶものだ。
だが今回は、まったく頭にイメージが浮かんでこない(笑)
大丈夫だろうか。

いや、でもそんなことを考えても仕方ない。
わざわざ2、30代を中心に選んでくれているわけで、
これでまともな議論が出来なければ、しょせん我々はその程度だということだ。
60代以上のオマケではないということを証明する意味でも、明日は頑張りたいと思う。

ポスト西川から見えてくるもの

2009-10-22 09:39:43 | ãã®ä»–
西川問題についての各紙の社説を比較してみる。

「郵政見直し―民営化の本旨を忘れるな」(10.21朝日)
「郵政新社長―民から官へ、逆流ですか」(10.22朝日)
「これは郵政改革の撤回ではないか」  (10.21日経)
「元次官に郵政託す「脱官僚」 」    (10.22日経)
「郵政改革方針 民営化路線を逆行させるな」(10.21読売)

各紙の社説がこれだけ一致するのも珍しい(笑)
要するに、民営化見直しというのは、ごく一部の頭が悪い&妄想気味な人たちにしか
支持されない政策であり、そしてなぜか知らないが民主党はそれをやってしまったと
いうことだ。

ところで、後任人事を見てわかったことがある。民主党の改革のアプローチだ。
最近、あちこちから聞こえてくる話として、「民主党は財務省とタッグを組んだ」
というものがある。なんでも、主要な会議や事務運営は、既に財務省の官僚が張り
付いてお膳立てしているらしい。
要するに財務と組み、他省庁の既得権(本丸は特別会計だろう)を一気に引っ剥がそう
というわけだろう。

個人的には、財務省と組むことはありだとは思う。
最初から全官僚と全面戦争なんて無理な話で、それをやろうとした安倍内閣と同じ
末路を辿ることになるはず。
その点、予算を通して霞が関の裏を知り尽くしている財務省と組めば、やれるだろう。
今回の人事も、その流れに沿ったものと思われる。

ただ、リスクもある。間違いなく財務省は焼け太りする。
ある程度ならいいが、ひょっとして郵貯全部を使いたいとか言い出したら、なんの
ことはない、霞が関の中でのパワーゲームの結果、権限が財務省に集中しちゃいました
というだけの話だ。

郵政をどのように着地させるのか。それによって、民主党がどれだけ手綱を握って
いるのかがわかるはずだ。

西川社長の辞任理由がよくわからない

2009-10-20 20:30:30 | ãã®ä»–
日本郵政の西川社長が辞任した。
というか実質クビを宣告されたわけだが、そのロジックがよくわからない。
かんぽの宿騒動というのは、政治キャンペーンでしかない。
平成の大疑獄だとか言ってキャンペーンの片棒担いでいた自称経済学者もいたが、
結局何にも出てこなかった。
朝日新聞も、総務省自らやり直した資産価値は250億であり、赤字事業分を加味
すれば、別に大騒ぎすることはないんじゃないかと社説でたしなめている。
(「かんぽの宿・大山鳴動して何が残った」朝日新聞4/8)

郵便割引制度悪用事件にしても西川以前の話で、まあそれも含めて現役トップが
責任を取れというのなら、「税収が減ったのは麻生さんのせい」だの言わずに
鳩山さんが責任取れというロジックになる。

もっとも、キャンペーンならキャンペーンでもいい。そして、それにそぐわない
からという理由で、トップの首を挿げ替えるのも、民間ではよくある話だ。

問題は、その先のビジョンがいまひとつ見えてこないという点だ。
(四社再統合の国民新党案は論外としても)民主党案の郵便局と郵便事業を一緒に
することに、それほど重大な意味があるとは思えない。
紙離れが進む中、今の生産性のままでは、将来的にこれらの事業が赤字になるのは
確実であり、税金で支えることになるだろう。
まさに第二のJALである。
それでいいのか。というか、そうやって既得権を守ってやるのが目的なのか。

仮にも小泉郵政民営化では、それぞれの事業が民営化によって利益をあげるか、
あるいはそれが可能な規模に適正化をしていくというビジョンがあった。
今のところ、「国にぶら下がる」という以外のビジョンは見えない。
そして、かんぽの宿は今も赤字を生み続ける。

今後、まともなビジョンが示せない場合、鳩山兄弟と亀井大臣と、
あとついでに森永卓郎は全財産を供出して簡保の宿を買い取るべきだ。
そうでなくても金も時間も無いのだから。くだらない政治闘争は終わりにしろと
言いたい。

優秀な人材が日本にこない理由

2009-10-19 14:59:13 | æŽ¡ç”¨
知り合いに香港に転職した人間がチラホラいるので、そんな気はしていたのだが
既にアジアの一流の人材は日本ではなく、シンガポールや香港を目指すらしい。

「優秀な人材に来てもらうにはガラスの天井をどうにかするしかない」というのは
その通りなのだが、ガラスの天井というのは何もナショナリズムや排外主義ではなく、
要するに終身雇用のことだ。
彼ら外国人に「日本で骨を埋めろ、滅私奉公しろ」というのは酷な話で、選択肢の
広い優秀層には相手にされない。たとえば、中国人留学生なんて、日本人学生とは
比較にならないほどアグレッシブな質問をぶつけてくる(しかも優秀な人材が多い)。

「初任給はいくらですか?」
「ええと、330万円くらいかな」
「そうですか…ではいつになったら一千万円に行くのですか?」
「たぶん、15年くらい真面目に働いて、運よく課長に昇格できたら行くと思うよ」

もうこの時点でたいがいの優秀層は来ない。年俸制の外資に流れてしまう。
いつも言っているように、年功序列賃金では平均以下の人材にしかアピールできない
のだ。いくら国が人材獲得のために補助金出したって、これが現実である。
まあ無理もない。当の日本人ですら、トップレベルは
外資に流れているわけだから。

「10年は泥のように働いて、中高年を下支えしなさい」と外国人に言うほうがお門違いだ。

大学改革についても、問題のアングルは同じである。
優秀な人材を世界中から集めて、一定の競争力を維持するには、出口である企業内
が変わる必要がある。
ここでいう改革とは、大卒資格証明書だけを手に入れるために、二十歳前後の若者
だけが集う空虚な空間から、真の学びの場に変えるということだ。

もっとも、東大の学生生活実態調査などを見ても明らかなように、最近の学生は
明らかに勉強するようになっているようので、既に実社会は変わり始めているのだろう。
そう考えると、「大学時代遊んでました、今もぬるま湯で満足してます」
という30代が一番リスクが高いかもしれない。