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ボーズ、ノイズをマスキングして快眠できる“耳栓”「sleepbuds」。3万円
2018年9月6日 11:32
ボーズは、ノイズマスキング技術を活用し、快適な睡眠ができるという「noise-masking sleepbuds」を9月6日に発売した。価格は3万円。
左右分離型イヤフォンのように耳に装着するが、スマホからワイヤレスで音楽を再生するような機能は無く、アクティブノイズキャンセリング機能も搭載していない。代わりに「ノイズマスキング技術」を搭載、より良い眠りを毎晩、一晩中サポートする製品として開発された。
就寝時は静かな環境であるため、小さな音も気になる。そうした音は、ノイズキャンセリングヘッドフォンや耳栓ではブロックできないとする。そこで開発されたのがノイズマスキング技術。単純にイヤフォンから環境音やホワイトノイズ、リラックスできる音楽を流すのではなく、騒音管理、音響学、音響心理学などを駆使し、イヤーピースによる高い遮音性能、不快なノイズを気にならなくするサウンド、リラックスできる音楽という3つの要素を組み合わせているのが特徴。
サウンドは、穏やかな波の音、回転するタービン、木の葉のざわめきなどをプリインストール。マスキング用、リラクゼーション用合わせて、10種類から選べる。ソフトウェアアップデートで、サウンドの追加も予定している。
イヤーピースを除いたイヤフォンの重量は1.4gと軽量で、サイズは縦横どちらも1cmをわずかに超える程度で、シャツのボタン程度のサイズとコンパクト、内部にはスマホ接続用のアンテナと、バッテリ、小型ユニット、ノイズマスキング用サウンドファイルを保存するフラッシュメモリなどを搭載する。装着時には新しい「StayHear+Sleep」イヤーピースが利用でき、3サイズを同梱する。
スマートフォンとは、Bluetooth Low Energy(BLE)で接続。iOS/Androidアプリ「Bose Sleep App」を使い、アップデートやコントロール、設定の変更が可能。目覚まし用アラームの設定、再生する音の選択、ボリューム調整も可能。
1回の充電で最大16時間使用できる。製品にはアルミの充電ケースが付属し、ケースだけで1回分のフル充電が可能。旅行や外泊でも使用できるという。
実際に寝てみた
効果を体験すべく、発表会場に用意されたリクライニングチェアと枕を使い、実際に寝てみた。
まず、3サイズのイヤーピースから最適なサイズを選択。sleepbudsを耳に入れようと手にとった瞬間、あまりの軽さ&小ささに驚く。普通のイヤフォンよりも一回り以上小さい印象で、“イヤフォンのミニチュア”のようにも感じる。
そのため、耳に入れてもほとんど重さを感じない。「StayHear+Sleep」イヤーピースが抜けてこないように抑えてくれるため、首を振ったり、寝返りをうつなどしても、まったく抜け落ちる気配はなかった。
また、非常に小さいため、装着したまま横向きになって枕に耳を押し付けても、耳にsleepbudsが食い込んで痛くなるような事もない。
近くのテーブルに設置したスピーカーから、街の騒音、人の話し声、いびきをそれぞれ再生。sleepbudsを装着しただけで、パッシブノイズキャンセルの耳栓効果でそれらの騒音はかなり小さくなるが、それでも「いびきが聞こえるな」とか「誰かが喋っているな」というのがわかる。部屋を暗くしていても、その小さな音に意識が集中し、気になってしまう。
そこでアプリからの操作で、木の葉が揺れる森の音、水の音などを再生すると、「ゴーゴー」という騒音や、話し声がまったく気にならなくなる。アナログレコードを再生した時に、音が出る前は「シャー」とか「プチプチ」というノイズが耳につくが、音楽が鳴り始めると気にならなくなるのと似ている。
興味深いのはいびきだ。自然音の裏側に、いびきが存在するのが認識できるのではと、耳をそばだててみたが、まったくわからなくなる。「グゴー、グゴー」といういびきは、たとえ小さな音でも、周期性があるため、「もうすぐ次の“グゴー”が来るな」と待ち構えてしまうような心理になり、気になるものだが、別の音が絶えず流れているとその周期が壊されるような感じになり、別の音に文字通りマスクされ、気にならなくなるようだ。
なお、これら内蔵されているサウンドには、マスキングするための特殊な加工が施されているという。
「日中のノイズ対策と、夜間のノイズ対策は違う」
プロダクトマネジメント部の大久保淳部長は、睡眠障害が健康面も含め、様々な悪影響を及ぼす事を説明した上で、増加する住宅街の騒音被害、就寝時に安眠を妨げるノイズなどにより、熟睡できない、眠りが浅く疲れが抜けないなどの問題を抱えている人は、世界中にいると説明。
これに対し、ボーズはノイズキャンセリング技術や、何時間も快適に装着できるイヤーピースの技術などを持っているが、大久保部長は「研究の結果、日中のノイズ対策と、夜間のノイズ対策は違うものだとわかった」という。つまり、就寝する夜間では、隣の人のいびきや、犬の鳴き声、サイレン、タクシーのクラクション、ホテルのエアコン、製氷機、エレベーターの音など、ほんの小さなノイズであっても「耳に入るあらゆるノイズが耳障りになる」という。
また、アクティブノイズキャンセリングイヤフォンのように、ワイヤレスでの音楽再生する機能を搭載すると、バッテリでの使用時間が短くなったり、本体が大きくなって装着快適性が無くなり、快眠の妨げになる可能性もある。そこでシンプルな「sleepbuds」が誕生したという。
開発にあたっては、騒音管理、音響学、音響心理学、電子回路微小化、ワイヤレスヘッドフォン、神経学に精通した人材によるチームを編成。クラウドソーシングサービスを活用。約3,000人にプロトタイプを使ってもらい、意見を集めるなど、新たなジャンルの製品に挑戦したという。
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