個々の問題に著作物性が認められるか否かという問題と,一連の問題全体に著作物性が認められるか否かという問題があります。
前者は,単純な計算問題などには認められませんが,一定の事例問題などでは認められるといわれています。後者は,試験問題はある程度の創作性がなければ試験の意味をなさないため,通常認められることが多いといわれています。センター試験も,少なくとも一連の問題(各教科毎)に著作物性が認められると考えられます。
著作物性が認められたものであったとしても,公表されているものは,一定の範囲内で引用等を行うことができます。
センター試験は,試験問題の持ち帰りが可能(であったと記憶しておりますが年度による相違までは私はわかりません)で,近年のものはインターネット上で公表されているようです。
そうすると,引用等を行うことは可能です。
どの程度の範囲での引用ならば許されるのか,といったあたりですが,ここはあまり断定的なことが申し上げにくいところです。ある裁判例(東京地判平成8年9月27日)は「著作権法32条1項所定の引用とは,紹介,参照,論評その他の目的で,自己の著作物中に他人の著作物の原則としてその一部を採録することをいい,引用に該当するためには,引用を含む著作物の表現形式上,引用して利用する側の著作物と,引用されて利用される著作物とを明瞭に区別して認識できることができ,かつ両著作物の間に前者が主,後者が従の関係にあると認められることが必要と解される」としています。
試験問題を引用するだけでなく,きちんとした解説・論評を加えることが最も重要なポイントであろうと思われます。
なお,国語についてはご指摘の通り,その題材とされた小説・評論等の作者=著作権者自身の承諾を得ることが原則になりますので,難しい面がありますので,難しいかと思われます。