Blcrackreverse

Diggin LIFE 掘って掘って掘りまくれ!

Blcrackreverse

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』が突きつける現実―なぜ国家は分断され、内戦が勃発したのか?

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』ポスター画像


www.youtube.com

エクス・マキナ」のアレックス・ガーランドが監督・脚本を手がけ、内戦の勃発により戦場と化した近未来のアメリカを舞台に、最前線を取材するジャーナリストたちを主人公に圧倒的没入感で描いたアクションスリラー。

連邦政府から19の州が離脱したアメリカでは、テキサス州カリフォルニア州の同盟からなる「西部勢力」と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。就任3期目に突入した権威主義的な大統領は勝利が近いことをテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。戦場カメラマンのリーをはじめとする4人のジャーナリストは、14カ月にわたって一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うべく、ニューヨークからホワイトハウスを目指して旅に出る。彼らは戦場と化した道を進むなかで、内戦の恐怖と狂気を目の当たりにしていく。

出演は「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のキルステン・ダンスト、テレビドラマ「ナルコス」のワグネル・モウラ、「DUNE デューン 砂の惑星」のスティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、「プリシラ」のケイリー・スピーニー

やはりA24が手掛ける作品はこういうテイストであってもただでは終わらない。

冒頭から味付けが完全にA24印と言いますか。個人的には『28日後』からの印象が強いアレックス・ガーランドですが、こちらも似て非なる現実と虚構の間のリアリティに尽きる。

まさに2024年、トランプが大統領に返り咲き、アメリカの混沌とした政治、世界に蔓延する虚構の世界。

各国で見えている現実と並行して存在する事実に目をつぶり、というか見えていないと言ったほうが正確なのかもしれないが。そんな潜在的なリスクが顕在化したような文字通りの地獄絵図が淡々と描かれていく。

冒頭のモアレがかった映像に、大統領の述べる勝利宣言に始まり、アメリカ分断の内戦が勃発する渦中へと引きずり込まれていく。

記者として第三者的な視点で戦争という現実に身を置くことで、あくまでも客観的に事実として自体を把握していくという構成が面白く、同時に残酷さとも対峙しなければならないという枷をかけられる。

冒頭のあの現場が全てを物語っており、日常=戦場という多くの人が想像だにしない現実を目の当たりにすることになる。

あれは衝撃でしたね。あそこまで急激に転換し、待った無しに渦中へ飲み込まれるとは。映画ならではの演出であり、あれが現実に成り得るという既視感もあり。

主に4名を中心に物語が進行していくことになるんですが、ある意味でのメインとしての存在がケイリー・スピーニー演じるジェシー

彼女は『エイリアンロムルス』に出てきたあの主人公的な女性なのですね。

全然タイプが異なり全く気づきませんでした。

振り幅が凄い。

まあ実際にはこちらの方が先に撮られているのでなんとも言えないところではありますが。

blcrackreverse.com

そんな彼女はまだ若きフォトグラファーの駆け出し程度という設定。

戦場で写真を取り、報道の最前線で活動するとはどういうことなのか。

こう言うと格好良く映るわけですが、実際に見る世界は泥臭く、死の匂いが常に付き纏い、人の影の部分を目にするという極めて過酷さそのもの。

それが本当にそのままに描かれていく。

映像や音楽的な演出も変わっている部分もあり、映画としての魅力もそうした細部に詰まっている。

まず、映像に関して。

不穏なカットや安定しない視点、戦場のリアリティを推し量るのに十分なスリリングさ。

気分が悪くなるようなカットも多く、それでもそれが現実なんだと言わんばかりの正面突破が潔い。

かと思えばマジックアワーのような夕暮れのような美しい空を写したカットや牧歌的な画なども差し込まれ、なぜこのような場面を映すのかと考えた時、勝手に頭に浮かんだのは”生の実感”なのかなと。

どんな局面にあっても、生を実感し、美しいと感じとることはあくまでも無意識的で、むしろ平時以上に生を実感していればこそ逆説的にそうしたものを感じてしまうのかもしれないなと。

なぜなら観ているこちらですら、なぜこの状況、この流れの中で、空や空間、雰囲気を包括して美しいと感じてしまうのだろうと思ってしまうくらいなのですから。

音楽に関しては挿入される楽曲、歌詞、リンクしている部分がブラックジョーク的で、かつサウンドのパキッとしたメリハリが戦場の出来事からリアリティを希薄させているような気すらさせる。

あえてこのゲームというかポップさを組み合わせることで非常さを麻痺させている感もありで、これも現代の非常さを直視できないような我々を皮肉っているようにすら思えてくる。

変わって、銃撃戦の効果音を過剰にしているところなどは戦争というものの恐怖を煽るような、現実に目を向けろよという注意喚起を漂わせる。

物語においてもこれらの映像的、音楽的な志向は反映されており、弛緩と緊張の狂ったようなドライブは最後まで続いていく。

特に張り詰めた時のその鋭利さはエゲつなく、どこまでもその緊張感を高めていく。

終盤での軍人に連れて行かれたシークエンスは途中までは展開的にも、もしかしたら、と思った期待も虚しく、すぐに危険しか無いことが想像出来るような容赦の無さを纏っている。

なぜ人は争うのかという根本を考えても結局のところ暴力の前では無に帰すわけだし、そういう相手に対してどういった姿勢で向かえば良いのかと考えた時に回答が非常に難しいことを認識させられる。

報道というものもそう。本来は真実を明らかにし、争いの無い、開かれた世界にしたいからこそ打ち込んでいる仕事なはず。

それなのに実際にそれは成されているのか。

冒頭に書いた大統領の勝利宣言とラストのエンドロールで流れる笑顔の軍人の写真を見た時、事実というものは概ね存在するが、真実というもの、事実の正当性については必ずしも必要でなく、絵空事のような事実それのみが現実として存在するのみ。

そのように考えるとジェシーがリーの死に際を撮ったことも皮肉なもので、ジャーナリストフォトグラファーになり、どういったことがしたかったのか。

それが手段化してしまい現実を独り歩きする中で、事実としてのフォトグラファーになってしまったのかなと。

そんなことを思いながら、今年度観るべき意味を考えてみたりもした。

本当に今の世界は安全で安心なのだろうか。潜在的な現実を直視し、自ら考えることが必要なタイミングなのかもしれないと。

では。

これ買ってよかった2024年〜アマゾン編〜

年末だしアマゾンで2024年に買って良かったものでも紹介しようかなと。

個人的に使ってみて、本当にこれは良かったなというものしか選びたくなかったのでこちらの5点。

まずは

パナソニック 自動アイロン(ドライアイロン) ブラック NI-A66-K』

これはとにかく家にアイロンが欲しくて、でも、高くなく、それでいて適当に出しておいても見栄えが悪くないものが良かったんですよ。

その際候補に挙がったのがパナソニックとDBKのこちらのもの。

正直色々な機能は不要で、ドライ機能しかないシンプルな仕様が良かったんです。

なのでこの二択だったわけですが、決め手はDBKの水色のラインすらいらないという、ただそれだけ。

使い勝手はほぼほぼ同じようで、それならデザイン、強いて言うならば日本製の安心感というのもあったのでしょう。

とはいえまあデザインですわ。

使用感は至ってシンプルですが、悪くないですよこの価格で必要十分。数秒で温まりますし、使いたい時にすぐに使える。

そして2つ目がこちら

『LADONNA ラドンナ フォトフレーム WT13-L-BR Lサイズ ブラウン 073153』

フォトフレームは最近木材のものに興味があり、いくつか並べるのが好きなのですが、中でもチーク材のものがお気に入り。

ビンテージなどで探すことが多い中、こちらは価格帯、質感含め中々に良い。

これは新品で買った中では気に入ってますね。他のフレームとの相性も良いですよ。チーク材というのも良い色出してますし。

3つ目がこちら

『JAMESON (ジェムソン) スタンダード[ ウイスキー 40度 アイルランド 700ml]』

映画からお酒への憧れが出ることもしばしばなんですが、今年は完全に『トゥルー・ディテクティブ』の影響が強かった。中でもダントツでシーズン1。

blcrackreverse.com

作中に出てきてカッコいいなと思い、買ってみたところ、飲みやすい。

どんな時でも飽きのこない味で、抜けの良さ、余韻の残り具合も丁度いいんですよ。気負わず飲める価格ですし。

ウイスキーはロックorストレート派なのですが、割らずともこの風味、余韻は悪くないんじゃないでしょうか。

何なら観るたびにドラマを思い出しますし、マシュー・マコノヒーがマジでカッコ良いなと改めて。

4つ目がこちら

『[Hanes] タンクトップ(2枚組) 綿100% 柔らかい 肌触り 動きやすい 赤パック 2P Aシャツ HM2-K701 メンズ』

先のドラマの影響もあり、シャツのインナーにタンクトップをラフに着たいという願望が出てきまして。

以前はタンクトップもインナーとしてわりと着ていたんですが最近はTシャツを着る機会の方が多かったんですよね。

ですが、そうした経緯もありで改めて買う際、まずは手軽なものが良いなと。

ユニクロのものは買ったことがあるんですが、あれはリブの感じとフィット感が望んでいるタンクトップで無く、以前あったミラーのタンクトップのようなフィットしていて、ネックが浅すぎないものが欲しかったんです。

そしてこちらが手に取りやすい価格だったので買ってみたところありだなと。

正直薄いですが、乳首が透けるほどでは無く(そこは重要)、独特のヤレ感、ラフに扱っても良いというプライスが気に入っております。

逆に言えばどのインナーに合わせてものダブつかないというのも良い点かもしれないですね。

シャツなどからチラりと見えるバランスも良いんですよね。

そして5つ目がこちら

『【クンダル】ハニー&マカデミアヘアケア2個入りセット(シャンプー&トリートメント各500ml)#アンバーバニラ #Amber Vanilla』

これは以前にも紹介したのであれなのですが、相変わらず不動で良い。

blcrackreverse.com

別の匂いのものも買ってみたんですが、個人的にはダントツでアンバーバニラ。

洗い上がり、シャンプー中のリラックス効果、とにかく香りが素晴らしく、これはオススメですね。

といった感じで順不同、とにかくアマゾンで買って良かったものでした。

では。

マドラスチェックの裏地が輝く!『L.L.Bean Hunting Jacket』の80〜90年代デザイン

L.L.Bean Hunting jacket SizeL(Womens)』

元々は古着屋にて友人が発見したこちらのジャケット。

友人は見送るとのことで試着してみたところ、何故か自分がしっくりきちゃったんですよ。

古着のこうした出会いというのは唯一無二で、新品では感じられない一着感があるんですよね。

これも常に訪れるわけではなく、たまたま訪れるもの。

そんなこちらなんですがタグを見るとどうやら80~90Sの物のようなんですよね。

まあ別にヴィンテージコレクターでは無いのでそこに深いこだわりはないのですが、最近は古着のそういったディティールも気にはなってきてしまうというのも何故なのか。

この一着の気に入っているポイントがいくつかあるんですが、まず裏地ですよね。何と言っても。ここに目を奪われたと言っても過言ではないほど、この裏地が気に入っている。

マドラスチェックの紫色。今まで見たこと無いんですよ。合わせからしてレディースのものということもあるのかもしれないんですが、往々にして裏地や細部のディティールのカラーリングってレディースものの方が凝っている気がするんですよね。

そしてサイズ感、バブアーにも似たようなハンティング仕様で、コットン素材。

サラッとしたコットンで質感も良く、状態も良好。

カラーリングもベージュベースで、襟の部分だけコーデュロイでブラウンになっているのも良いじゃないですか。このいなたさと洗練されたバランス。

素材の質感とカラーリング有ってこそ成り立つものですから。

袖を通してジャストのサイズ感だったというのもポイントで、ハーフ丈のコートを持っていなかったのも決め手でした。シルエットも良い塩梅の程よい感じ

ロングだと通しても着ていく機会が限定され、ショートだとこの感じは出ない。

野暮ったく羽織るも良し、上品に纏めてコートで抜くも良し。

秋口〜春口まで着られそうで、ラフに着たいところです。

では。

ライスのアンカー力が光る守備の堅城『アーセナルvsイプスウィッチ』

アーセナルvsイプスウィッチ

2ウーデの空中利用出ました
4マルティのクロスはモーション早いんよね
9さっきもだけどスケリーほんと奪われんな
11トランジション早え
18逆にこういうプレー効きそうだな
21ジェズスの両足使える細かいタッチはさすがやね
33サーモン今日はフィーリング良いのでは
40良いターンやで、スケリー

47こういう局面で狙ってくれるウーデがもっとみたいわけです
53ハヴァさんのこういうファール好きよ
60マガリャン良い対応
61ウーデの引き出し方が絶妙なのよ
86ティンバーの球際

ここまで苦戦するとは思いませんでした。

決められる脅威というより、決めきれない焦り。

前半に関して言えばこのスタッツですからね。

ビッグチャンスが1というのも少な過ぎですが、とはいえかなり押し込めており、再三 良い形も作れいるような状況下でしたから。

サカ不在というのも大きかったと言ってしまえばそれまでですが、そこまで形、連携が悪いわけでも無かったわけで。

ではイプスウィッチの守備が良かったのかというと、別段そういうわけでも無かった。

5-4-1の形で守っており、コンパクトさはありましたよ。なので楔などの侵入は窮屈そうでしたし、ドリブル突破もスペースが少なかったかもしれません。

でももう少し今のアーセナルなら出来たかなと。

ただあのゴールに関しては完璧でしたね。

サーモンの冷静なタメからの鋭いクロス、そこに反応できるようになったハヴァさん。

二人の連携の高まりと個としての成長を感じました。

そんな攻めに関しては少々の物足りなさを思ってしまいましたが、これを守り抜けたという意味での守備面は素晴らしかった。

中でもティンバーとライス。彼らの印象が強かったですね。ディフェンス時のアクション数は二人共チームトップ3。

加えてティンバーは球際の強さ、デュエルに関しても勝率が高いんです。

この布陣の場合、スケリーも同様で、両SB共に球際強し。背負ってのプレーに関しても体幹が強いからなのか、そこまで大柄じゃないが取られないというオプション付き。

そこに中央2枚が最強CBときたら守りは硬いですよ。裏ケアに関しては若干難がありますが、それはアーセナルのSBの役割柄しょうがないところでもあるわけでして。

そして中央に君臨したのがライス。

インサイドハーフの方が攻撃のテンポや機動力を発揮できるとは思うのですが、久々アンカーでの長時間プレーを見ると、ここでのハマり具合も半端じゃない。

ライスの基本能力がまずもって高いわけですが、中央を制圧し、かつパス出しに関してもお見事でした。

クロスやロングボールの質なども上向いてますし、フィジカルでの抑え、ピッチを活かしたドリブルでのキャリー。

この試合ではあらゆる部分の性能の高さを改めて感じましたね。

ただ話は戻りますが、攻撃時の中央ボックス内でのプレーの少なさを考えますと、ここで張れてタフに勝負できる戦術、無いし選手というのは欲しいところなのかもしれません。

そういえばこの試合、珍しくウーデが自ら持ち込みシュートまで持っていくというシーンが2回ほどあった気がするんですが、あれは良かったですね。

ウーデがああいった自我を出し、決めきるところまでいくことが出来るようになれば、それはそれとして、相手DFを引き出したり、プレー選択を絞られないという効果も生まれそうなところではあります。

いずれにせよ年末段階でこの順位。激動の1月が待っておりますが、良い年末を迎えられて何よりです。

では。

『ザ・バイクライダーズ』写真集からの着想!バイクカルチャーの美学と栄枯盛衰

『ザ・バイクライダーズ』

ポスター画像


www.youtube.com

アメリカの写真家ダニー・ライアンが1965~73年にかけてのシカゴのバイクライダーの日常をとらえた同名写真集にインスパイアされた作品で、伝説的モーターサイクルクラブの栄枯盛衰を、「エルヴィス」のオースティン・バトラーと「ヴェノム」シリーズのトム・ハーディの共演で描いた。

1965年、シカゴ。不良とは無縁の日々を送っていたキャシーは、ケンカ早くて無口なバイク乗りベニーと出会って5週間で結婚を決める。ベニーは地元の荒くれ者たちを束ねるジョニーの側近でありながら群れることを嫌い、狂気的な一面を持っていた。やがてジョニーの一味は「ヴァンダルズ」というモーターサイクルクラブに発展し、各地に支部ができるほど急速に拡大していく。その結果、クラブ内の治安は悪化し、敵対クラブとの抗争も勃発。暴力とバイクに明け暮れるベニーの危うさにキャシーが不安を覚えるなか、ヴァンダルズで最悪の事態が起こる。

「最後の決闘裁判」のジョディ・カマーがストーリーテラーとなるキャシー役を務め、バトラーがベニー、ハーディがジョニーを演じた。監督・脚本は「MUD マッド」「ラビング 愛という名前のふたり」のジェフ・ニコルズ

まずもって同名の写真集があったというのを知らなかったんですが、ネットで見ても透明感の伝わってくる写真群。

モノクロの抜けの良さを生かしたようなクリアさが目を見張る。

The Bikeriders - CONTACT Photography Festival

これは写真で見たいところなのですが、絶版かつ高騰しているので中々に難しそう。

ですが、作中でもその写真集さながらの様相、つまりはショットが点在しており、映画自体にもそれらを体現されておりますので、まずは本作から。

と思っていたんですがアマゾンで買えるのか?いちよ購入できそうなのでこちらも買ってみることに。

こういうカルチャー感が漂う映画というのはもっぱらの好物なんですが、本作も抜群に好み。

ポスタービジュアルからしてカッコ良いですよね。

ザ・バイクライダーズ : 作品情報 - 映画.com

まず、主演のベニーを演じるオースティン・バトラーがカッコ良過ぎる。

デューン 砂の惑星 PART2』で登場した時の狂気性を帯びた人物像とは全く印象の異なる人間味を帯びた土臭い感じ。

blcrackreverse.com

人間性という意味では欠けている人物ながら、人間味という意味においての純粋さが滲み出るような人物描写。

佇まいや仕草などからそうした機微が伝わってくるのはオースティン・バトラーの演技力が見せるところなのでしょう。

その他の演者も粒ぞろいで、ジョディ・カマー、トム・ハーディー、マイケル・シャノンノーマン・リーダスまで。

ファッションに関してもオリジナルの著書、つまりは実在するバイカー集団”Outlows Motorcycle Club”を参考にしているそうですが、これがまたカッコ良いんですよ。

基本スタイルはビタビタのライダースにタイトなパンツ。そこに個々のアレンジやこだわりを加算していくわけですが、それもまた良き。

エスタンシャツ、デニムベスト、カットオフしたTシャツ、タンクトップ、ワッペンによるカスタム、開襟シャツ。

どれをとっても良きスタイル。

The Bikeriders (2023) - IMDb

The Bikeriders” Lends a Wild Bunch a Mythic Grandeur | The New Yorker

The Bikeriders Is An Authentic Portrayal of Biker Culture - Movie Review -  Nerdtropolis

衣装はエリン・ベナッチということで『ブルー・バレンタイン』や『ドライヴ』もやられていた方なんですね。

それは納得。

それにしてもダントツでオースティン・バトラーのスタイリングが好み。

Movie Review: “The Bikeriders” | The Media Tourist

ヘアスタイルにしても角の残ったラフなオールバックで襟足はやや長め。

ライダースの上にデニムベストを着るこだわりや伸ばしすぎない髭なんかも絶妙でカッコ良い。

この辺の観点から考えると『アウトサイダー』に非常に近い雰囲気だなとも思うわけです。

blcrackreverse.com

バイクのカッコ良さ、スタイルのカッコ良さも然ることながら、プロットにおける深度も中々に深い。

人が群れ、何を拠り所とするのか。

群れるということに関しては作中でも述べられるような”居場所”を求めてのこと。

では”拠り所”は。

場所としてのそれは群れる意味と同義かもしれませんが、実際のそれはこだわりや生き様にも似た精神性の在りか。

結成当初に抱いていたようなものは徐々に形骸化し、大きくなるほどにその核心は薄れていく。

世代差などもそうで、時が変化すれば人も変わり、組織も変わる。

当たり前のようですが、それをあのような形でまざまざと見せつけられると。

挑戦の方法こそが全てを物語っており、古き良きなどというものは懐古主義ゆえの名残。事実ではあるものの少々の寂しさとそうじゃない感。

別に古きものを良しとは思いませんが、心持ちはしっかりと持ちたいと思ってしまう。

ひいてはそれがスタイルへと繋がるわけで。

ただ、結局のところスタイルも成り立ちとしてのバックボーンを根城としながら、変遷、変容を経て、変わってもいくわけで、サブカルチャーメインカルチャーに昇華していくということもある種の矛盾を内包しているとも言えるんですよね。

それって我々が生きている社会でも同様のことが起きるわけですしその中で生きることで個々の考え方というのは非常に重要になってくると思うんです。

ベニーが考えるその生き様はそれこそが魅力的で、確固たる自身のこだわりから滲み出るカッコ良さ。

キャシーが言っていた「あの人は執着が無い」という言葉が示しているように、執着というものがどれだけ粘着質で堆積されていく屑のようなものか。

僻み、妬み、嫉みといったものは、それこそ全て執着から生じるわけで、そこから自由になることは本当に難しい。

それを恐れず、むしろそうなることにすら恐れを感じるようなベニーだからこそあのスタイルを貫けたんだろうなと。

でも、最後に見せる涙、あれこそが本当の感情の吐露であって、苦しくないわけが無いし、葛藤が無いわけがない。

スタイルを貫き、芯を曲げないことがどれほどに痛みを伴うものなのかということも同時にわからせてくれるあのシーンにはグッとくるものがありました。

ある意味冒頭のベニーとキャシーのツーリングこそがサブカルの入口的な感覚であり、初期衝動の表出でもあるわけです。ジョニーが映画を観てクラブを結成しようとしたのもそうですよね。

Movie Review: The Bikeriders. Each year there are some new additions… | by  Jefferson Coe | Medium

あの感覚を維持出来たらなと思うものの、そうはならないのも事実なわけでして。

そういった流れ、冒頭からそうですが、ダイアローグ形式で進む物語の展開というのもアメリカの文学性を汲んだようなPOPさを演出する作り。

客観性を帯びたアメリカという古き良き原風景を話法で描く様には納得感もありましたし、狂気性や暴力性を幾分か緩和してくれるような効果もありで、非常に良き構成でした。

世間一般からのはぐれ者であってもどこかしらに帰属意識は持ちたい、その果ての客観性とそれすらも逸脱するベニーの対称性をサブカルの視点からアメリカ社会、部分から全体への良き構成を非常にカッコ良く描いた素晴らしき世界観でした。

年末にバチバチに決まった世界観に浸れるとは思ってもいなかったので思わぬ出会いとなりました。

では。