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入れ歯をちぎって食べようとした

食事をすると多少の誤嚥がある夫は、
食後に痰が上がってきて、
喉がガラガラ云い始める。

そのため、食後の口腔ケアをした後、
しばらく入れ歯を外しておくようにしている。
というのも、入れ歯が入っていると、
痰を吐き出そうとすると、
痰を吐き出す前に、
入れ歯の方が先に外れそうになり
夫は入れ歯が外れないようにと
そちらに気が行ってしまって、
せっかく出かかっている痰を飲み込んでしまうのだ。
いや、食道のほうに飲み込んでくれるならいいのだけれども、
でかかった痰が元の場所に引っ込ませてしまう。

それを防ぐために、しばらく入れ歯を外しておくのだ。

そして、再び食事をする前に、入れ歯をはめるのだが、
時々、入れ歯をはめるのを忘れて、
入れ歯のないままで食べさせてしまう。

夫は食事の時に、入れ歯が入っていないと
自分からは申告しないので(気がつかないので)
普通に食べ始めて、私が夫の食べている様子を見て、
「何かへん? ふがふがしている?」
と、入れ歯をまだはめてなかったことに気づき、
慌てて、食事中ではあるけれども、食事の手を止めて、
洗面所へ連れて行き、
口の中に入ってしまった食物を吐き出させて、
また口の中をぶくぶくうがいをさせる。
夫はなぜ食事を途中で止めさせられて、
口の中の食べ物を吐き出すように云われるのか、
さっぱり理解できないわけだから、
なかなか協力を得られないで、すったもんだする。

また、逆に、食事を始める前に、
入れ歯をちゃんとはめてやろうとしても、
夫は入れ歯を入れ歯と認識できないことが多い。

入れ歯を手に持たせてやると、
夫はその入れ歯を口に入れたが、
「固いよ~」と言って、口から出してしまう。

「これは食べ物ではないよ。
 あなたの歯だよ。入れ歯だからね。はめてね」

今日は、渡した入れ歯を、タコの足か何かのように見えたのか、
入れ歯をちぎろうとしたので、

「止めてぇ~!! 入れ歯が壊れる~」

と慌てて入れ歯を取り上げた。

「これは食べ物ではないの。
 入れ歯なの。
 これからご飯を食べるのに
 歯がなかったら食べられないでしょ。
 ご飯を食べるために、
 入れ歯を入れるんだよ~」

と言って、夫の口に入れ歯をはめてやる。
これも なかなか難しくって、
こんな固くて大きい物を口の中につっこまれるのだから、
夫は、いや~!!と抵抗するのだ。
けれども、ちゃんと定位置に入ってしまえば、
本人も「あれ? これは自分のものだな」と納得して、
先ほどの抵抗はどこへやら。

ところが、ほんとにちょっとでも痛かったりすると、もうダメ。
痛みにはとても過敏なので、気を遣う。

毎日の生活の中で、当たり前にやってきたことが
少しずつ困難になっていく。
でも、大事なことだから、抜かすわけには行かない。
どうやったらできるのか、
考えたり、工夫したり、褒めちぎったり、なだめたり。

「いや~、うまくなったねぇ。すごいよ~。
 ほんとは、私の見ていないところで、
 こっそり練習していたんでしょ?
 すごくうまくなってたから、びっくりしたよぉ。」

痰がうまく出せた時は、

「おめでとう! 良かったねぇ。
 すっきりしたねぇ。いいよぉ!!」

大げさに賞めると、嬉しそうにして、俄然やる気が出てくるようだ。
ちょっと前までは、私はこういうことが言えなかった。
大人に対して、そんな子供だましみたいなことを言うなんてと、抵抗があった。
けれども、それではうまくいかないということが、ようやくわかってきた。


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プロフィール

アワキビ

Author:アワキビ
夫と2人暮らし。子どもはいません。
それに現在は猫1匹の家族。
夫、要介護5。アルツハイマー型認知症。生まれつき耳が聞こえない。
父は2018年秋に特養に入所。要介護4。毎週木曜日に実家へ介護タクシーで帰り、2泊3日。土曜日の朝、特養へ帰るという生活も、コロナ禍でずっと特養のみの生活に。特養での看取りも視野に。
母は要介護1で、認知症。弟家族と同居していたが、コロナ禍を期に、我が家に同居することに。記憶障害がだいぶ進んできていて、話したそばから忘れるが、身体は元気。

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