3DOだけだったのか……


 言うまでもなく、TRPG「ブルーフォレスト物語」を原作とするRPG。マルチエンディングなのは、プレイヤーの選択によって結末が変わるというのがTRPGっぽいと製作者たちが考えたからかもしれない。今回調べてみて意外だったのが、このゲームが「アルシャーク」と同じライトスタッフの製作だったこと。
 設定が明かされない端役の登場人物の存在などはTRPG版とリンクしていそうにも見えるが、CRPG「忘れえぬ炎」の設定を丸々一冊サプリメントとして昇華し、正規のゲーム内の歴史として取り込んだ「大旗戦争」などに比べると、その存在は重視されてはいないようだ。後続のTRPG版で設定が拾われたという話も聞かない。
 そもそも3DO版しか出ていないのでは、知名度の関係で設定を拾う云々以前の問題だったのかもしれないが……。

地図の話(3)・ドラゴン大陸(トンネルズアンドトロールズ)


 次に私が出会ったTRPGであるトンネルズアンドトロールズの地図にも、かなり特殊な経緯がある。
 先日のまとめでは舞台となる「ドラゴン大陸」の地図が紹介されていた。しかし、私の手元にある、古い日本語版T&Tのサプリである「ドラゴン大陸・ハイパーT&Tワールドガイド」を見ると、原語版の制作者から日本語版スタッフが「自由にやっていいと言われた」とか、後書きでは北沢氏が「安田社長が作った世界を自分がいじっていいものか」などと書いている。これを読む限り「ドラゴン大陸の設定は、原作者に任された日本語版スタッフが作った」と読めなくもない。そう考えると、T&Tの地図は海外型ではなく、国産型としてみるべきもの、という話になる。
 ところが、日本語版展開の中心となる、ドラゴン大陸のドラゴンズヘヴン諸島という場所は、その後の原語版の展開で触れられているのを見た記憶がない。登場人物も出てこないし、歴史にも記載がない。それどころかルール面で見ても、ハイパーT&Tで追加されたルールのほとんどは、版を重ねた後期のT&Tでは採用されていない。

 こういう事情を考えると、T&Tの地図についても、これを海外型か国産型かを論じること自体にどれだけ意味があるのか、という話になる。強いて言うなら、複数の大陸の中央に海洋が広がるという形状からすると、国産型に近いだろうか?
 ただ、違う見方をすると、原語版のT&Tが大陸としてのドラゴン大陸を取り扱い、日本語版にローカライズされたハイパーT&Tがわざわざその一部であるドラゴンズヘヴン諸島を取り上げてキャンペーンを展開したともいえるので「海外型でもあり、かつ国産型でもある」ともいえるのかもしれない。
 ちなみに、最新のトンネルズアンドトロールズ完全版の地図を見る限り、ドラゴンズヘヴン諸島が存在しないどころか、同じ位置と思しき場所にイーグル大陸という形も設定も全然違う場所が存在している。事情はお察し。