入れ歯をちぎって食べようとした
- 2020/02/12
- 23:31
食事をすると多少の誤嚥がある夫は、
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食後に痰が上がってきて、
喉がガラガラ云い始める。
そのため、食後の口腔ケアをした後、
しばらく入れ歯を外しておくようにしている。
というのも、入れ歯が入っていると、
痰を吐き出そうとすると、
痰を吐き出す前に、
入れ歯の方が先に外れそうになり
夫は入れ歯が外れないようにと
そちらに気が行ってしまって、
せっかく出かかっている痰を飲み込んでしまうのだ。
いや、食道のほうに飲み込んでくれるならいいのだけれども、
でかかった痰が元の場所に引っ込ませてしまう。
それを防ぐために、しばらく入れ歯を外しておくのだ。
そして、再び食事をする前に、入れ歯をはめるのだが、
時々、入れ歯をはめるのを忘れて、
入れ歯のないままで食べさせてしまう。
夫は食事の時に、入れ歯が入っていないと
自分からは申告しないので(気がつかないので)
普通に食べ始めて、私が夫の食べている様子を見て、
「何かへん? ふがふがしている?」
と、入れ歯をまだはめてなかったことに気づき、
慌てて、食事中ではあるけれども、食事の手を止めて、
洗面所へ連れて行き、
口の中に入ってしまった食物を吐き出させて、
また口の中をぶくぶくうがいをさせる。
夫はなぜ食事を途中で止めさせられて、
口の中の食べ物を吐き出すように云われるのか、
さっぱり理解できないわけだから、
なかなか協力を得られないで、すったもんだする。
また、逆に、食事を始める前に、
入れ歯をちゃんとはめてやろうとしても、
夫は入れ歯を入れ歯と認識できないことが多い。
入れ歯を手に持たせてやると、
夫はその入れ歯を口に入れたが、
「固いよ~」と言って、口から出してしまう。
「これは食べ物ではないよ。
あなたの歯だよ。入れ歯だからね。はめてね」
今日は、渡した入れ歯を、タコの足か何かのように見えたのか、
入れ歯をちぎろうとしたので、
「止めてぇ~!! 入れ歯が壊れる~」
と慌てて入れ歯を取り上げた。
「これは食べ物ではないの。
入れ歯なの。
これからご飯を食べるのに
歯がなかったら食べられないでしょ。
ご飯を食べるために、
入れ歯を入れるんだよ~」
と言って、夫の口に入れ歯をはめてやる。
これも なかなか難しくって、
こんな固くて大きい物を口の中につっこまれるのだから、
夫は、いや~!!と抵抗するのだ。
けれども、ちゃんと定位置に入ってしまえば、
本人も「あれ? これは自分のものだな」と納得して、
先ほどの抵抗はどこへやら。
ところが、ほんとにちょっとでも痛かったりすると、もうダメ。
痛みにはとても過敏なので、気を遣う。
毎日の生活の中で、当たり前にやってきたことが
少しずつ困難になっていく。
でも、大事なことだから、抜かすわけには行かない。
どうやったらできるのか、
考えたり、工夫したり、褒めちぎったり、なだめたり。
「いや~、うまくなったねぇ。すごいよ~。
ほんとは、私の見ていないところで、
こっそり練習していたんでしょ?
すごくうまくなってたから、びっくりしたよぉ。」
痰がうまく出せた時は、
「おめでとう! 良かったねぇ。
すっきりしたねぇ。いいよぉ!!」
大げさに賞めると、嬉しそうにして、俄然やる気が出てくるようだ。
ちょっと前までは、私はこういうことが言えなかった。
大人に対して、そんな子供だましみたいなことを言うなんてと、抵抗があった。
けれども、それではうまくいかないということが、ようやくわかってきた。
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