Telepathy One のモックアップを作って遊ぶぽよ
幻のウェアラブルデバイスのモックアップを3Dプリンタで作るお話
Telepathy Oneとは
Telepathy One - Concept Movie - YouTube
Telepathy Oneとは,もじゃ先生*1がCEOを務めていたTelepathy Inc.が開発していた単眼HMDタイプのウェアラブルデバイス.SXSW2013インタラクティブで初めて披露され,Google Glassのコンペティターとして注目されていた.Telepathy One自体はリリースに至らなかったが,紆余曲折を経た後,その形を大きく変えつつも,株式会社テレパシージャパンからTelepathy Jumperという名前で同形式のデバイスがリリースされた.
つまり,Telepathy Oneは幻のウェアラブルデバイスってことぽよね〜!*2
Telepathy Oneのデザインのよさ
デザイン的にはこんな感じになっていますが、いろいろ言われます。「何で眼鏡じゃないのですか?」と言われます。いいじゃないですか。アイウェア、ウェアラブルだから眼鏡。それでは余りに発想が乏しいです。 別にディスってるわけではなくて、なるべく我々は未来の側に行きたかったので、取りあえず手元にあるからいいやと割り切りたくなかったのです。いいじゃないですか、そういう人がいても!
Telepathy Oneは世界を変えられるか? SoftBank World特別講演より(前編) - 以心伝心記
そういうヒトがいてもいいと思うんだ!Telepathy Oneのデザインはめっつぁよいと思うぽよ!Google Glass*3の対極っぽい感じがするから!
Google Glassのデザインには,機材をリュックに詰め込んでとりあえずHMDにした状態から始めて,プロトタイピングのイテレーションを回してきた感じがよく残っていると思う.よくしなるアームでしっかり頭部に固定しようとしている*4ところや,パーツを右側だけに配置してシンプルに保っている*5ところとか.特に光学系の部分は現実的で,画面が見えないと全くもって意味がないから大きなプリズムを使っているけれど,目が隠れてしまわないように配慮してある.他にも見た目で言えば,スマートフォンと連携したり音声コマンドが用意されているとはいえ,タッチパッドとボタンの触覚的な入力*6がしっかり用意されているところも現実的な着地点のように思える*7.ボトムアップ感のあるデザインだと思う.
一方,Telepathy Oneはトップダウン感があるデザインだと思う.スタートアップが「これを作る」と掲げて,多くのヒトを魅了することのできるデザイン!きっと革新的な体験をもたらしてくれるだろうって思えるデザイン!!眼鏡の形状に媚びない,視聴覚を結ぶ一本の銀色に輝く曲線!!!だから,こけたら危ないとか関係ない*8し,あんな華奢な筐体にパーツが入るとか入らないとかはもっと関係ないし,固定箇所が両耳の二点しかなかったらピッチングしちゃってあんな小さな光学系を通してディスプレイを見ることは出来ないなんてことはもっともっと関係ないぽよね〜!
Google Glassはカメラが付いてることに関してプライバシーがごにゃご〜にゃごにゃと言われながら表舞台から一度姿を消してしまった感じ*9を踏まえると,Telepathy Oneの「Wear Your Love*10」のコンセプトには余計にグッと来るものがある.カメラ付きHMDが世の中にもっと受け入れられたかもしれないし,SNSの使い方がもっとラブリーになってたかもしれないって思うぽよ.リリースに至ったTelepathy Jumperは聴診器型であることばかり注目されるけど,とてもポテンシャルのあるデバイス*11だし,コンセプトの大筋だって変わってないみたいだし,これからにもっと期待したいぽよ*12.
そんなTelepathy Oneのモックアップを作る
前置きが長かったけど,ウェアラブルデバイスには馳せる想いがあるのだ!熱い思いはカタチにしたいのねん!Telepathy One装着させろー!
ということで,Telepathy Oneのモックアップ*13を作ってみるよ.
資料集め
weekly.ascii.jp
週刊アスキーさんのTelepathy Oneワークショップの記事の中で,図面がちょい出しされていたんだけど,悲しいかな,正確な値が読み取れない.しかし形状を把握するのには役立ったので後は画像検索を頼りにがんばるぽよ.
CAD
モデリングはFusion360で行ったぽよ.長くて丸いモノをモデリングしたのは初めてだったので苦戦しつつもそれっぽいものが完成したぽよ.以下はレンダリングしてみたもの.
上から見たところ.それっぽいぽよ?
耳部の外側の形状が複雑だったりします.よく見るモックアップには右耳部外側にTelepathyのロゴが入っているのだけど,形状には関係がないので省いたよ.
ディスプレイ部は特にワクワクポイントが高いですね!何が見えるんだろう!?って!(モックだから何も見えないんだけどね!!!)
造形
お部屋にいる3DプリンタのBS01ちゃんに出力してもらうよ.
3Dプリンタのワークサイズの関係で,いくつかのパーツに分けて出力したよ.スライスする手前でモデルをいい感じに分割してくれる機能があると助かるのだけれどね.ちなみに素材はABSだよ.
イヤーチップはPolymakerのPolyFlex*14で出力しているので柔らかいのだけど,この小ささと形状だといまいち柔らかさが発揮されなくてつらい.でも耳に接した時の痛みは軽減できそうなのでいい感じ!!!!
Brim*15などを落とし軽くやすりがけした後,各パーツを瞬間接着剤で接着し,パーツ間の大きな隙間やオーバーハング故に荒れた箇所*16をエポキシパテで埋めたところ.実物大*17に組み上がると嬉ピヨリティがありますね!
今回のモデルはとにかく華奢で,アセトンを使った場合に形状が変化してしまうことと脆くなってしまうことが危惧されたので,積層痕は溶きパテで埋めたよ.やすりをかけながら表面の滑らかさを確かめるぽよ♪
塗装は黒で下地を整えてから,Telepathy One的なメタリック色を塗ったよ.メッキ加工をしたような感じに出来る塗料もあったりするのだけど,塗膜が弱かったりするので,上にコートを塗るのが前提の塗料を選択したぽよ.カメラやマイク,ディスプレイなどのポイントも塗るのを忘れずに.ちなみに右耳部外側のTelepathyロゴは入れていないよ.というのも,白文字のデカールを印刷できる環境がなかったのだ……!*18
完成
イヤーチップをはめたら完成!ヒジョーにそれっぽいぽよ!!
とりあえず装着してみたぽよ.すごい!!ぴったりサイズじゃん!!!!!!!!!
思ってたよりいい感じなんだけど,本体が後頭部の髪に当たって激しくピッチングするのがつらい.ピッチングのせいで耳の穴がゴリゴリされちゃうんだけど,外耳にキレイに収まるイヤーチップだったら案外耳だけで支えられるのかもしれない気もするぽよ.あと,眼鏡タイプじゃないから目元は結構フリーな感じはあるけど,髪をかきあげたり出来ないのがつらいかもねぎ.ま,前髪が……
ポニテにすると本体がそれなりに安定するぽよ.Google Glassのときもポニテ安定だったのでHMDヘアスタイルと言えよう(?)
結局,ポニテ前髪全流しで安定した!細い本体のアーチがかっちょええですねー!
気づいたこと
眼鏡をかけている素敵なヒトの,やわらかな肌と硬質なメガネフレームとの隙間に何とも言えない感情を覚えたりするのだけれど,Telepathy Oneもひと味違ったいい隙間感をしていると思うぽよ.
Telepathy Oneの装着の仕方なんだけども,まず頭部より細い首にかけて,耳の穴に向かって本体を持ち上げるようにするとスッと装着できる.Telepathy Oneも案外,Telepathy Jumperみたいに聴診器型的な要素があったのかもねぎ.首に提げるとシャレオツなヘッドンホホのようである.
作ってみた感想
SNSにこのTelepathy Oneモックアップ画像をアップしたところ,すぐに株式会社テレパシージャパン代表の鈴木さんにいいね!してもらえたので,嬉ピヨリティがありました!!!
モックアップ作りは3Dプリンタ元来の目的っぽい感じがある*19けど,マインドはやはりプロップ制作だったりする.CADでカタチを決めて,1/1スケールのモノを出力して仕上げるの,たのしいよ.実在する感じ.触れて理解する感じ.あーもっと大きな3Dプリンタが欲しくなってきちゃったぽよ…!
追記
そしてTelepathyは伝わる
アスミンさんの超力作。3Dプリントされたテレパシー・ワンの勇姿。一見の価値有り。
https://t.co/bzJAKzaAAd
— takahito_iguchi (@iguchiJP) January 22, 2016
気づいたら,もじゃ先生ことIguchiさんがブログをシェアしてくださっていた!!
.。o○( このブヨグ*20記事,最終的にもじゃ先生に届くといいなぁ…… ) と思っていた私のTelepathyがついに届いちゃったぽよね……♡
先にFacebookの方でもシェアしてくださっていたようで,もじゃ先生とおともだちなみなさんは盛り上がっていたようです.私はよくわかっていないままおともだちな知人たちにちやほやされて,むむむ!?って感じだったのですが,Eyes, Japan*21代表の山寺さんがいい感じのパスを出してくださって,もじゃ先生にコメントをいただくことができました!*22ありがとうございまーす!!!
おまけ
実は今回の記事を作ってる最中に引っ越しまして,まだお部屋に家具とか全然ないんだけど……,Telepathy Oneは ありまぁす♡
もっと追記
ヒトを引き寄せるTelepathy
もじゃ先生ことIguchiさんが私に会ってくれたよ!しかも私の作ったモックアップを装着してくださいました!私の気の向くままに作り上げたモックアップだったけど,ここまでしていただけて感激ぽよ〜!なんだか私の作ったモックアップが“本物のモックアップ”になった気がして,まるでブルーフェアリーに触れられたピノキオである……!*23
耳の部分の形状がムズカシイよねという話をしたよ.ボリュームを規定する連続的なカーブや緩やかな膨らみを自動車のボディに例えた説明が印象的でした.自動車とヒトの関係を指して,人馬一体というコトバを充てがったりするけど,Telepathy Oneも同様にUnity of Man and Machineを目指すカタチだったのかもねぎ.人機一体とか言っちゃうとゴリゴリした感じになる感じがするけど,究極のMan-Machine Interfaceはきっと柔らかくて感覚的なものなんだろうな.Telepathyロゴのハートマークみたいに♡
GoogleGlassは,なんだかんだで時計機能が便利なんだけど,通知が来た瞬間にユーザが内容を理解できる*24という小さなUXのLeapをもたらしたよね*25という話もしたよ.そういった体験が,通知を受けるといったパッシブな領域を抜けだして,アクティブな領域に踏み込んだ*26とき,それはきっとテレパシーに見えるんだと思うぽよ.
Iguchiさんがドキドキで取り組んでいることについても話を聞くことが出来たよ.Telepathyもドキドキも根底ではテーマが繋がっているのだろうなと以前から思っていたけれど,どうやらそうみたい.ヒトとヒトとがマシンを介することでいろんなモノを飛び越えて寄り添えたら,シアワセだよね.だって,この焼きリンゴもアイスと寄り添うことでこんなにおいしいんだもの……ぐへ,ぐへへ…….
両腕を組んでる印象があったので私も両腕を組んで一緒に撮ってもらったぜ!!*27
Telepathy comes true!だよっ♡
*1:井口尊仁さん.起業家.
*3:Explorer Edition
*4:ヒトにマシンを快適に固定するのってチョームズい!
*5:しかもネジひとつでアームは取り外せる
*6:他にも瞬きや頭部の傾きを入力に使える
*7:Telepathy OneにもTouch Switchがあるとされている
*8:普通の眼鏡もそれなりに危ない
*9:スマートフォンやスマートウォッチにもカメラが付いてるけども……!
*10:Wearableとの掛詞.ダジャレ感が引っかかるケド.
*11:ディスプレイ性能とか
*12:Telepathy Walkerが発表されましたね!!
*13:開発実機とは形状がやや異なる
*14:熱可塑性エラストマーで出来てるらしく,ゴムゴムしてる
*15:3Dプリンタでの造形の際,素材をベッドに食いつかせるために作られる薄い膜
*16:サポート材が必要な部分は荒れがち
*17:私の模倣ビリティの限り
*18:そこらのプリンタは白インクがないのだ
*19:外見だけとはいえ
*20:ブログのことブヨグってよく言う
*21:LEDとセンサを載せた自転車プロダクト,Fukushima Wheelなどがおもしろす
*22:私の公開フィードなのでスクリーンショットとして掲載していますが問題あればあすみんまで
*23:オリジナルはチタン製らしいけど,もう私のもきっとチタン製になってると思う(?)
*24:Notification == Content
*25:例えば,Amazonのシステムが発送メールを投げた瞬間にユーザはそれを“知ってる”のでそれを踏まえて行動できる,とか
*26:すっごいインタフェースとめっつぁ丁寧に微細化されたインタラクションと共に
*27:キンチョーしすぎて私の方が偉そうになってしまった……