8機種もあったか……


 PC-88とMSX2、ファミコン、Windows版くらいしか記憶になかったけど、結構色々な機種で出ていたんだな。
 ちょっと意外だったのはメガドライブ版。ハイドライド3からメガドライブまでは随分と期間があるのでは……と思ったら、実際は2年くらいしか間がないのか。他にもメガドライブではソーサリアンも出ているし、同時期に発売されたPCゲームが積極的に移植されているようにも見える。ただ、タイトルは謎で、何故3の移植版に3の表記がなく、代わりにスーパーとつけたのかはわからない。あと、確かエンディングにフェアリーが出てこないっていう重大な改変があったんだよな……。

地図の話(6)・「エセルナート」(ウィザードリィ)


 さて、これまで触れてきたいろいろな地図、プラス最初のまとめ記事にあったルーンクエストの「グローランサ」。これらの地図の「次」に私が出会った地図がどのゲームの地図かというと、ちょっと記憶が曖昧だ。ワープスファンタジーの「リリアナの街」か、あるいはワースブレイドのアハーン大陸か、今回取り上げるウィザードリィのエセルナートの地図だったはずである。

 エセルナートは半海洋型とでもいうべき、地図の中央部は海洋と大陸がほぼ半々という構成になっている。現実世界でいうインドのような形状で、地図の北側から南に向かって半島が延びている形だ。
 しかし、この「エセルナート」という世界も、先日紹介した「トンネルズ&トロールズ」の「ドラゴン大陸」と同様、興味深い経緯がある。ウィザードリィの2、3の舞台であるリルガミン王国を含む世界を「エセルナート」と呼んでいるのは、元々の原作にはない設定であり、ウィザードリィTRPGが発祥だ。ウィザードリィはアメリカ本国ではTRPG化されておらず、あくまで日本オリジナルの展開である。そしてそれは製作を手がけたSNEによる創作のようなのだ。
 もちろん許可なくやったというわけではないだろうけれど、T&Tにおけるドラゴンズヘブンの存在を考慮すると、同じように原作者に「いいよ」と言われて自由に創作したTRPGだけのオリジナル設定が「エセルナート」だと思われる。
 そもそも、TRPG版にある「トレボーがリルガミンの王だった」という設定すら、どうやら元々はなかったようだ。ウィザードリィ1に登場する城下町と、2と3で明かされるバックグラウンド、後に発表されたノベライズ版、それとTRPG版の「トレボー戦役」というサプリメントで明かされた設定、そしてこれも日本オリジナルの、リルガミンを舞台とした外伝1の展開、そしてリルガミンの未来の姿とされた外伝3の描写は、いずれも整合性が取れていない。
 なので、TRPG版の設定もその後のコンピューター版にどこまで反映されているのかは分からない。何しろ、リプレイでアークデーモンがダジャレ勝負を挑んでくるような世界観だったし……。