アメリカ情勢があまりにも混乱しているのでアメリカの危機といった感じを持つわけだけど、実際にはこれは西側の危機で、その核心は西側を支えてきたナラティブ支配の体系が壊れているから、というのが私の基本的な見取り。
で、そこから考えた時、一体全体この先この西側真理教ブロックはどういう基本路線で番組を編成していくのだろう?というのが気になる。
あと1週間後には大統領就任式が行われる。そこでバイデンが歯の浮くような嘘っぱちを並べることは既定路線。
我々は素晴らしいアメリカ、自由と民主主義のアメリカは死なない、しかし国民は融和を、世界平和を、友好、差別反対 etc.と政治的是正表現をクリアできる用語ばっかり並べた演説を誰かが書いてるでしょう。
それをバイデン翁がプロンプター見ながら読み上げ、世界中の主流メディアが、ヘイトからは何も生まれない、平和を、友好を、差別に反対をと陶酔して書いてみる、と。
すると、リベラル民主主義こそこの世の真理とかいう人たちが、こうでなければならない、見よ、愚民ども、わからぬか、といった調子でお囃子をつける。
だから何? なわけですよ。
■ 紙の上に書いてないところ
そして、そのバイデン政権は、ビクトリア・ヌーランドを外交の補佐官にすると言っている模様。
さすがにアメリカ国内からも反対の声が弱弱しいがある。
Stop Biden’s Neocon Nominee To The State Department
https://www.theamericanconservative.com/articles/stop-bidens-neocon-nominee-to-the-state-department/
まぁ、ウクライナにクーデターを仕掛けた張本人。アメリカは既に50億ドル使って政変の準備をしてきたんだから失敗はできない、とかいって演説している姿がyoutubeに出回っていたあのおばさん。
有名な人ですね。右の婆がヌーランド、後ろの男が当時の駐ウクライナ大使ピアット。オバマ政権の公人がウクライナでデモ隊を支援していた。
そしてその結果がこれ。
こういうことをやった人たちが2020年にはアメリカで偽旗でクーデターを起こしたというのが今般の話でしょうに、それすら気づかないのが大方のアメリカ人。そしてもちろん属国の民もそれに準じる。
そして、それに反対する一般人を「国産テロリスト」とか呼んでいるのも、まるっきりウクライナでの出来事と一緒。ウクライナ人の中で、首都キエフが外国人勢力と共にバンデラ主義者に乗っ取られたことに危機を覚えた人たちが抗議して、地元の議会とか行政府の建物を占拠した(防御した、と言っていいでしょう)。
すると、CIAのブレナンが乗り込んできて、それらの「まつろわぬ人たち」をいきなり「テロリスト」と呼び出し、これから、anti-terrosit operation(反テロ作戦)をするといって、一般人が住む団地なんかを砲撃して、人殺しを始めたという成り行き。
ウクライナがアメリカ化したとよく言われてきたが、アメリカがウクライナ化したと言った方が適切な感じがする。
いやほんと、実にあほらしい。
でも、日本ではわりとこれを歓迎する人が多いかもしれないですね。なにせ、世界有数の反ロシアの国ですから。
いやしかし、この馬鹿さ加減に付き合って、何がどうなるっていうんでしょうか。
そんな事態なのに、上の記事なんかでもそうだけど、ヌーランドの指名は止めるべきだとか「正論」を書いてすましてる。共和党の支持グループの言論を見てても、まだ自分たちの国は普通だと思ってるらしいなって感じが濃厚。
気づけよ!
■ 強化版ナチ政権 by エスコバル
アメリカ人の呑気な様子をよそに、アメリカ主流メディアの内側にいない人たち、特にロシアまわりを見ている人たちは、この事態をアメリカにとってもっと深刻なものとして受け取ってるというのがトレンドと言っていいかと思う。
なかなか言うなぁ、だったのはエスコバルというブラジル出身のジャーナリストのおっちゃんのこの記事か。
9/11 Was the Prelude. 1/6 Is the Holy Grail
911はプレリュード、1/6はホーリグレール(聖杯)。つまり、911は前奏、1/6にようやく目標達成といったところでしょうか。
早い話が、1933年のドイツになったということで、ナチリベの夢がかなった、まさに聖杯を手に入れた、という解釈ですね。
私的権力によるFull Spectrum Dominance(完全支配)こそ目標だったってことでしょう。
ネオコンがわざわざ、Full spectrum dominanceだ、と自分で目標を言いちらかしていたのに、それを見すごした人々(私たちですけど)は何を考えていたものやら。
で、それはそれで恐ろしいけど、でも、現状、私としては、引き続きこんな感じで見てる。
■ オマケ
中国はグローバリスト主導派と国権派(と呼ぶかしらないけど)が後者の優位でバランスしていっている感じがする。
年末の世論調査で、隣国のうち最も重要な関係はどれか、という問いでロシアと答えた人が圧倒的に多かったとGlobal Timesが書いていた。
China-Russia relations the most important bilateral ties with neighboring countries: GT survey
上から、ロシア、東南アジア、日本、パキスタン....の順。
これは、中国指導部からの、中国人一般に対する、シートベルトしておけよ、という意味ではないかと思った。
なんでかというと、中国のビジネスエリートとか裕福な中間層は、アメリカに大量に出かけていって、黄色い顔したアメリカ人みたいになっちゃってるので、勢い、アメリカと仲良くなれれば「元に戻れる」みたいな発想を持ってる。しかし、これは地政学イベントだぜ、ということでしょう。
父の旧制高校の時の日記、昭和12,3年頃に、「ロシアがある限りシナを攻撃したところで、シナは最後の土を失うまで抵抗することは明らかだ」と書いています。何でそう思ったのか分かりませんが、そう言えばそうかもと。
父は中曽根さんや、宮沢さんの1、2年下のはずです。政治学の教授は南原繁先生で、全面講和を主張して吉田茂から、曲学阿世の徒と罵られたようです。昔の大学教授は言うことは言ってたのですね。