リビングラボの視点を取り入れ,専門家と参加者がゲーム的に楽しく対話しながら協働のデザインの場作りに必要なことを学習し,発想していくものです.ですが,ワークショップ等で使う機会が少ないため,改善していくためのフィードバックをなかなか得ることができていません.そういうわけで,今回は株式会社ACTANTのイベントACTANT FRIDAYの場をお借りして,試験的に小規模なワークショップを実施してみたいと思います.CoDesignに御関心をお持ちの方,どなたかご協力いただけないでしょうか.

http://kmhr.hatenablog.com/entry/2017/03/10/165259  
ということで3月24日の夜、行ってきました。

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Living Lab(という概念)

Living Lab とは
「リビングラボは、日常生活の実践と研究に立脚したユーザー中心イノベーションの環境である。そのアプローチは、オープンイノベーション、分散型イノベーションにおいて、ユーザーの貢献を促し、関連各所の関係者を生活のコンテキストの中でかからわせ、持続可能な価値を作り出すことを志向している」
とのことです。
これが分かりにくいということで、上平さんが(超ざっくり)解説をしていました。
  1. 元々は、製品をテストする実証実験の場。それを閉鎖的な実験室ではなく、できるだけ実際に使われている現実の状況に近づけよう、という話
  2. 成果物の評価だけではなく、デザインにおけるリサーチの重要性が広まるにつれて、利用文脈の調査・洞察の場にもなっている
  3. 多様な創造性を取り入れる共創の重要性が高まるにつれて、人々をただの被験者からコ・クリエーターと位置づけ直し、ともにつくり、人々を育てる協働のデザインの場へ
ということでした。
形態も福祉施設、シニア向けコンピューター教室、ショッピングセンターというように様々であり、参加の仕方も有志の参加者を募る、やや強制力を持たせる、など様々あるようです。


個人的には、日本で2007〜2012年頃に広まったフューチャーセンターに似たものを感じました。
(しばらく離れていたので、現在は異なっているかもしれませんが、)フューチャーセンターは90年代に欧州の「未来思考」から始まり、その後、アメリカから「対話(ダイアローグ)」と「プロトタイピング」の発想を織り込んで発展しました。日本では「場」と「(フューチャーセンター同士の)ネットワーク」という概念を織り込んで、独自の発展を遂げました(と理解しています)。
「場」は、欧米では不動産としての「場所」という意味が強いですが、日本では3人程度集まった「集まり」を指すことが多いです。これは、大きめの食事机を「ご相席」という形(個人的には、この時にすだれやお品書きや調味料置きで仕切るという所作が好みです)にすることで、場として分ける、ということが文化的にあるからかもしれません。

もしかすると、Living Labを日本に取り入れるとすると、Labという「場所」は「集まり」の概念に近づくのかもしれないと思いました。
 

対話ゲーム

対話ゲームの中身は、これからブラッシュアップされるかもしれないので、詳細は割愛します。
参加者3〜4名ずつグループとなり、大きく2ステップ程度がありました。
  1. 「対話」ステップ(参加者同士で、用意された問いを無作為/作為的に選び、回答を付箋化してはりつけながら対話をする。合意を得たと思うまで続け、次の問いにうつる。ある条件を満たしたら、ラボにピンを立てる)
  2. 「ラボつく」ステップ(ラボにピンがたったもの、対話ステップの中で出た会話などをヒントに、アイデアを発想する。発想したアイデアをイラスト化し、発表)
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ワークの感想

対話

・私はこういうフワッとしたワークに慣れているので大丈夫でしたが、途中で言われた通り「正解を求める」「到達点から逆算する」という(社会人に多いらしい)マインドセットがあるとだいぶ厳しい感じがしました。(対話のやり方自体は、既に様々なところで議論されているので、「対話 ダイアログ」などでググると、考え方や手法についての記載があります。)
・どこまで自分のコンテキスト/プライバシーを開示しようか迷いました。今回はロールプレイとしての役割もあり、結果として、私は「シングルファザーである」というパーソナリティが強烈に働きすぎると考え、チームに開示しませんでした。(娘がいることは開示しました)本来のLiving Labでは、そういったパーソナリティが自然と共有され得るかもしれませんが、1時間半程度のワークだと、なかなか難しいかもしれません。割り切りかなと思います。

ラボつく

・現在の設計だと、問いが偶発的(20個の問いのうち、8個程度が場に出る)ため、出た中から発想すると頭の中をMECEがかすめてしまい、不安が先に来る感じがあるかもしれない。
・上記の状況を打破するために突破力が必要になるのだけど、その元となる自分のコンテキストを先の対話で抑えてしまったため、アクセルを踏みにくかったかもしれない。

全体の感想

・とても面白かったです。ゲームをやる前よりは、Living Labというものを体験的に理解できた。
・副次的だけど、参加メンバーが(私以外)とてもアツい人だったので、すごかった。
・ワークショップにおけるアイデンティティの設計が気になりました(私が関心領域だからですがw)以下、図にしてみたのだけど、私はどこの象限を対象にしているのかわかりませんでした。
 
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